MRIの時間がかかる意味と目安を肩の専門医が解説します

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歌島 大輔
歌島 大輔
スポーツ整形外科医師(非常勤)景翠会 金沢病院
スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

肩の痛みをおっしゃる患者さんの診療において、MRIというのは非常に有用で僕もよくご提案しますが、すぐにパッと撮れる検査ではありませんし費用も安くない検査ですので、その意味を理解して納得して検査を受けていただくことは大切なことだと思っています。

そんなMRIにかかる検査時間やそれだけ時間をかけてもMRIを撮る意味について解説したいと思います。

こんにちは、肩を専門とするスポーツ整形外科医の歌島です。本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

MRIでかかる時間の目安

MRIを撮像するときにかかる時間の目安ですが、だいたい30分前後だろうと思います。

肩に限らずたいていの部位で30分前後

もし、複数の部位を撮れば、30分 x 部位数となります(多くの場合は同じ日には一カ所しか撮りません)。

さらに、検査は予約でびっちり埋まっていますし、緊急の検査が入ることもありますので、検査予約時間の15分前には来院していただくことが多いと思います。

そして、その結果を主治医が確認してご説明という診察に入っていただくわけで、MRI検査と同時に診察もある日は最低でも1時間30分はみた方がいいでしょう。混んでる外来の場合はもっと時間がかかります。

MRIはなぜ時間がかかるのか?

このMRIはなぜレントゲンのようにパシャッと撮れないのでしょうか?

CTも似たようなスライス画像ですが、MRIよりは時間が短いのはなぜでしょうか?

それはMRIがレントゲンやCTよりはるかに情報量が多いことを表します。
詳しく見えるCTでも、筋肉と靭帯と軟骨と、そしてそれらの損傷部位とというのを判別するのはほぼ無理です。どれもなんとなーく灰色に見えます。

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂

それがMRIだとキレイに色分けされて見られるわけです。

画像引用元:肩関節外科の要点と盲点 (整形外科Knack & Pitfalls)第1版 文光堂

しかし、靭帯を見たい場合と軟骨を見たい場合と骨の中を見たい場合と・・・とMRIの撮像方法を細かく変えながら複数のスライス画像を撮りますので、時間がかかるわけです。

要は同じ部位のCTを5回も6回にもわけて撮るようなモノなので時間がかかるわけですね。

肩のMRIでわかること

これだけの費用を支払ってでも、レントゲンの他にMRIを撮らないといけないのか?その価値はあるのか?というと、特に肩では価値が高いと考えいています。

以下、代表的な

レントゲンじゃわからず、MRIじゃないとわからないケガや病態です。

  • 腱板断裂
  • 関節唇損傷(肩の脱臼)
  • 野球肩(SLAP損傷など)
  • 炎症がどこにあるか?

要は極論、骨しか見えないレントゲンに比べて、
MRIは他の筋肉、関節、軟骨、関節液、水の溜まり、炎症具合などまでわかってしまうということです。

それぞれ詳細に解説したこちらの記事もご参照ください。

反復性肩関節脱臼とは?原因から治療まで専門医解説

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肩腱板損傷に特徴的な症状はあるのか? 肩専門医解説

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さらにここからはレントゲンやCT,MRIという基本的な画像検査の違い、使い分けを整理していきますので、ぜひ参考にしてください。

レントゲンとCTとMRIの違いを大雑把に

まずはザッとこの3つの違いをイメージできるようにと思います。

  • レントゲン:骨の一枚絵
  • CT:骨と大雑把な臓器(筋肉含む)のスライス写真
  • MRI:骨以外も抜群の色分けで識別するスライス写真

というような感じです。

そして、レントゲンとCTは放射線を多少なりとも浴びる検査ですが、

MRIは磁気による検査なので放射線ゼロです。

もうすこし、それぞれのイメージを深掘りしていきます。

レントゲン:骨の一枚絵

画像引用元:肩関節外科の要点と盲点 (整形外科Knack & Pitfalls)第1版 文光堂

レントゲンはCTやMRIのようにスライス写真ではないので、手前から奥まで立体的な構造が全部一枚の写真に重なるように転写されます。

ですから、どうしても大雑把な評価になってしまいますが、

CTに比べれば放射線量も少ないですし、CT,MRIと比べ検査時間も少なく費用も安い

ということで、「まずはレントゲン」ということになります。

特に骨折がないかどうかはレントゲンで判別するのが基本です。

画像引用元:肩関節外科の要点と盲点 (整形外科Knack & Pitfalls)第1版 文光堂

それ以外の筋肉や靭帯などはほとんど判別できず、なんとなーく腫れているなとか、そういう程度しかわかりません。(それも大切な所見である場合がありますが)

CT:骨と大雑把な臓器(筋肉含む)のスライス写真

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂

CTはコンピューター断層撮影法(Computed Tomography)の略です。

レントゲンのスライスバージョンだと考えていいと思います。

パシャッと一枚絵として全部重なって写ってしまう大雑把なレントゲンをちゃんと輪切りのスライス写真として細かく何枚にもなって見れます。

そのため、骨もかさならず、わずかなヒビも確認できたり、

さらに、スライス写真をコンピュータで構成しなおせば、立体的な写真を作ることができます。これは、手術においても非常に有用です。

また、スライス写真にすることでレントゲンではなんとなーくだった、筋肉や内臓もより詳しくみることができます。

内臓については造影剤を使って、血管を染めると、かなり一つ一つの臓器がよくわかるようになります。

レントゲンより時間も費用も放射線量も多いですが、それに見合った情報量が得られると言っていいでしょう。

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MRI:骨以外も抜群の色分けで識別するスライス写真

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂

MRIはMagnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像の略です。

レントゲンやCTと違って、磁気を使った画像検査ですから、放射線を浴びる心配がありません。

ただ、ものすごく強い磁気が発生しているので、検査室内に金属製のものを持ち込むと吹っ飛んでいってしまいます。危ないです。

僕も研修医時代大急ぎで患者さんを連れて行ったときに、間違って聴診器を持っていってしまって、聴診器が吹っ飛んで怒られました。

このように検査の原理が全く違うので、レントゲンやCTとは得られる画像は大きく違います。

レントゲンやCTは骨とそれ以外というような大雑把な分かれ方で、

筋肉と靭帯と軟骨と関節液と・・・
というような骨以外の判別は結局なんとなくなってしまいます。

しかし、MRIだと骨以外の組織もいろいろな条件で撮ることで、色分けをすることができます。

ある条件だと
脂肪は白く、水は黒く、

ある条件だと、
脂肪は黒く、水は白く、

ある条件だと・・・

というようにいろいろな条件で撮ることで、見たい組織が一番わかる画像を参考にできます。

そのため、肩関節であれば、腱板断裂はMRIが圧倒的にわかりやすいですし、関節の脱臼後の関節唇損傷もそうです。

もっと言うと、レントゲンやCTが得意なはずの骨折もMRIを撮ってはじめてわかる骨折があります。不顕性骨折と言います。

なんでもまずはMRIを撮る・・・とならない理由

それならなんでもMRIを撮ればいいじゃないか?
と思うかもしれませんが、
もちろんそうもいかない事情があります。

多くのケースではまずはレントゲン、
次にCTと、MRIよりも優先して検査されます。

このメリットが多そうなのに、後回しにされやすいMRIを
レントゲンやCTがどんなポイントで上回るのか?
ことを解説していきます。

CTやレントゲンの方がよく見えるモノもある

まずシンプルに診断のしやすさ、見えるモノ見えないモノ
というような視点で言えば、

レントゲンやCTの強みは、やはりです。

レントゲンとCTは骨が圧倒的にキレイに描出されますので、
骨折がどのくらいズレているのか?
骨の変形がどの程度あるのか?

などはやはりレントゲン、そして、より詳しいCTが望ましいと言えます。

ただ、前述した通りシンプルに骨折があるのかないのか?ということで言えば、MRIが一番わかるというのも事実です。

あとは、診断のしやすいさでMRIよりCTがよく使われるのは

内臓の問題をチェックするときや脳出血をチェックするときです。

多くの臓器がギューッと胸やお腹の中に詰まっていますが、MRIではこれらが時には消化管内の便やガスなどもあいまって、逆にごちゃごちゃしてしまうため、

造影剤を注射した状態でのCT(造影CT)によって、血管や血流が豊富な内臓を染めて、病変を見つけにいく検査が主流です。

また、脳出血はCTでかなり小さなものも発見することができます。

MRIは費用も時間もかかるのが最大のネック

さらにレントゲン>CT>MRIという感じでメリットがあるのが、

  • 検査時間
  • 検査費用

の2つです。

レントゲンは枚数にもよりますが、1枚撮るのは一瞬です。

CTも5–10分くらいで撮れてしまいます。

しかし、MRIは短くて20分、長くて30分以上かかります。

これはなかなか大変です。

MRIは機械装置自体が大がかりでかつ、高額なので、何台も所有している病院は少ないです。

検査時間が長いのに、台数は増やせないという事情から、MRIは結構先まで予約が埋まっている病院が多いです。

少なくとも当日すぐにMRIを撮れる病院は非常に少ないでしょう。

これが一番の後回しにされる原因です。

もう1つ、最初にお伝えした費用も見過ごせません。

MRIの検査料は健康保険による3割負担とすると、だいたい6000–8000円くらいになります。

それに対して、CTは若干安めです。

さらにレントゲンとなると枚数によりますが、多めにとっても1000円前後でおさまることが多いと思います。

これらの費用は病院のMRIやCTの機械の精度が高い、いわゆる高性能なものだと、多少高くなりますし、造影剤を使ったり、部位によっても値段が変わってきます。

また、医療費としては診察料や初診料、処置の料金なども加算されますので、ここで示したのは画像検査のみの費用と言えます。

まずはレントゲン、精密検査としてCTとMRIを使い分ける

こう見ても、

まずはレントゲンということは
ご理解いただけるかと思います。

また、レントゲンを撮像した上で、怪しいと判断したからこそのさらなる精密検査のCTやMRIですので、

レントゲンも撮らずにCT,MRIというケースは稀です。それをやってしまうと保険が利かなくなるケースもあるので、どうしても、まずはレントゲンとなります。

ここまでをまとめますと、

まずは費用も時間もメリットが大きいレントゲンをまずチェックし、

さらに精密検査が必要と考えれば、

  • 骨の形状や内臓を見たければCT(時に造影)
  • 靭帯や筋肉、関節を詳しく見たければMRI

というような使い分けということになります。

少しでも参考になりましたら幸いです。

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当サイト管理人の歌島は関東の複数の病院で診療を行っております。

おかげさまでたくさんのご相談をいただいております。どうしてもゆっくり時間をかけて1人1人と向き合えないのが悩みですが、それでも、患者さんの希望、理想的にはゴールをできるだけ掴んで、お手伝いできること・ご提供できることを常に探しながら診療しております。

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