ベンチプレスで肩の痛みがある場合の治療法を専門医が解説

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歌島 大輔
歌島 大輔
スポーツ整形外科医師(非常勤)景翠会 金沢病院
スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

ライザップが流行ってしばらく経ちますが、
ライザップの後追い的なサービスも増えてきました。

筋肉を鍛えて、自分の身体が変化する実感を得る
ということはわかりやすい自己変革の1つ
ですので、嬉しい傾向ではあります。

そんななかで、最近、トレーニングに伴うケガ、痛み
というものでのご相談も増えてきた印象です。

そんな中で、今日はベンチプレスという
ウエイトトレーニングの基本トレーニングと
肩の痛みの関係についてです。

こんにちは、肩を専門とするスポーツ整形外科医の歌島です。本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

ベンチプレスをおさらい

ベンチプレスというのは、
ベンチに仰向けに寝て、
バーベルという重ーい一本棒を両手で持って、
真上に挙げて下ろしてを繰り返す
というトレーニングで、

大胸筋をメインに
三角筋、上腕三頭筋を鍛えるトレーニングです。

ベンチプレスで肩の痛みが出現する3大原因

このトレーニングの最中や
トレーニングの後に肩の痛みが出現することがあります。

ここで肩に関する知識が足りなかったり、
トレーニングに関する知識が足りないと、
相談されても、その原因を間違うことがあります。

このベンチプレスのトレーニングにおける
肩の痛みの原因として
考えるべきは主に3種類です。

  • 大胸筋の損傷
  • 肩鎖関節の炎症・変化
  • インピンジメント症候群

大胸筋の損傷

最初の大胸筋の損傷はわかりやすいですね、

大胸筋を主に使う、負荷がかかるトレーニングですから、
その負荷が強すぎれば大胸筋が肉離れを起こす
なんてことはあり得ない話ではありません。

ただ、あり得そうで、そんなに多くない損傷です。

 

肉離れというのは、
やはりスポーツパフォーマンスやケガのように、
突発的な関節の動きによる
筋肉の瞬間的ストレッチ + 収縮
という筋肉にとっては悲鳴を上げたくなる状況が原因です。

それに対して
ウエイトトレーニングというのはきちっとやれば
自分のコントロール下の筋力発揮ですから、
肉離れにまで至ることは少ないと言えます。

肩鎖関節の炎症・変化

意外と多いのは肩鎖関節の炎症です。

肩鎖関節は
肩甲骨と鎖骨の間の関節です。

この肩鎖関節に負荷がかかりやすい肩の動きは、
肩の水平内転という動きです。

両腕を水平に真横に手を広げた状態を水平外転
そこから腕を前方に持っていき、さらに
両腕が交差するような動きを水平内転
と言います。

この水平内転は
ベンチプレスでバーベルを上げていく動きでもあります。

 

バーベルを持つ手の間隔を狭めると、
この水平内転はより強まりますので、
痛みも強まる可能性が高いです。

そういう意味では肩鎖関節の負荷を減らすには
バーベルを持つ手は広めにとったほうがいいと言えますね。

さらにはベンチプレスで鍛える大胸筋や三角筋は
鎖骨や肩甲骨にくっついていますので、
その筋肉の収縮も関節に負荷をかけます。

その結果、オーバーユースによって
肩鎖関節に炎症が起こることがあります。

また、高負荷のベンチプレスを長く続けていくと、
軟骨が削れて、骨が溶けてしまったり(融解症)、
逆に骨が増殖(変形性関節症)してしまいます。

画像引用元:肩関節外科の要点と盲点 (整形外科Knack & Pitfalls)第1版 文光堂

肩鎖関節の炎症・変化に対する治療

最初の炎症だけであれば、
負荷のコントロールや注射などで十分改善できますが、

骨の変化が起こってくると、
その変化自体は治せないので、
症状が残ってしまうこともあります。

その場合は鎖骨遠位端切除という
鎖骨の先端を削る手術を関節鏡で行っています。

arthroscope surgery

乱暴なようですが、
シンプルかつ後遺症のリスクも少ない
いい手術だと感じています。

インピンジメント症候群

最後にインピンジメント症候群ですね。

特に起こりやすいのが肩峰下インピンジメントです。

これは肩甲骨の屋根にあたる
肩峰(けんぽう)という部分や
そこにつく烏口肩峰靱帯(うこうけんぽじんたい)

下にある腱板がこすれるような状態です。

画像引用元:肩関節外科の要点と盲点 (整形外科Knack & Pitfalls)第1版 文光堂

 

その結果、その間のスペースに炎症が起こり、
時に腱板断裂を起こすこともあります。

この肩峰下インピンジメントは
肩関節の挙上 + 内旋
という動きで引き起こされやすいです。

挙上前方に腕を上げていく動作

内旋上腕を内向きに軸方向に回旋する動作
(「小さく前ならえ」から手でお腹を押すようにする動作)

この組み合わせはやはりベンチプレスの動作にも
含まれる動作ですね。

前方に挙げていって、
かつ、バーを持つグリップは掌が下ですから、
必然的に肩は内旋します。

 

これを防ぐには
バーベルを使ったベンチプレスではなく、
ダンベルを使ったダンベルフライに切り替えることがオススメです。

ダンベルの方が自由に掌の向きを変えられますからね。

ただ、その自由度の高さが
重い負荷を扱うときには
トレーニングフォームの乱れのリスクになりますので、

一長一短でもあります。

やはり、個人個人の状態に合わせた
トレーニングというのが大切なのは間違いなく、

特に何かしらの痛みを抱えながらの
選手が多い中では障害の知識は必須だと言えますね。

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おかげさまでたくさんのご相談をいただいております。どうしてもゆっくり時間をかけて1人1人と向き合えないのが悩みですが、それでも、患者さんの希望、理想的にはゴールをできるだけ掴んで、お手伝いできること・ご提供できることを常に探しながら診療しております。

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