野球肩の手術とは?肩専門医が解説

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歌島 大輔
歌島 大輔
スポーツ整形外科医師(非常勤)景翠会 金沢病院
スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

野球肩、それは野球という投球動作が多いスポーツにおいて、
どうしても負担が繰り返しかかるために肩に痛みがでてしまう

という状態です。

それは野球に限った話ではなく、ボールを投げるという動作、
または腕をスイングするという動作で
ときに肩が痛くなりますが、

そのときに肩の中で起こっていることというのは、
結構共通点が多いというのがわかっています。

 

そのため、野球肩という通称から、
より病態を反映した投球障害肩という言葉が専門家の間では
よく使われるようになっています。

その共通して起こっている状態は、
ある程度重症になると、「何かが損傷しています」

その損傷が安静にして、
投球中止にしていると治ってくれることもあれば、

やはり、手術しないと治らないということもあります。

 

今回は野球肩の基本をまとめながら、
手術が必要なケースについて
手術の方法などを解説していきます。

こんにちは、スポーツ整形外科医の歌島です。
本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

野球肩とは?

野球肩とは、
先ほども述べたとおり、別名、投球障害肩と言いますが、

つまり、投球動作の繰り返しで起こる
肩の痛みのことです。

つまり、肩のどこが傷んでいる
ということを表した言葉ではないので、
野球肩と言っても、様々な病態があるわけです。

野球肩の一番の原因は?

野球肩には様々な病態がありますが、

その原因は
しつこいようですが、

投球動作の繰り返しです。

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投球動作中の肩は回旋運動+αが実状

投げるという動作において、

一番大きく動いているのは、
肩の回旋運動、すなわち外旋と内旋という動きです。

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂

投球動作中の
この外旋と内旋という動きは、
日常生活では経験しない可動域(動く範囲)とスピードです。

そのため、繰り返せば、
様々なところに無理が来るというのが原因です。

肩の回旋運動で負担がかかるのは?

肩の回旋運動で負担がかかる部位は
たくさんあります。

その中でも、

肩の回旋運動を担いながら、
肩を安定化させている
インナーマッスル、腱板筋群であったり、

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂

肩の安定化の最重要組織と言ってもいい、
関節唇(かんせつしん)、

 

肩の前方の安定性に貢献している
腱板疎部(けんばんそぶ)

などが代表的です。

これらの部位が
様々な原因の中で傷んでしまい、

投球時の痛みにつながる

それが投球障害肩=野球肩というわけです。

手術が必要になることがある野球肩の病態

そんな中で
今回は手術の話ですが、

野球肩においては、
手術をせずに
自然治癒力の中で治しつつ、
リハビリテーションなどで

痛みなく投げられる

という状態を目指すことが基本です。

 

しかし、それでも
手術的に修復しなければ治らない
というケースがあります。

そんな代表的な3つの病態について
解説いたしましょう。

SLAP病変

SLAP損傷とは?(肩関節上方関節唇損傷)

SLAP損傷のSLAPというのは、頭文字なんですが、

Superior:上方
Labrum:関節唇(かんせつしん)
Anterior:前方
Posterior:後方

ということで、

要はSLAPとは肩の上の方の関節唇の前側と後ろ側です。
ここからここまでの間のどこかの損傷ということになります。

画像引用元:OSnow_instruction_11_肩・肘のスポーツ障害 メジカルビュー社

関節唇(かんせつしん)とは?

関節唇というのは肩の関節の中で肩甲骨側の受け皿にあたる関節窩(かんせつか)と呼ばれる部位の受け皿を深くして外れにくくする役割がある柔らかめの軟骨です。

ちょっとわかりにくいですね。噛み砕きます。

まず、肩関節は上腕骨と肩甲骨から成りますが、肩甲骨側が受け皿のような形、上腕骨側が受け皿に乗っかるボールのような形をしています。

これをボール&ソケットタイプの関節と呼びます。

画像引用元: Philipp N et al:Anterior Glenohumeral Instability: A Pathology-based Surgical Treatment Strategy. AAOS 2014

この受け皿側の骨(関節窩)の形状ではとても浅いので、ボールがすぐに転げ落ちてしまいそうになります。

つまり、脱臼ですね。

そうならないように関節窩をぐるりと取り囲むようにして、受け皿に深さを与えているのが関節唇という柔らかめの軟骨だということです。

なぜ損傷してしまう?原因は?

この関節唇の上方が損傷してしまう原因ですが、

一番多いのはインターナルインピンジメントと呼ばれる投球動作における擦れ(こすれ)や衝突です。

どこどどこが衝突するかというと、

上方の関節唇(=SLAP)後ろ側、上側のインナーマッスルである棘下筋と棘上筋のスジである棘下筋腱+棘上筋腱です。

画像引用元:OSnow_instruction_11_肩・肘のスポーツ障害 メジカルビュー社

この2つの部位が投球動作の特に腕がしなるリリース直前あたりの動きで近づき、擦れてしまう。というのがインターナルインピンジメントです。

この衝突を繰り返すことで上方のやや後方よりの関節唇が関節窩(骨)から剥がれます。

そして、この上方関節唇には実は上腕二頭筋(力こぶ筋)の長頭腱がくっついていますので、この上腕二頭筋の牽引力も加わって、だんだん前方の方まで関節唇が損傷してしまう。

画像引用元:OSnow_instruction_11_肩・肘のスポーツ障害 メジカルビュー社

そんな流れが典型的です。

SLAP損傷の手術は?

最後にSLAP損傷の手術ですが、これは主に関節鏡という肩関節の内視鏡を用いて行います。

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂

それゆえ周囲の筋肉などの損傷を最小限にして手術を行うことができます。

そして、関節唇が剥がれてしまった関節窩という骨に糸を埋め込んで、その糸を剥がれた関節唇に通して結ぶ。

という手術を行います。

それ以外にもカタくなっている部位に切れ目を入れたり、炎症している部位をクリーニングしたりという処置を追加したりします。

腱板損傷・インナーマッスルの損傷

多くの投球障害における
腱板損傷は
関節面の部分損傷で、

肩まわりの筋力強化や
投球フォームの改善などで

負荷を減らせられれば、
手術をしないでも
復帰することが期待できます。

 

ただ、これも同様で、
損傷の程度によっては、
手術が必要です。

腱板損傷については
こちらで手術についても解説しております。

肩腱板損傷の手術方法について専門医解説 -部分損傷-

2016.12.09

肩腱板とは大事なインナーマッスルの腱の合流部

肩腱板(かたけんばん)

これは、ということになりますが、
それぞれ解説いたします。

肩については、いいですよね。

次に「」ですが、

筋肉は骨にくっつく前に
より筋張って、硬めの線維に移行します。
この筋肉の続きの硬めの線維を「腱」
といいます。

次に「板」ですが、
これは解剖学用語というよりは、
見た目を表したモノです。

肩のインナーマッスルと呼ばれる、
深いところ、関節に近いところにある筋肉の中で、

特に重要な筋肉が
4つあり、

それぞれ

  1. 肩甲下筋
  2. 棘上筋
  3. 棘下筋
  4. 小円筋

という名前がついています。

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂

この4つの筋肉が、腱となって、
最終的には合流して「板」状になるので、

「腱板」というわけです。

つまり、肩腱板というのは、
4つのインナーマッスルの腱が
最終的に合流した部位

腱板筋群とは
4つのインナーマッスルのこと

と言えます。

肩腱板損傷は単なる筋損傷、筋断裂とは違う

この肩腱板が、損傷してしまう。
それはつまり断裂してしまうわけですが、

これを他の部位の筋肉の断裂と
同じとは考えない方がいいです。

通常、筋肉が切れてしまっても、
だんだんと修復されて、

ある程度の強度を持って、
筋肉がくっつきます。

つまり、よほどの重症でない限りは、
筋肉や腱の損傷はくっつきます。

肩腱板断裂は時間がたってもくっつかない

しかし、肩腱板損傷については
時間が経ってもくっつかないことが多いです。

その大きな理由は、

肩腱板損傷は骨から腱板が
剥がれるように切れてしまうからです。

骨と腱という

カタいものと
ちょっとカタめのスジ

これがくっつくというのは、
筋肉同士や腱同士がくっつくことにくらべ、
難しいということですね。

そのため、
ほとんどの腱板損傷は
時間とともに、
むしろ重症化していきます。

肩腱板損傷の完全断裂と部分断裂(部分損傷)について

肩腱板損傷にも
損傷の重症度があります。

その中でもわかりやすい境界線が、

完全断裂か部分断裂か

ということです。

それには肩腱板の厚さについて
理解する必要があります。

腱板はしっかりした、厚い組織です。
そして、いくつかの層にわかれています。

肉眼レベルで言えば、
浅い層と深い層の2層構造で考えています。

そのままの名称ですが、
浅層深層です。

この肩の腱板は関節の中と外を隔てていますが、
浅層も深層も切れてしまう、完全断裂となると、

関節の中と外が交通してしまいます。

よく関節鏡という内視鏡で手術をしますが、
関節の中を覗いていても、
完全断裂をすると、腱板の断裂部から、外側が見えます。

部分損傷は3種類あり

それに対して、部分断裂というのは、
浅層、もしくは、深層、
もしくは、その間が切れてしまう

ということです。

腱板の浅層は関節の外側で、
外側には滑液包という滑膜で包まれたスペースがあります。

逆に腱板の深層は関節の中側で、
関節包という関節を包む薄い膜と連続しています。

ですので、

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂

浅層の断裂を滑液包面断裂
深層の断裂を関節面断裂
その間の断裂を腱内断裂

と呼びます。

当然、部分損傷の方が、
完全損傷より軽症です。

この部分損傷が時間の経過とともに
徐々に重症化して
完全断裂に至ります。

ただ、痛みの程度は
意外と部分損傷の時に強いということもあります。

肩腱板損傷 -部分損傷-の手術法

【関節鏡下腱板修復術】内視鏡だから縫える

基本は関節鏡下腱板修復術です。

これはそのままシンプルです、
先ほども出てきた関節鏡を使って、

腱板の切れたところを修復するということです。

修復の方法は
細かく言えば、いろいろありますが、

大原則は、
骨に腱板の切れ端を縫い付ける

ということが必要になります。

腱板断裂は
骨から剥がれるように切れるのが特徴でしたね。

そのため、骨に糸を通すのは
難しいので、

一般にはアンカーという
糸付きのスクリューを骨の中に埋め込んで、
その糸を腱板に通して、
結ぶなどして固定します。

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂

関節鏡でなければ縫えない

関節面断裂や腱内断裂は
関節鏡を使わないと縫えない

と言ってもいいでしょう。

昔は腱板断裂は、
皮膚を数cm切って、三角筋という
アウターマッスルをこじ開けて、

腱板に到達して、
直接観ながら縫っていました。

今もその方法で縫う先生もいますが、

関節面断裂や腱内断裂は
関節の中と外を行き来して、
縫合しないといけません。

しかし、部分断裂では、
腱板を完全に切らない限りは
関節の中は直視できません。

それはやりすぎですよね。

治してるのか、壊してるのかわかりません。

そういう意味では、
この部分損傷の治療においては、
特に関節鏡手術に優位性があると言えるでしょう。

腱板疎部損傷

腱板疎部損傷については、
こちらで基本から
治療まで解説しておりますので、

ご参考にしてください。

腱板疎部損傷とは?治療法は? 肩専門医解説

2016.12.14

腱板疎部とは腱と腱の間の薄いところ

腱板疎部というのは、
この腱板の中でも

前方の肩甲下筋腱と棘上筋腱の
をいいます。

この間にもやや薄めですがスジがあって、

  • 烏口上腕靱帯
  • 上関節上腕靱帯
  • 関節包

という名前の組織の複合体
と考えられ、

腱板のように、
筋肉としての働きではありません。

主に、肩関節の脱臼を防ぐような
安定性に貢献している
と考えられています。

痛みの部位は肩の前方

痛みの部位は、
当然、損傷している腱板疎部が多いです。

そこは肩の前方にあります。

烏口突起という突起を触れられれば、
その外側あたりに位置しているので、
わかりやすいです。

画像引用元:肩関節外科の要点と盲点 (整形外科Knack & Pitfalls)第1版 文光堂

画像引用元:肩関節外科の要点と盲点 (整形外科Knack & Pitfalls)第1版 文光堂

腱板疎部損傷の治療法

この腱板疎部損傷の治療は
そんなに難しいことはありません。

難しいのは、むしろ診断で、

肩の痛みの原因が本当に腱板疎部損傷にあるのかどうか?
これを常に考える必要があります。

肩という元来不安定な関節の
その不安定性は
人によって個人差が大きいです。

そのため、腱板疎部損傷があって、
それによる不安定性が痛みの原因になる人と、

ほとんど不安定性が出ずに
痛みも出ない人といます。

つまり、腱板疎部損傷が
MRIや関節鏡検査などで認められた場合、
じゃあ、それを治療すればいい
決めつけないことです。

他に原因がないかも含めて調べた上で、
やはり腱板疎部が原因だろうと判断した場合に、

その治療に進みます。

そうしないと、
腱板疎部を手術して修復したけど、
全然痛みは良くならない

なんてことになることもあり得ます。

炎症をコントロールする

まずはシンプルに
腱板疎部損傷部の炎症を
コントロールする

ということで、
消炎鎮痛剤や腱板疎部にステロイド注射
などを打ちます。

これで痛みがコントロールついて、
改善していけばいいわけですが、

痛みが残る場合は、
手術を検討します。

関節鏡手術

腱板疎部は関節鏡で関節の中から
よく観察することが出来ます。

そこで傷んでいる部位を見つけて、
糸で縫合する
というのが一般的な方法です。

関節鏡の手術に習熟した整形外科医であれば、
そこまで難しい手術ではありません。

その他 野球肩の手術

そのほか、
野球肩の原因に対する手術には、

取り切れない炎症≒痛みの原因となり得る
増えた滑膜という膜をクリーニングする
クリーニング手術があります。

【関節鏡下肩峰下除圧術】いわゆるクリーニング手術

まずは通称、クリーニング手術というものです。

正確には関節鏡下肩峰下除圧術という
小難しい名前がついています。

この手術は滑液包面断裂に対して、特に効果的であり、
また、完全断裂においても腱を縫う前に行われます。

関節鏡下肩峰下除圧術のターゲットはインピンジメント

この手術についてお伝えする前に、

インピンジメント症候群について
ご存じない方には、理解いただきたいと思います。

こちらで詳しく解説しておりますが、

インピンジメント症候群とは?肩専門医が解説

2016.12.12

インピンジメント症候群とは、

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂(一部改変)

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂(一部改変)

肩腱板の外側と、

肩甲骨の一部である肩峰(けんぽう)
または、
そこと連続する烏口肩峰靱帯(うこうけんぽうじんたい)

こすれるように、衝突する、
という病態です。

それが痛みを出したり、
腱板損傷の原因となったりする

と考えられています。

この状態を改善しようとするのが、
このクリーニング手術です。

実はクリーニング手術は通称であり、
また、広い概念を表します。

要は「お掃除手術」なわけですから、
痛みの原因となっているようなものを
お掃除するということ全般を指します。

なので、クリーニング手術の1つに
関節鏡下肩峰下除圧術がある
と捉えていただくと正確です。

関節鏡下肩峰下除圧術とは?

では、実際にはどういうことを行うのか?

というと、

かなりシンプルです。

まず、関節鏡という内視鏡を用います。
ペンよりも細い筒型のカメラを
関節の中や滑液包の中に挿入するわけですが、

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂

胃や腸のように、
穴(口やお尻の穴)があるわけではありません。

そのため、小さく
1–1.5cmくらいは皮膚を切開して、
関節鏡や手術用の鉗子(はさみやメスなど)を
挿入して手術をします。

そして、インピンジメントの原因となる、

肩峰の下側を
薄くします。

これは骨を削ると言うことです。

特に、肩峰の下側でかつ、前の方は、
骨棘(こつきょく)と呼ばれる、
増殖した骨の棘があります。

これは特に痛みの原因となるので、
しっかりと削ります。

それに加え、
烏口肩峰靱帯(うこうけんぽうじんたい)
という靱帯を切ってしまいます。

靱帯を切ってしまって大丈夫なのか?

という心配は当然あると思います。

すべての人において大丈夫!
とは言いませんが、

多くの人においては大丈夫です。

それはなぜかといえば、

この烏口肩峰靱帯はその名の通り、

烏口突起(うこうとっき)と
肩峰をつなぐ靱帯です。

しかし、この2つ・・・

どちらも肩甲骨の一部なんですね。

つまり、同じ骨の異なる部位を繋ぐ靱帯なんです。

靱帯の役割は、
骨と骨を繋いで、
その骨と骨が関節において不安定にならないように、
脱臼しないように張って支えることです。

しかし、この烏口肩峰靱帯は
同じ骨を繋いでいるので、
不安定も何もありません。

そういう意味で大丈夫と言えます。

 

 

関節包切離術・リリース術

さらには、

カタくなった関節包を切開して、
柔軟性を上げる関節包切離術(関節包リリース術)

などもあります。

こちらの動画は凍結肩、拘縮肩に対する全周性の関節包切離術です。
実際、野球肩の場合は部分的(特に後方)の関節包を切離することが多いです。

結局、野球肩の手術は受けた方がいいのか?

結局、様々な病態において、
重症度というものがあって、

さらに、個人個人の体格や筋力、
異なる投球動作という

いわゆる個人差の中で、

 

手術を受けた方がいいのか?
手術をしない方がいいのか?

 

というのは

一概に正解はこれ!
とはいきません。

手術のメリット

これはものすごくシンプルです。

直接的!

ということです。

傷んだ組織、
もっというと
切れたり、剥がれたりした組織を
もとの位置に固定する、縫い付けることで
修復させることができる。

もしくはカタくなった組織も、
直接切れるし、

炎症を起こしている組織を、
直接掃除できる。

それは、じんわり自然治癒力を
期待しているより早いかもしれないし、

自然治癒力では治らないレベルも
治せるかもしれない。

そこにメリットがあります。

手術のデメリット

しかし、デメリットとして、

関節鏡という、
非常に低侵襲な手術が可能になっていますが、

一部、正常な部分にも負担をかけますし、

手術そのものがわずかでも
必ず肩にダメージを加えます。

また、手術とは言っても、
完全元通りにするというわけではありません。

修復も縫った後の
腱板や関節唇の緊張が、
損傷前より高まって、
肩の可動域が狭まったりすることもあります。

僕らは人間を創りだした神様ではないので、
完全元通りなんてことはできなくて、

現状の医療技術の中で、
できうる限りの修復をする

ということです。

 

これは実は大きな違いで、

完全元通りにできるなら、
手術した方がいいに決まってます。

でも、そうではないので、
メリットとデメリットがある中で
このできうる限りの手術による修復が

余計なこと、
つまり「やらなきゃ良かった・・・」

なんてことにならずに、
スポーツ復帰に繋がるということを
できる限りの確信を持ってやりたいし、
そういう確信を持って手術をしてほしい。

それが僕ら整形外科医の本音ですし、
受ける患者さんの当然の希望だと思います。

 

結局は主治医とよくよく相談して、
メリットもデメリットもリスクも
理解、納得して受けていただくのが
大切なのは言うまでもありません。

野球肩の手術費用の目安

当然、気になるところですよ。

野球肩の手術にかかる費用はどのくらいなのか?

これは病院の治療方針や入院期間などによって変わりますが、

3割負担の患者さんの場合は

20万円から30万円の間くらいではないかと思いますが、

ただ、それをすべて負担しないといけないかというとそうでないことが多いです。
医療保険や公的な助成で負担軽減ができることがあるからですね。

限度額適用認定という制度を活用しよう

とくに限定額適用認定という制度は知っておく必要があります。

これは、入院・手術等で診療費用が高額になる場合、あらかじめ保険者から『限度額適用認定証』の交付を受け、医療機関の窓口に提示頂くと、診療費用の患者様負担額が軽減される制度です。

診療費用が高額となった場合、全額をお支払い頂いた後でも保険者に対し申請を行えば、この制度で定められた自己負担限度額を超えた金額について払戻しを受けられます。

しかし、事前に申請を行い提出頂くことで、一時的な多額の現金の支払いを軽減できます。 (入院時の有料個室や食事等の保険対象外の医療費は対象外)

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g5/cat550/1137-91156

このようなサイトも参考にしながら、ご自身の健康保険の保険者にお問い合わせしてみてください。

野球肩の手術は入院が必要?

野球肩の手術のほとんどは関節鏡手術で小さい傷でできますから、

「入院は必要ですか?」

ということはよく質問いただきます。

 

結論から言うと、入院は必要とお答えしています。

病院によっては神経ブロック麻酔のみで、全身麻酔はかけずに日帰り手術を行う病院もあるようですが、

  • 神経ブロック麻酔の効き具合の個人差で術中の痛みが抑えきれない
  • 多少の鎮静(眠る)をするにしても手術中に意識が戻って怖い思いをしてしまう
  • 手術後の鎮痛処置が痛み止めを飲むか坐薬をするかという選択肢しかなくなる

というような可能性がありますので、肩の手術においてはすべて全身麻酔で行うため、

手術の前の日に入院し、手術翌日に痛み具合や体調の様子を見て、翌々日に退院。

という3泊4日をベースに、さらにリハビリや生活指導などの期間としてご希望あれば1-2週間(ときにもっと長く)というような感じで入院されるケースが多いです。

野球肩の手術後はリハビリが必要?

野球肩においては手術をしない場合もリハビリが大切ですが、手術をした場合もリハビリの重要性が半分以上を占めると考えています。

それには大きく2つの理由があります。

  • 手術で修復した部分が自然治癒力の中でしっかりくっつくのを待ちつつ、肩周りの筋力や可動域(動かせる幅、やわらかさ)を向上させる必要がある
  • 手術で修復しても同じフィジカルで同じフォームで投げれば、また傷めるに決まっているから

この2点の理由から段階的なリハビリで最終的には手術前よりもフィジカル面でもスキル面でも向上した状態での復帰を目指します。

ということからすると、やはり手術後にリハビリテーションは必要と考えています。

まとめ

今回は野球肩の基本から
手術が必要になり得る病態まで
解説いたしました。

手術そのものはどれもシンプルですが、
投球動作や投球での肩の痛みのメカニズムが
シンプルではないので、

手術に至るまでの診断や
その後のリハビリテーションが特に大切で
難しいモノであるということは
肝に銘じていきたいところです。

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当サイト管理人 歌島の診察希望


当サイト管理人の歌島は関東の複数の病院で診療を行っております。

おかげさまでたくさんのご相談をいただいております。どうしてもゆっくり時間をかけて1人1人と向き合えないのが悩みですが、それでも、患者さんの希望、理想的にはゴールをできるだけ掴んで、お手伝いできること・ご提供できることを常に探しながら診療しております。

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