二の腕がズキズキ痛いときの考え得る原因と治療法を肩専門医が解説

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歌島 大輔
歌島 大輔
スポーツ整形外科医師(非常勤)景翠会 金沢病院
スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

二の腕がズキズキ痛い・・・

打撲したわけでもないし、なんだろうか?

ということで、肩を専門として外来をしている私のところにご相談いただくケースは多いです。

二の腕が痛いということと、その痛みの性質が「ズキズキ」であるということから自ずと中で起こっているであろうことは絞られてきますので、それら原因とその治療法について解説をしていきたいと思います。

こんにちは、肩を専門とする整形外科医の歌島です。本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

二の腕が痛い時の考え得る原因は結構多い

二の腕というのは肘から肩までの間の腕のこと、すなわち「上腕(じょうわん)」のことですね。ぞれに対して、前腕(ぜんわん)は肘から手首にかけてのことですね。

とすると、「一の腕」は前腕なのか?というと、そういう使い方はないようです。

さて、この二の腕、すなわち上腕が痛い時の考え得る原因は結構多いです。

  • 上腕骨
  • 上腕二頭筋
  • 上腕三頭筋
  • 上腕肩よりに付着する筋肉(三角筋、大胸筋、広背筋など)
  • 上腕肘よりに付着する筋肉(前腕屈筋群、前腕伸筋群など)
  • 腕神経叢

これらが二の腕を構成する骨や筋肉、神経になりますし、二の腕の上端は肩関節であり、二の腕の下端は肘関節になりますので、これら関節に問題があって二の腕の痛みになることも少なくありません。

ズキズキ痛いということは炎症が起こっている可能性:大

そんななか、二の腕が「ズキズキ」痛いというケースについて考えてみますが、

この「ズキズキ」というのは拍動性の痛みとも言います。
拍動性というのは血管、それも動脈が関わっていいそうですよね。

ただ、動脈硬化とか不整脈とか、血管そのもの、心臓そのものに異常があってズキズキがでているというよりは、それは何か原因があって、結果としてズキズキと拍動性の痛みが出ていると考えるべきです。

もう少し詳しく言うと、

どこかしらに炎症が起こります。これは傷んだ組織を治そうとする身体の反応で、そのサインとして痛みも出しますが、身体を治す物質も血管を介して運びます。

その炎症は炎症部位に細い血管を増やし、治す材料をたくさん運び、傷んだものをお掃除しようとするんですね。

ですから、結果として拍動性の痛み、「ズキズキ」になるということです。

二の腕がズキズキ痛い原因

では「二の腕」が「ズキズキ」痛い原因ですが、つまりは、上腕が炎症性に痛みが起こっている状態の原因を考えます。

特に肩関節周囲の炎症が原因で二の腕が痛みを感じるということが多いです。

典型的な3つの原因と治療法について紹介します。

上腕二頭筋長頭腱炎

上腕二頭筋はいわゆる力こぶの筋肉

上腕二頭筋はさきほども言いましたが、いわゆる「力こぶの筋肉」ですね。肘を曲げて力を入れるとコブができますよね。これです。

Close up of man’s arm showing biceps

上腕二頭筋のはたらきは肘の屈曲と前腕回外

この上腕二頭筋のはたらきは「肘を曲げる」ということがまず第一の働きです。そして、補助的には「前腕回外」と言って、手のひらを上に向ける回転運動を上腕二頭筋も担当します。

上腕二頭筋には長頭と短頭がある

この上腕二頭筋は「二頭筋」というくらいですから、2本の頭があります。それが長い「長頭」と短い「短頭」という名前がついています。

今回はそのうち「長頭」のお話ですね。

ちなみに「短頭」は肩甲骨の烏口突起(うこうとっき)という場所にくっついていますが長頭と違って肩の関節の中には入り込んでいません。

上腕二頭筋長頭は肩で急カーブしている

上腕二頭筋長頭ですが、この長頭は細いスジ(=腱)となって肩の前面を通って、肩の関節の中に入ってから急激に内側にカーブして肩甲骨の関節窩(かんせつか)の上にくっつきます。

画像引用元:肩関節外科の要点と盲点 (整形外科Knack & Pitfalls)第1版 文光堂

この急カーブが1つ問題なんですね。

上腕二頭筋長頭腱は結節間溝で炎症を起こしやすい

上腕骨という骨の肩関節近くには結節間溝(けっせつかんこう)という凹みがあって、その凹みを上腕二頭筋長頭腱は通ります。この出口で先ほどの急カーブが来るので、この結節間溝で炎症が起こりやすいです。

それは強い力をいれたり、繰り返す肩や肘の動きで、結節間溝付近で上腕二頭筋長頭腱のスジが擦れるような負担がかかるということですね。

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上腕二頭筋長頭腱炎の症状は肩前方の痛み

これが上腕二頭筋長頭腱炎の典型的な状態です。

そのため、結節間溝部分に動かしたときの痛みや、押しての痛みなどが出現します。

また、診察のときには、Speed testという診察テストをやります。これが陽性の時は、下のイラストのように肘を伸ばして手のひらを上にして肩を力を入れて抵抗に負けないように挙げていってもらうと痛みが走ります。

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂

上腕二頭筋長頭腱炎の治療コンセプト

上腕二頭筋長頭腱炎は負担がかかりやすい結節間溝という部位での炎症と言うことを解説いたしました。

そう考えると、治療のコンセプトは

  • 上腕二頭筋長頭腱の結節間溝での炎症を抑える
  • 結節間溝部での負担を減らしていく

この2つにおおきく分けられるということになります。

 

例えば、負担を減らしていくためのストレッチなどはこのようなものがあります。

そのほか、詳しい治療法についてはこちらで解説しております。

上腕二頭筋長頭腱炎の治療まるわかり 肩専門医師が解説します

2017.07.21

自分の症状はこれかな!?とお感じになった際はご参照ください。

腱板炎、腱板損傷

肩腱板とは肩の大事なインナーマッスルの腱の合流部

肩腱板(かたけんばん)

これを正確に理解している人が
医療関係者の中にも少ないという印象があります。

肩板損傷?と書いている人もいますし、
ときに腱板骨折?と書いている人も見かけたことがあります。

肩腱板・・・略して肩板・・・なんてことはないでしょうが、
ちょっとしたケアレスミスでしょう。

 

ということで、まず
肩腱板とは?ということから入りましょう。

肩の腱板

もっと言うと、ということになりますが、

肩は肩関節のことですね。

次に「」ですが、

筋肉は骨にくっつく前に
よりスジ張って、硬めの線維に移行します。
この筋肉の続きの硬めの線維を「腱」
といいます。

次に「板」ですが、
これは
見た目を表したモノと考えてください。

 

肩の腱板はインナーマッスルと呼ばれる、
深いところ、関節に近いところにある筋肉の中で、

特に重要な4つ

それぞれ

  1. 肩甲下筋(けんこうかきん)
  2. 棘上筋(きょくじょうきん)
  3. 棘下筋(きょっかきん)
  4. 小円筋(しょうえんきん)

という名前の筋肉

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂

この4つの筋肉が、先端で腱となって、
最終的には合流して「板」状になるので、

「腱板」というわけです。

つまり、肩腱板というのは、
この4つのインナーマッスルの腱が
最終的に合流した部位のこと

腱板を構成する腱板筋群とは
この4つのインナーマッスルのこと

と言えます。

肩腱板損傷は単なる筋損傷、筋断裂とは違う

この肩腱板が、損傷・断裂してしまう、
つまり、切れてしまうわけですが、

これを他の部位の筋肉の断裂と
同じとは考えない方がいいです。

通常、筋肉が切れてしまっても、
自然とだんだんと修復されて、

ある程度の強度を持って、
筋肉がくっつきます。

つまり、よほどの重症でない限りは、
肉離れの場合、手術はしません。

また、筋肉ではなく、
その先の腱の損傷として、
代表的なものが
アキレス腱断裂だと思いますが、

このアキレス腱断裂は
手術でなくても、ギプスなどでも治すことができます。

肩腱板断裂は時間がたってもくっつかない

しかし、肩腱板損傷については
自然治癒はなかなか期待できません。

その大きな理由は、

肩腱板損傷は骨から腱板が
剥がれてしまうからです。

 

骨と腱という

カチカチにカタいもの(骨)と
ちょっとカタめのスジ(腱)

これがくっつくというのは、
筋肉同士や腱同士がくっつくことにくらべ、
当然難しいということですね。

そのため、
ほとんどの腱板損傷は
時間とともに、
牛苦に拡大していきます。

重症化していくということです。

肩腱板損傷の特徴的な症状

この肩腱板損傷の症状の特徴ですが、
当然、肩の痛みが典型的です。

しかし、それだけでは
五十肩や肩関節周囲炎など、
他の肩の障害と区別がつきません。

そういう意味では
腱板損傷のときの特徴的な症状を
理解しておきたいところです。

腕を捻ったときの痛み

1つは腕を捻ったときの痛みです。

時にはドアノブを回したり、
扉の開閉をしたり

というような、小さめの動作で痛い

ということがよくあります。

これは肩腱板筋群が
英語ではrotator cuff

つまり、回旋(かいせん)腱板と呼ばれるように

肩の回旋運動を担当するということが
1つの理由になります。

自分ではあまり上がらないが、やってもらうと上がる

もう1つは、

肩が上がらない

という、多くの人が悩まされる肩の症状の中でも

自分の力では上げられなくて(自動挙上:じどうきょじょう)、

他の人や、
自分の逆側の手で腕を持って、
上げ「られる」と(他動挙上:たどうきょじょう)

結構、上まで上げられる

という症状も特徴です。

筋肉の先端の損傷であることを考えれば、納得がいきますね。

筋肉が痩せている

腱板損傷では、
損傷した筋肉は使いたくても使えなくなってくるので、

筋肉が萎縮します。(細くやせ細ります)

Man feels pain in the small of the back and holding hands on his loin

↑この写真では右側が痩せているように見えますが、肩甲骨の位置も左右差があり、
より丁寧に触れて診察することも大切です。

そうすると、裸になって、
両肩甲骨を比べてみると、

筋肉が痩せていることがあります。

肩腱板損傷は症状だけでは判別できない

 

多くの肩腱板損傷の患者さんを拝見してきますと、
まったく肩が上げられない人や、
痛くて眠れない人もいらっしゃれば、

ちょっと痛い程度の人、

時には痛みが全然ない人までいます。

そういった経験から

僕は肩が専門だからこそ、

元も子もないような話になってしまいますが、

症状だけでは肩腱板が損傷しているか否かを
判断するのは難しいと考えています。

 

そのため、症状の経過や
患者さんの求めるレベルと肩の現状の機能のギャップ
などを総合的に判断して、

必要があれば、積極的にMRIなどで
肩腱板損傷(断裂)の有無をチェックしています。

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂

自分の症状はこれかな!?とお感じになったら、こちらの記事もご参照ください。

腱板断裂(損傷)をわかりやすく基本から治療まで解説

2017.10.30

五十肩・肩関節周囲炎

五十肩とは?

五十肩とは、なぜ五十肩というのでしょうか?

ほとんどの人がご存じですが、五十歳くらいの人に多いからですね。正式な病名ではなくて俗称です。

肩関節周囲炎(かたかんせつしゅういえん)という状態

この五十肩・・・

実際に肩では何が起こっているのか?

なんで痛いのか?

というと、大雑把に2つの現象が段階的に起こっていると考えています。

そのうちの前半の1つが肩関節周囲炎(かたかんせつしゅういえん)です。
その名の通り、肩関節の周りに炎症が起こるという状態です。

周りという、またアバウトな表現になりますが、それにはいくつかの病態が含まれます。

肩峰下インピンジメント症候群

多いのは肩峰下インピンジメント症候群と言って、肩峰(けんぽう)という肩甲骨の骨とその下の腱板というインナーマッスルの間のスペースに摩擦による炎症(肩峰下滑液包炎:けんぽうかかつえきほうえん)が起こる状態です。

こちらで詳しく解説しております。

インピンジメント症候群とは?肩専門医が解説

2016.12.12

腱板炎(けんばんえん)

先ほどの肩峰下インピンジメント症候群の結果としても起こりますが、単純にオーバーユース(つかいすぎ、スポーツのやり過ぎ)や加齢による変化を原因として、肩のインナーマッスルの先端である腱板に炎症が起こり、痛みが出現します。

これが重症化するといずれは腱板断裂という腱板が切れてしまう状態にもなり得ます。それはもう五十肩の範疇を超えているといってもいいでしょう。(しかし、実際は精密検査をせずに五十肩で片付けられている腱板断裂の患者さんは非常に多いです。

腱板疎部損傷(けんばんそぶそんしょう)

ちょっとマニアックですが、肩の前方の腱板と腱板の間に腱板疎部(けんばんそぶ)というやや薄い場所があります。この腱板疎部の損傷や炎症も痛みの原因になります。

こちらで詳しく解説しております。

腱板疎部損傷とは?治療法は? 肩専門医解説

2016.12.14

上腕二頭筋長頭腱炎

また、最初にお伝えしたこの上腕二頭筋長頭腱炎も肩関節周囲炎に含まれます。

 

これら様々なメカニズムで肩関節の周りに炎症が起こり、肩の痛みが出現する。これが五十肩のスタートと言っていいかと思います。

凍結肩という状態

さきほど五十肩には大雑把に2つの現象が段階的に起こっているといいました。

前半が肩関節周囲炎でしたが、その肩関節周囲炎が長引いてくると、徐々に、凍結肩(とうけつかた)という2つ目の現象に移行していきます。

英語ではfrozen shoulder(フローズンショルダー)といいます。

肩関節包肥厚(かたかんせつほうひこう)

この凍結肩というのは、主に肩の関節包(かたかんせつほう)という関節を包む膜が分厚くなって(肥厚)、カタくなってしまっています。多くは肩関節周囲炎という炎症の結果、身体が肩を守ろうとする反応です。

その結果、肩が上がらない、肩が回らないという、可動域制限がメインの症状になってきます。

五十肩 この症状は典型的

この五十肩に典型的な症状を紹介していきます。

動作時痛 動かすと痛みが走る

五十肩は普段、日中に何もしてないときに痛い(安静時痛)というのは多くありません。

腕を回したとき、肩を挙げたときなど、動かしたときに痛いというのが典型的です。

夜間痛 寝ていると痛くて目が覚める

Lonely mature man drinking beer at evening

次に夜間痛、夜寝ていると目が覚めちゃうくらいに痛むというのが典型的です。

他の関節、部位では夜間痛というのは、何か重大なものが隠れている可能性を示唆しますが、肩の場合は五十肩を含め、多くの炎症において頻繁に出現する症状です。

だからこそ、肩の痛みというのは悩ましいんですね。

可動域制限 肩が回らない

可動域制限、これは肩を動かす幅が狭いことをいいますが、典型的には肩を上に上げられない、後ろに回せないなどの症状が出ます。

腱板損傷の場合は自分で動かす場合の可動域(自動可動域)が狭くなりますが、五十肩では他動可動域も狭くなります。つまり、自分でも上げられない、他人でも上げられないという状態です。

もし、ご自分の二の腕のズキズキする痛みがこれかな?と思われたら、
こちらの記事をご参照ください。

五十肩の治療法_自分にピッタリがわかる

2017.04.08

まとめ

今回は二の腕がズキズキ痛いというときに考え得る原因と治療法について解説いたしました。少しでも参考になりましたら幸いです。

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