肩が上がらないのは痛いか痛くないかで治療法が変わります 肩専門医解説

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歌島 大輔
歌島 大輔
スポーツ整形外科医師(非常勤)景翠会 金沢病院
スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

肩が上がらないという症状で受診される患者さんは年齢問わず、かなりいらっしゃいます。特に肩を専門としていると毎週何人もお会いしています。

その患者さんの肩が上がらない原因もそれに対する治療も、実はいくつかのパターンに分かれます。

四十肩のこともあれば、腱板断裂がある人もいる。神経が原因の人もいますね。

それらの原因の見分け方と、その原因別の治療法について専門医の立場から解説したいと思います。

こんにちは、肩を専門とするスポーツ整形外科医の歌島です。本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

肩が上がらなくて、痛い

特に痛みの出方との関連で原因を絞り込むことが出来ます。
まず肩が上がらない + 痛い というケースです。

Sport injury, Man with shoulder pain

自分で肩を上げようとすると痛くて上がらない

まず自分の力で肩を上げようとしたときに痛くて上がらない・・・

ただ、

逆の手で、もしくは誰かに腕を持ってもらって上げてもらえば、痛みはあれど上がる

というケース。

腱板損傷

これは1つシンプルに考えると、自分の筋力を使うと痛いわけですから、腱板損傷のような筋肉損傷が考えられます。

腱板損傷というのはこちらで詳しく解説しておりますが、

腱板断裂をまるごと肩専門医が解説

2017.10.30

要は肩を動かす時に安定化させてくれている大切な筋肉です。
肩を上げるときにも頑張ってくれています。

これが切れても肩が全く上がらなくなるとは限らず、外側のアウターマッスルである三角筋を使って上げられることはあります。

でも、安定的には上げられないので、だんだんと痛みが出たり、ちょっとした捻り動作などで痛みが出たりということが起こります。

この腱板損傷の治療は損傷の具合や患者さんの状態、背景によって異なります。一般的に完全断裂に至ってしまった腱板損傷は自然にくっつくことは少ないので手術が必要になるケースが多いです。

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逆の手で(もしくは他人に)上げてもらおうとしても上がらない

自分の力でも上がらないが、逆の手で手を持って上げようとしても、また、誰かに上げてもらうとしても痛くて上がらない

というケースもあります。

この場合は自分の筋力を使おうが使うまいが痛みが出て、上がらないということで筋肉以外の問題も考えたいところです。

四十肩の炎症期

となると典型的なのは四十肩の炎症期です。

四十肩は五十肩とも肩関節周囲炎とも癒着性関節包炎とも言われますが、要は肩関節周囲に炎症が起こっている状態です。

こちらで詳しく解説しておりますが、

四十肩の治し方の流れ丸わかり 専門医解説

2017.04.07

四十肩の典型的な症状を解説! by肩専門医

2017.04.03

この四十肩の治療は基本は保存治療です。炎症を抑えるための飲み薬や安静、注射療法などで炎症(≒痛み)を抑えていきます。
その炎症が落ち着いてきたら、少しずつリハビリテーションをするという流れです。

四六時中、何にもしなくても肩は痛いし、上がらない

ケースとしては多くありませんが、朝も晩も昼も、肩を動かそうと動かすまいとも変わらず痛いし、上がらない

そんなケースは肩そのものに問題があるというよりは神経に問題がある可能性を考えたいところです。

肩関節やその周囲に何かしら問題があれば、動かせば痛いはずですが、動かしても動かさなくても痛いということであれば、別の問題が考えられ、その典型的なモノとしては肩周囲を支配する神経の障害です。

頚椎ヘルニア

肩周囲を支配する神経は首(=頚椎)のレベルで脊髄から枝分かれします。このレベルでヘルニアなど神経の圧迫する病変があると肩の痛みや動きに悪さ(≒麻痺)が起こり得ます。

これが見つかれば、神経ブロック注射などを行うこともあれば、神経障害性疼痛の薬を飲んでもらったり、時にはヘルニアを切除する手術を行うこともあります。

肩が上がらないけど、痛くない

次に肩は上がらないんだけど、痛くないというケースです。

肩は誰にやってもらっても上がらない

1つは完全にカタくなっちゃってどうやっても上がらないというケースです。誰がやってもカタくて上がらないという状態ですね。

 

これはまさに関節拘縮です。物理的に上がらないんですね。

四十肩の凍結期(凍結肩・拘縮肩)

その典型的な状態は四十肩の末期で、凍結期と言います。凍結肩と言います。

こちらで詳しく解説しておりますが、

凍結肩とは? 肩が凍結しちゃうってどういうこと?

2017.04.05

肩を取り囲む膜である関節包(かんせつほう)が分厚くなって、柔軟性がなくなってしまった状態です。

また、骨折などの外傷や手術のあとなども関節包が分厚くなったり、癒着したりして拘縮してしまう拘縮肩という状態もあります。

どちらにしても基本は気長にリハビリです。

時間をかければ上がるようになるケースは少なくありません。
しかし、どうしても厳しければ関節鏡手術で分厚くなった関節包を切開すると一気に動くようになります(その後のリハビリを頑張らないとまたカタくなりますが)。

自分では全然上がらないけど、他人に動かしてもらえば上がる

それに対して自分では全然上げられないけど、他の人に動かしてもらえば上がるというケースは物理的にはカタくなっていないけど、自分の力は入らないという状態です。

この場合は先ほど説明した頚椎ヘルニアのような神経障害による麻痺もあると思いますが、もう一つ、

重症の腱板損傷

腱板損傷もどんどん進行し、大きく切れてしまうと、いよいよ肩が全然上がらなくなってしまいます。

これが神経麻痺を起こした状態に似ているので、偽性麻痺(ぎせいまひ)と言います。

こうなってしまうと手術以外ではなかなか上がるようにはなりません。

手術は腱板が縫えれば縫いますが、なかなか難しいことも多く、太ももの筋膜を移植する手術や人工関節手術などが行われます。

僕も重症の腱板損傷の手術をすることは比較的多いのですが、基本的にはできる限り腱板の修復を第一に考えて治療方針を計画しています。

まとめ

今回は肩が上がらないという時の見分け方とそれぞれの治療法について解説いたしました。少しでも参考になりましたら幸いです。

肩の痛み、障害というマイナス状態からゼロに戻すだけでなく、さらにプラスへ持っていく方法や考え方についてはメールマガジンで解説していますので、興味が持っていただけましたらご登録をお願いします。

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