肩の打撲の痛みが治らない原因と対処法を肩専門医が解説

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歌島 大輔
歌島 大輔
スポーツ整形外科医師(非常勤)景翠会 金沢病院
スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

肩を強打して痛みが走る・・・

おそらく「打撲」だろうと考えることが多いと思います。

時には医師の初回診断で打撲と告げられるかもしれません。

しかし、1週間経っても2週間経っても・・・
ときには何ヶ月経っても痛みが治らないなんてこともあります。

そんなときに「これは本当に打撲なんだろうか?」

と疑問を持つのは当然のことですし、実際、初回は打撲と診断されても、その後、痛みが治らないために他の損傷が見つかることがあります。

 

今回はそういった「肩の打撲」と思いきや、別の損傷だった場合など、痛みが治らないときの原因と対処法について解説していきたいと思います。

こんにちは、肩を専門とするスポーツ整形外科医の歌島です。本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

 

打撲の基本をおさらい

打撲とは?特徴的な症状は?

まずは普通の打撲について解説していきます。

辞書的(goo国語辞書)には、

打撲:からだを強く打ちつけたり、たたいたりすること。

打撲傷:打撲によってできた傷。皮膚は破れることなく、皮下組織が損傷を受けたもの。打ち身。

といういことになります。

特に打撲傷の 「皮膚は破れることなく、皮下組織が損傷を受けたもの。」

というのが医学的に正しい定義ですね。

ちなみに、皮膚は破れることなく、ということですが、逆に皮膚が破れることがあれば、それは「創(そう)」ということになります。

つまり、日常的によく使う「傷」は医学的には「創」と書きます。

また、損傷を受けた部分が「皮下組織」であるという部分ですね。

これが重要です。これが普通の打撲傷の定義で押させておくべきポイントです。

この普通の打撲傷の損傷部位は皮下組織ですから、皮下組織から出血することもあれば、炎症して腫れることもあります。

つまり、内出血腫れなどはよく起こります。

また、当然、打った部分の痛みがあります。そこを押して痛いという「圧痛(あっつう)」も典型的です。

しかし、この打撲傷「以上」の重症なものでもこの特徴は当てはまります。

それはそうですよね。まず身体を打ちつけてしまった結果の外傷としては、浅いところから深いところに衝撃が徐々に伝わっていくわけですから、深いところがやられているときは大抵、浅いところもやられていますから。

 

肩の打撲の痛みが治らないときに考えるべき損傷と見つけ方

肩の打撲の痛みが治らない

それも1日2日じゃなくて、1週間や2週間やそれ以上・・・

そんなときに考えるべき他の原因となる損傷とその見つけ方を解説します。

肩腱板断裂(けんばんだんれつ)

まず代表的なのが肩腱板断裂です。

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂

肩のインナーマッスルである腱板は肩の安定化装置と言ってもいい深い位置にある筋肉です。それが肩の打撲のときに、無理な力が加わることで損傷します。

肩の腱板断裂はある程度のご年齢(60歳以上くらいから)になってくると自加齢性の変化として脆くなって、切れやすかったり、自然と切れてしまうことがあります。

ですので、

ある程度のご高齢(50歳以上) + 肩の打撲

さらには、

肩が痛くて上げられないとか、上げるときに痛みが強いとか、前のものを取ろうと腕を伸ばしたとき(リーチ動作)に痛いとか、肩を捻ると痛いとか、

そういった特徴的な症状がある場合はMRIを撮って、腱板断裂がないかどうかチェックすることをオススメしています。

 

特に注意が必要なのは整形外科に一度受診して、

「レントゲンでは骨に異常は見つかりませんね。打撲でいいと思います。」

というコメントをもらったケースです。

レントゲンでは腱板断裂の有無はわからないので、痛みや可動域制限(上がらないなど)が続くようなら肩を専門とする医師の診察をご検討ください。

肩腱板断裂についてはこちらをご参照ください。

肩腱板損傷に特徴的な症状はあるのか? 肩専門医解説

2016.12.11

肩まわりのズレがない骨折(不顕性骨折)

打撲の強さによっては、骨にヒビが入ってしまうこともあります。要は骨折です。

しかし、ズレがない骨折(=ヒビ)はレントゲンで発見できないことがあります(不顕性骨折:ふけんせいこっせつ)。そのため、痛みが続くときは1–2週間後にもう一度レントゲンを撮るということは整形外科医として1つの基本としてたたき込まれていることです。

またそれでもわからない骨折や、骨挫傷という骨の打撲のような重症型もあるので、それらを疑った場合はやはりMRIを撮ります。

 

これらで骨に損傷が起こっている場合は通常の打撲よりもしっかりした対処が必要です。それは、三角巾での安静や定期的なレントゲンのチェックというものになります。

肩鎖関節脱臼(けんさかんせつだっきゅう)

肩鎖関節脱臼というのは、肩甲骨と鎖骨からなる関節が外れてしまうことを言いますが、

多くのケースは鎖骨の先端(肩の近く)が上に上がります。

画像引用元:肩関節外科の要点と盲点 (整形外科Knack & Pitfalls)第1版 文光堂

その程度が小さければ発見が遅れることもあります。鎖骨の一番先っぽを上から押し込んでみて、凹んだり戻ったりするようであれば(ピアノキーサインと言います。)肩鎖関節脱臼が疑わしいと言えます。

また、そこまでやらなくても、上半身を裸にして両方の鎖骨の先端の高さや腫れ具合を比較してみると肩鎖関節脱臼はたいていわかります。

そして、疑わしい場合は医師の診察としっかりとレントゲンを撮ることで診断できます。

肩鎖関節脱臼についてはこちらをご参照ください。

肩鎖関節脱臼の分類 あなたの脱臼は重症?

2017.03.27

精密検査をしても異常なかった長引く肩打撲の考え方

精密検査をしても

ここまで解説したような

  • 肩腱板断裂
  • 不顕性骨折
  • 肩鎖関節脱臼

などの代表的な痛みが長引く原因が「ない」場合の考え方を解説します。

打撲も程度によっては時間がかかることあり

まず打撲と言っても様々な重症度があって、強烈な力が加わって、広範囲に皮下組織がやられれば、痛みがなかなか治らないということはあり得ます。

1–2週間くらい続くことはあり得なくはないと言えます。

肩が上がらない場合はカタくなっている可能性あり

1ヶ月以上経っているのに、動かす時に肩が痛くて上がらないというときは、

肩がカタくなっている可能性があります。

肩関節拘縮(かたかんせつこうしゅく)という状態です。

これは打撲のときに関節の中にも炎症が起こっていて、痛みがある間はなかなか動かせないせいで、関節を包む膜(関節包)が分厚く、カタくなってしまう状態です。

肩の打撲の痛みが治らないときの治療法

ここまで解説した肩の打撲の痛みが治らないときの治療法を解説いたします。

肩腱板断裂

肩の腱板断裂ではある程度の大きさの断裂になると、自然修復は期待できません。
そのため、ケースバイケースではありますが、手術を積極的にやっています。特に打撲のような外傷性の腱板断裂は筋肉の状態がいい状態なので手術で縫うと、その後の回復がいいです。

肩の腱板断裂の治療についてはこちらをご参照ください。

肩腱板断裂の手術方法について肩専門医が解説

2016.12.12

肩まわりのズレがない骨折(不顕性骨折)

不顕性骨折が見つかった場合は、骨がくっつくまでは安静にすることになります。

その骨のくっつき具合をレントゲンや受傷からの経過時間で判断し、骨のズレのリスクが少なくなれば、今度は肩がカタくならないように動かしていきます。

そのため定期的に通院が必要です。

もし骨折がズレてしまったら手術が必要になることもあります。

肩鎖関節脱臼

肩鎖関節脱臼は脱臼の程度によって手術をするかしないかが決まります。

ケガしてから時間が経っていると、肩鎖関節脱臼が治りにくくなります。そのため手術法も変わってきますので、できるだけ早めに見つけて、治療方針を相談したいケガです。

肩鎖関節脱臼の手術をするかしないかについてはこちらをご参照ください。

肩鎖関節脱臼の治療 手術すべきか否か?

2017.03.31

肩拘縮(カタくなっている)

外傷によって肩が拘縮してしまった場合の基本は地道にリハビリです。

そして、リハビリでもなかなか改善しない場合(3–6ヶ月)は授動術という処置、手術をすることがあります。

こちらをご参照ください。

凍結肩とは? 肩が凍結しちゃうってどういうこと?

2017.04.05

まとめ

今回は肩の打撲の痛みが治らないときに考えられる原因とその対処法について解説いたしました。

それぞれ詳しい記事も紹介しておりますので、ご参照ください。

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おかげさまでたくさんのご相談をいただいております。どうしてもゆっくり時間をかけて1人1人と向き合えないのが悩みですが、それでも、患者さんの希望、理想的にはゴールをできるだけ掴んで、お手伝いできること・ご提供できることを常に探しながら診療しております。

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