腕の痛みに使用するサポーターを専門医が解説します

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歌島 大輔
歌島 大輔
スポーツ整形外科医師(非常勤)景翠会 金沢病院
スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

腕の痛みがあって安静にしろって言われたけど、仕事をやらないといけない、試合に出ないといけない・・・などどうしようもないケースがあったときに助けになるかもしれないのがサポーターです。

肩から腕にかけての痛みに対するサポーターと肘周りのサポーターが主にありますが、ある程度、原因が絞れていれば効果的なサポーターも自ずと決まってきます。

ということで、原因とリンクした形でサポーターをご紹介できればと思います。

こんにちは、肩を専門とするスポーツ整形外科医の歌島です。本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

 

腕の痛みの原因をおさらい

腕の痛みの原因で多いものについておさらいしておきます。

肩関節周囲炎・五十肩

まずは肩関節周囲炎や五十肩、四十肩というような肩の炎症による腕の痛みです。

肩関節やその周囲の炎症による痛みは意外と腕の上の方の痛みとして自覚しやすいという特徴があります。

ですから、患者さんも僕が肩を注意深く触れていると、

「いや、先生、肩じゃなくて腕が痛いんです」

とおっしゃることも少なくありません。

しかし、実際に肩関節を動かしたり、痛みを誘発するテストをしてみると痛みが出るんですね。それで、

「ああ、肩が悪いんですね」

と理解されるという流れはとても多いです。

それは次の腱板断裂でも同様の傾向です。

さて、肩関節周囲炎、五十肩による腕の痛みの特徴は

  • 肘関節の曲げ伸ばしでは痛くない
  • 肩関節をある方向に動かしたときの痛みがある(その方向はケースバイケース)

ということが基本です。

また、肩に圧痛があることは多いですが、腕の痛いところには圧痛(押しても痛い)という部分はないことが多いです。

詳しくはこちらでも解説しておりますが、

五十肩の症状判定 この症状は典型的?

2017.04.02

五十肩 この症状は典型的

まず五十肩に典型的な症状を紹介していきます。

動作時痛 動かすと痛みが走る

五十肩は普段、日中に何もしてないときに痛い(安静時痛)というのはあまりありません。

腕を回したとき、肩を挙げたときなど動かしたときに痛いというのが典型的です。

夜間痛 寝ていると痛くて目が覚める

Lonely mature man drinking beer at evening

次に夜間痛、夜寝ていると目が覚めちゃうくらいに痛むというのが典型的です。他の関節、部位では夜間痛というのは、何か重大なものが隠れている可能性を示唆しますが、肩の場合は五十肩を含め、多くの炎症において頻繁に出現する症状です。

可動域制限 肩が回らない

可動域制限、これは肩を動かす幅が狭いことをいいますが、典型的には肩を上に上げられない、後ろに回せないなどの症状が出ます。

腱板断裂

腱板断裂(けんばんだんれつ)についても肩関節周囲炎と同様に肩関節周囲の問題と言えますが、より重症と考えていいと思います。

こちらで詳しく解説しております。

肩腱板損傷に特徴的な症状はあるのか? 肩専門医解説

2016.12.11

肩腱板損傷の特徴的な症状

この肩腱板損傷の症状ですが、
まずは当然、肩の痛みが典型的です。

しかし、それだけでは
五十肩や肩関節周囲炎など、
他と区別がつきません。

そういう意味では
腱板損傷のときに特徴的な症状を
理解しておきたいところです。

腕を捻ったときの痛み

まず腕を捻ったときの痛みです。

時にはドアノブを回したり、
扉の開閉をしたり

というような、小さめの動作でも痛い

ということがあります。

これは肩腱板筋群が
英語ではrotator cuff

つまり、回旋腱板と呼ばれるように

肩の回旋運動を担当するということが
1つの理由です。

自分ではあまり上がらないが、やってもらうと上がる

もう1つは、

肩が上がらない

という、多くの人が悩まされる肩の症状の中でも

自分の力では上げられなくて、

他の人や、
自分の逆側の手で腕を持って、
上げ「られる」と、

結構、上まで上げられる

という症状も特徴です。

筋肉が痩せている

腱板損傷では、
損傷した筋肉は使えなくなってくるので、

筋肉が萎縮します。

Man feels pain in the small of the back and holding hands on his loin

そうすると、裸になって、
両肩甲骨を比べてみると、

筋肉が痩せていることがあります。

肩腱板損傷は症状だけでは判別できない

最後に元も子もないような話ですが、

こういった特徴はあるモノの、

多くの肩腱板損傷の患者さんを拝見してきますと、
まったく肩が上げられない人や、
痛くて眠れない人もいらっしゃれば、

ちょっと痛い程度の人、

時には痛みが全然ない人までいます。

そういった経験から

僕は肩が専門だからこそ、

症状だけでは肩腱板が損傷しているか否かを
判断できないと考えています。

そのため、症状の経過や
患者さんの求めるレベルと肩の現状の機能のギャップ
などを判断して、

必要があれば、積極的にMRIや超音波などで
肩腱板損傷の有無をチェックしています。

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂

テニス肘とは外側上顆炎のこと

テニス肘とはテニスが原因で起こりやすいからそう呼ばれますがテニス以外にも様々な原因があります。

そして、実際の病名は上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)というものです。

外側上顆は筋肉の付着部=enthesis(エンテーシス)

上腕骨外側上顆炎とは、上腕骨という腕の骨の外側上顆という場所の炎症ということですが、

この外側上顆というのが、さきほどまで解説していた肘の外側の筋肉がくっつく場所です。

つまり、前腕伸筋群(手の指や手首を伸ばす、反らす筋肉たち)がこの外側上顆に付着するということになります。

この筋肉の付着部、すなわち筋肉(腱)と骨の境目あたりのことを、日本語ではそのまま「付着部」、英語ではenthesis(エンテーシス)と呼びます。

筋肉の付着部はストレスに弱い

この筋肉の付着部(=enthesis)は筋張った筋肉と、カタい骨というまったく違う組織のつなぎ目ですから、ストレスに弱いという特徴があります。

それゆえ、繰り返し筋肉を使ったり、強烈に強い力が加わったりしたときに、炎症が起こりやすいんですね。

つまり、上腕骨外側上顆炎は筋肉の付着部というストレスに弱い外側上顆という部分が、前腕伸筋群の使いすぎなどによって炎症を起こした状態ということが言えます。

画像引用元:OS NOW Instruction No.19 上肢の鏡視下手術 早期ADL回復をめざして 第一版 メジカルビュー社

その前腕伸筋群の使いすぎというのが、テニスの特にバックハンドストロークの繰り返しで起こりやすいですが、

他にも単にデスクワークのマウス操作やキーボード操作などでも1日に何時間もやっているわけですから、テニス肘の原因として少なくありません。

 

肩から腕にかけての痛みに対するサポーター

こちらでも解説しておりますが、肩から上腕にかけての痛みに対するサポーターについてです。

肩の治療の基本は 肩の負荷コントロール

肩の治療の基本、根本ということを考えてみると、例えば、五十肩はまず肩関節周囲炎という症状から始まります。つまり炎症です。この炎症の原因はまだ確定できていませんが、

  • 加齢性の変化
  • オーバーユース(使いすぎ)

この2つの足し算が一番しっくりくる考え方です。

とすれば、加齢性の変化をどうにかするのは難しいので、オーバーユースをどうにかすることが手っ取り早いですね。

そういう意味で「安静」となるわけですが、

実際は例えば、三角巾で肩を吊って、完全に肩をまったく動かさないような安静は、筋肉も落ちますし、肩関節が拘縮、カタくなる原因になりかねません。

ですから、ここでいう「安静」は

肩に対する負荷の軽減やコントロールという意味で捉えるといいかと思います。

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肩のサポーターの役割

そうするとサポーターの役割も明確になってきます。

肩のサポーターにはいくつかタイプありますが、
完全に腕を固定してしまうようなタイプは、さきほども述べたとおり、安静にしすぎとなりかねませんので、

こういったタイプが五十肩の場合にはいいでしょう。

肩は動かせるが、外から圧迫力がかかるようなタイプですね。

肩サポーターは求心性に圧迫する

このサポーターは主に肩の外側から内側へ圧迫力がかかります。これは少し掘り下げると、上腕骨頭というボールを肩甲骨関節窩(けんこうこつかんせつか)に押しつけるような力で、これを求心性(中心に向かう方向)の力と言います。

これは自分の身体で言うと、インナーマッスル、腱板(けんばん)という筋肉たちのはたらきですので、その働きをサポートしてくれる意味があります。

その結果、肩を動かすときも関節が安定した状態で動かせるので肩の負荷が減らせます。

肩サポーターは保温の意味もある

また、保温の意味もあります。どうしても関節が冷えると、関節液が減って、滑りがわるくなったり、周りの筋肉の血流が悪くなってコリに繋がります。

そういった意味では保温の効果もバカにできません。

肩のサポーターの効果的な使い方:圧迫力を調整する

そう考えると、保温は装着すれば達成できますが、さらに求心性の圧迫力を得るために、調節できるタイプでは、ある程度しっかりとサポーターを締めることがポイントになります。

もちろん、締めすぎると血流を逆に阻害してしまったりしますので、注意が必要です。

肩のサポーターは腰痛の時のコルセットのように、「ザ・定番!」って感じではありません。病院に行っても勧められることはほとんどないでしょう。

ただ、理論上は求心性圧迫力や保温など期待できる効果があるので、日々、肩への負荷のコントロールで苦労している人は試してみるのもいいかもしれません。

 

肘周囲の痛みに対するサポーター

肘周囲の痛みの1つ、テニス肘の治療においてどのような位置づけで、どのような意味合いでサポーターを使うといいのか?ということから入ります。これは実際はゴルフ肘と呼ばれる内側上顆炎でも同様です。

  • テニス肘は外側の筋肉の付着部
  • ゴルフ肘は内側の筋肉の付着部

の違いだけで、サポーターによる治療の原則は同様です。

テニス肘の治療の基本は伸筋群の負荷を減らすこと

テニス肘の治療は、その原因から考えれば、主に2つあります。

  • 筋肉(前腕伸筋群)の付着部の炎症を抑えること
  • 筋肉(前腕伸筋群)の付着部にかかる負荷を減らすこと

このうち、サポーターは後者である筋肉の付着部にかかる負荷を減らすことに貢献します。

テニス肘に効果が期待できるサポーターは2種類

この筋肉の付着部にかかる負荷を減らすという意味合いで効果が期待できるサポーターは主に2種類です。

エルボーバンドで付着部への牽引力をブロック!

1つ目は通称エルボーバンドと呼ばれるモノですが、シンプルに肘のちょっと前腕よりをぐるっと巻くバンドです。

ここでちょっとおさらいです。

筋肉の働きとして、前腕伸筋群が収縮、つまり縮むことで外側上顆と手を引っ張って、手首や指が動くわけです。

つまり、前腕伸筋群が働くときに常に外側上顆付近の筋肉の付着部は引っ張られる、牽引力がかかるわけです。

当たり前すぎる話ですが、

この筋肉の付着部にかかる牽引力をこのエルボーバンドで巻くことで手前でブロックしてしまおうというのがコンセプトになります。

試しに、外側上顆より指4本分くらい手首寄りの前腕伸筋群を手で押さえて手首を動かしてみてください。テニス肘の人は痛みが違うのが実感できるのではないでしょうか。

これがエルボーバンドの効果です。

エルボーバンドのポイントは位置と強さ

このエルボーバンドの正しい巻き方ですが、そのポイントは2つです。

  • 上腕骨外側上顆より指4本分くらい手首よりに巻く
  • 巻く強さは強すぎず弱すぎず

まず位置ですが、これは筋肉の付着部より筋腹より、つまり手首よりで牽引力をブロックしないと意味がないので、だいたい指4本分くらい手首よりで巻くのがオススメです。

ただ、人によって炎症の範囲が違うので、痛み具合によって微調整しましょう。

巻く強さは、弱すぎれば牽引力がブロックできませんし強すぎれば血の巡りが悪くなったり、神経を圧迫したりしてしびれてきたり、痛みが出たりします。

そういう意味で強すぎるのは絶対にダメですが、ただ、弱すぎると意味がなくなるということで絶妙なバランスが求められます。 これは人それぞれ違うので試行錯誤していることになります。

手首を固定するサポーターで筋肉を休める

もう一つ、効果が期待できるサポーターとしては手首を固定するサポーターです。

Trauma of wrist with brace ,wrist support

前腕伸筋群の中でも最も負荷がかかり、痛みの原因になるのが手首を反らす手根伸筋です。この筋肉を休ませるために、手首を固定してしまうというのがこのサポーターの役割です。

テニス肘にオススメのサポーターとその正しい使い方 byスポーツ医

まとめ

今回は腕の痛みとして肩周囲の痛みと肘周囲の痛み、それぞれに効果を期待したいサポーターについて解説いたしました。少しでも参考になりましたら幸いです。

肩の痛み、障害というマイナス状態からゼロに戻すだけでなく、さらにプラスへ持っていく方法や考え方についてはメールマガジンで解説していますので、興味が持っていただけましたらご登録をお願いします。

 

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おかげさまでたくさんのご相談をいただいております。どうしてもゆっくり時間をかけて1人1人と向き合えないのが悩みですが、それでも、患者さんの希望、理想的にはゴールをできるだけ掴んで、お手伝いできること・ご提供できることを常に探しながら診療しております。

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