腕の痛みの原因となる病気を専門医が解説 何科に行けばいい?

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歌島 大輔
歌島 大輔
スポーツ整形外科医師(非常勤)景翠会 金沢病院
スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

腕の痛みが起こると、まず考えるのが原因ですよね。

なんで痛くなったのか?

なんか変な病気じゃないのかな?

と不安になってしまうかもしれません。

 

腕の痛みの原因のほとんどは筋肉や関節の問題で整形外科で相談してもらえればいいことがほとんどですが、時には他の専門科でないと治療できない原因、病気もあります。

そのため腕の痛みの原因、病気について、ある程度幅広く解説しますので、整形外科でいいのか?他の科にも相談した方がいいのかの判断の助けになればと思います。

こんにちは、肩を専門とするスポーツ整形外科医の歌島です。本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

腕の痛みの原因の多くは筋肉か関節の問題

腕の痛みの原因のほとんどは筋肉や肩、肘などの関節の問題です。

こちらで詳しく解説しておりますが、

腕の痛みの原因別症状まとめ これであなたの痛みの原因が推測可能

2018.03.23

肩関節周囲炎・五十肩

まずは肩関節周囲炎や五十肩、四十肩というような肩の炎症による腕の痛みです。

肩関節やその周囲の炎症による痛みは意外と腕の上の方の痛みとして自覚しやすいという特徴があります。

ですから、患者さんも僕が肩を注意深く触れていると、

「いや、先生、肩じゃなくて腕が痛いんです」

とおっしゃることも少なくありません。

しかし、実際に肩関節を動かしたり、痛みを誘発するテストをしてみると痛みが出るんですね。それで、

「ああ、肩が悪いんですね」

と理解されるという流れはとても多いです。

それは次の腱板断裂でも同様の傾向です。

さて、肩関節周囲炎、五十肩による腕の痛みの特徴は

  • 肘関節の曲げ伸ばしでは痛くない
  • 肩関節をある方向に動かしたときの痛みがある(その方向はケースバイケース)

ということが基本です。

また、肩に圧痛があることは多いですが、腕の痛いところには圧痛(押しても痛い)という部分はないことが多いです。

詳しくはこちらでも解説しておりますが、

五十肩の症状判定 この症状は典型的?

2017.04.02

五十肩 この症状は典型的

まず五十肩に典型的な症状を紹介していきます。

動作時痛 動かすと痛みが走る

五十肩は普段、日中に何もしてないときに痛い(安静時痛)というのはあまりありません。

腕を回したとき、肩を挙げたときなど動かしたときに痛いというのが典型的です。

夜間痛 寝ていると痛くて目が覚める

Lonely mature man drinking beer at evening

次に夜間痛、夜寝ていると目が覚めちゃうくらいに痛むというのが典型的です。他の関節、部位では夜間痛というのは、何か重大なものが隠れている可能性を示唆しますが、肩の場合は五十肩を含め、多くの炎症において頻繁に出現する症状です。

可動域制限 肩が回らない

可動域制限、これは肩を動かす幅が狭いことをいいますが、典型的には肩を上に上げられない、後ろに回せないなどの症状が出ます。

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腱板断裂

腱板断裂(けんばんだんれつ)についても肩関節周囲炎と同様に肩関節周囲の問題と言えますが、より重症と考えていいと思います。

こちらで詳しく解説しております。

肩腱板損傷に特徴的な症状はあるのか? 肩専門医解説

2016.12.11

肩腱板損傷の特徴的な症状

この肩腱板損傷の症状ですが、
まずは当然、肩の痛みが典型的です。

しかし、それだけでは
五十肩や肩関節周囲炎など、
他と区別がつきません。

そういう意味では
腱板損傷のときに特徴的な症状を
理解しておきたいところです。

腕を捻ったときの痛み

まず腕を捻ったときの痛みです。

時にはドアノブを回したり、
扉の開閉をしたり

というような、小さめの動作でも痛い

ということがあります。

これは肩腱板筋群が
英語ではrotator cuff

つまり、回旋腱板と呼ばれるように

肩の回旋運動を担当するということが
1つの理由です。

自分ではあまり上がらないが、やってもらうと上がる

もう1つは、

肩が上がらない

という、多くの人が悩まされる肩の症状の中でも

自分の力では上げられなくて、

他の人や、
自分の逆側の手で腕を持って、
上げ「られる」と、

結構、上まで上げられる

という症状も特徴です。

筋肉が痩せている

腱板損傷では、
損傷した筋肉は使えなくなってくるので、

筋肉が萎縮します。

Man feels pain in the small of the back and holding hands on his loin

そうすると、裸になって、
両肩甲骨を比べてみると、

筋肉が痩せていることがあります。

肩腱板損傷は症状だけでは判別できない

最後に元も子もないような話ですが、

こういった特徴はあるモノの、

多くの肩腱板損傷の患者さんを拝見してきますと、
まったく肩が上げられない人や、
痛くて眠れない人もいらっしゃれば、

ちょっと痛い程度の人、

時には痛みが全然ない人までいます。

そういった経験から

僕は肩が専門だからこそ、

症状だけでは肩腱板が損傷しているか否かを
判断できないと考えています。

そのため、症状の経過や
患者さんの求めるレベルと肩の現状の機能のギャップ
などを判断して、

必要があれば、積極的にMRIや超音波などで
肩腱板損傷の有無をチェックしています。

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂

上腕二頭筋長頭腱炎

上腕二頭筋長頭腱炎(じょうわんにとうきんちょうとうけんえん)は肩や腕の前方の痛みとして自覚することが多いです。腕の場合でもいわゆる「二の腕」に沿った痛みを感じることも多いでしょう。

これも上腕二頭筋長頭腱が肩関節の中に入り込むところでの炎症が多いので、結局、肩の動きに関連した動きが中心であることがほとんどです。

こちらで詳しく解説しておりますが、

上腕二頭筋長頭腱炎とは? 専門医がわかりやすく

2017.03.30

上腕二頭筋長頭腱炎の症状は肩前方の痛み

これが上腕二頭筋長頭腱炎の典型的な状態です。

そのため、結節間溝部分に動かしたときの痛みや、押しての痛みなどが出現します。

また、診察のときには、Speed testという診察テストをやります。これが陽性の時は、下のイラストのように肘を伸ばして手のひらを上にして肩を力を入れて抵抗に負けないように挙げていってもらうと痛みが走ります。

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂

首の神経の問題(頚椎椎間板ヘルニアなど)

首の骨である頚椎の後に走る脊髄神経やその枝である神経根(しんけいこん)に問題(椎間板ヘルニアなどによる圧迫や靭帯などによる圧迫、外傷による神経損傷など)があっても、腕の痛みが出現することがあります。

また、神経の症状なのでしびれとして出現することも少なくありません。

この場合は肘も肩もどう動かしても痛みは変わらず、常に痛いというケース。
または首を前屈したり後屈したり、左右に傾けたりすると痛みが強まるケースが典型的です。

また、神経の障害ですから、動かしたときに痛くはなかったとしても、力が弱くなっていることがあり得ます。これは麻痺症状ですから早期に病院受診が必要な症状です。

筋肉痛(上腕二頭筋 or 上腕三頭筋)

直接的でわかりやすいのは筋肉痛ですね。

これは何らかの腕に負担がかかったエピソードがあるとわかりやすいですね。慣れない運動をしたとか、重いものを持ち運んだとか、変な姿勢で寝てしまっていたとか・・・

この場合はその筋肉を押せば痛い、力を入れれば痛いということになります。それは肘を曲げる上腕二頭筋か、肘を伸ばす上腕三頭筋、そのどちらかであることがほとんどでしょう。

骨折や肉離れなど外傷

これはあまり原因を心配するということはないかもしれません。

何らかの外傷や強い負荷がかかれば、骨折や肉離れなどが起こっている可能性があるわけですね。

ただ、そういった強い外力がかからなくても、疲労骨折を起こしてしまうこともありますし、また、遊びで腕相撲をやっていたら骨折してしまった、ボールを投げたら骨折をしてしまった(投球骨折)なんてこともありますから、注意は必要です。

 

何科? 「整形外科」

この筋肉、関節、また首の神経や末梢神経の部分的な問題はすべて整形外科が専門です。

整形外科というのは歴史的にそんな名前になっちゃって、わかりにくいですが、「運動器科」というのが一番、実際の領域を表していると思っています。

運動器というのは身体の運動を主な役割とする部位で、骨や筋肉、関節、軟骨、神経・・・などなどということになります。

そして、それらの部位を手術だけするわけではなくて、薬も使いますし、注射もします。そういう意味では内科的な治療も行うので、整形外科というよりは運動器科が正確だと思いますが、そんな標榜科はいまのところないので、整形外科ということになります。

間違えやすいのが形成外科や美容整形外科です。この2つは結局は形成外科として皮膚や美容上重要性される部位の治療を行う科と考えていただくといいですね。

ということで、腕の痛みについてはまずは整形外科に相談していただくのが基本であることは間違いないです。

しかし、整形外科で相談しても

「原因はわかりませんね・・・」

とか、

「筋肉が原因だと思いますが、経過を見ていけばよくなると思いますよ」

といわれたのによくならない

ということもあるかと思います。

そんなときに他の科で治療すべきものが隠されている可能性もあるわけです。

何科? 「内科」に行った方がいい腕の痛み

まず内科に行った方がいい腕の痛みです。

内科は幅広い科で、消化器内科、循環器内科、呼吸器内科、神経内科・・・などなど、また細分化していますが、

腕を構成しているもので内科が取り扱う臓器は血管(循環器内科)と神経(神経内科)、そして一部の筋肉など(膠原病内科)になります。

脳梗塞、脳出血など神経障害としての痛み

腕の感覚や運動を支配する神経の大もとは当然「脳」です。この脳に問題があって腕に痛みやしびれが起こることがあります。

代表的なモノは脳梗塞脳出血などですね。

これは一大事ですが、多くは腕の一部分だけが痛い、しびれるというよりは右腕と右脚とか左腕と左脚のような片側全体に症状が出ることが多いです。

また、もともとリスクを抱えている人が多いです。動脈硬化や血栓症、高血圧、高脂血症、血管の病気などですね。

腕に血栓ができるなんてことも

腕の血管に血栓ができるということも、ごくごく稀に起こります。

脚の血管に血栓ができるのが、いわゆるエコノミークラス症候群と呼ばれるモノで放っておくと肺に血栓が飛んでしまう怖い病気ですが、それが腕に起こるとうことですね。

脚よりも圧倒的に頻度が低いので、そこまで気にしすぎる必要はありませんが、腕のケガのあとや手術のあとなどで血の巡りが悪かったりするとリスクが少し上がります。

膠原病内科は一度相談の価値あり

腕の痛み、または肩や肘の関節の痛みの原因としては膠原病内科に相談すると原因が判明するものがあります。

膠原病というのは自分の免疫細胞や抗体が自分を攻撃してしまって炎症や関節・臓器を破壊してしまう病気です。

関節の炎症を起こすものとしては、関節リウマチが代表的ですが、

筋肉の痛みを出すモノとして、

  • 皮膚筋炎/多発性筋炎
  • リウマチ性多発筋痛症
  • 線維筋痛症

などがあります。

こういった膠原病の特徴は1つの場所じゃなくて両腕に痛みが走ったり、複数の関節や筋肉が痛かったりと一カ所じゃないというのが特徴の1つです。他には皮膚の病変や内臓の病気なども一緒に併発することがあるというのも特徴です。

これらはステロイドという炎症を強力に抑える薬や免疫抑制剤・生物学的製剤という自分の過剰な免疫を抑えるような薬を使って治療していくことになります。

何科? 皮膚科に行った方がいい腕の痛み

腕の皮膚に問題があって痛いということもあります。

その場合は当然、皮膚が赤くなったり、発疹があったりするのでわかることが多いんですが、意外と直に見ないで気付かないということがあります。

帯状疱疹は意外と多い

そういった見逃しやすい皮膚の疾患として、帯状疱疹(たいじょうほうしん)があります。

これは神経にウイルスが感染してしまうことで痛みを出すので、痛みも皮膚が炎症していたい、いわゆる皮膚炎とは違うので皮膚が問題と感じにくいんですが、よくみると発疹があって気付くことがあります。

また、皮膚の変化が痛みよりも遅れて出ることもあるので、その場合は特に気付くのが難しいと言えるでしょう。

何科? ペインクリニックに行った方がいい腕の痛み

ペインクリニックという麻酔科の医師が標榜するクリニック、科があります。

これは病気の原因そのものを治療するというより、痛みを感じている神経に対して治療をしていこうということや痛み止めを強力に調節していく、というようなことをやってくれる科です。

原因がはっきりしない痛みでも治療の可能性はある

実際に腕の痛みの原因がはっきりしないことがあって、治療に難渋してしまうことがありますし、

原因がはっきりしても、その原因が治療困難という状況もあります。例えば、骨折の後遺症として痛みが出ていて、根本的には手術を考えたいところですが、体調的にどうしても手術は難しいというケースなどですね。

そんなケースではペインクリニックでの治療が検討されます。

根本的には治せないとしても、痛みを軽減することで日常生活、仕事の苦痛を減らして過ごすことができるかもしれないわけですね。

まとめ

腕の痛みの原因となる病気はどんなものがあるか?ということについてできるだけ幅広く解説してみました。少しでも参考になりましたら幸いです。

肩の痛み、障害というマイナス状態からゼロに戻すだけでなく、さらにプラスへ持っていく方法や考え方についてはメールマガジンで解説していますので、興味が持っていただけましたらご登録をお願いします。

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当サイト管理人の歌島は関東の複数の病院で診療を行っております。

おかげさまでたくさんのご相談をいただいております。どうしてもゆっくり時間をかけて1人1人と向き合えないのが悩みですが、それでも、患者さんの希望、理想的にはゴールをできるだけ掴んで、お手伝いできること・ご提供できることを常に探しながら診療しております。

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