肩甲下筋(けんこうかきん)のレベル別トレーニング 棘上筋・棘下筋もスポーツ医解説

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歌島 大輔
歌島 大輔
スポーツ整形外科医師(非常勤)景翠会 金沢病院
スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

肩甲下筋は肩の機能において大切な筋肉です。特に肩に負担がかかるスポーツにおいてはいかにこの肩甲下筋を含むインナーマッスルを使えるかが大事になってきます。

重要な筋肉の割に小さく、奥深くに隠れている筋肉ですので、効果的に鍛えるのは容易ではありません。

今回は肩甲下筋を効果的に鍛えるトレーニングとして3段階のトレーニングをご紹介いたします。

さらに肩甲下筋というのは肩のインナーマッスルである腱板筋群の1つですが、主にもう2つの腱板筋群がトレーニング種目として重要です。

それが棘上筋(きょくじょうきん)と棘下筋(きょっかきん)です。

後半はこの2つの筋肉(棘上筋、棘下筋)のトレーニングについても解説しておりますのでご参照ください。

こんにちは、肩を専門とするスポーツ整形外科医の歌島です。本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

肩甲下筋は腱板の筋肉の1つ

肩甲下筋とは肩のインナーマッスルの1つで、肩の前方を走っています。

肩甲下筋

 

肩甲下筋はあくまで腱板筋群の1つで、
腱板筋群は全部で4種類あります。

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂

  1. 肩甲下筋
  2. 棘上筋
  3. 棘下筋
  4. 小円筋

という名前がそれぞれついています。

腱板筋群の役割は肩の安定化と回旋運動

この腱板筋群の役割をいっぺんにシンプルに解説すると、

  • 肩関節の安定化
  • 肩関節の回旋運動

の2つになります。

肩関節はもともと不安定な構造をしている関節ですから、
安定化させる仕組みがとても重要になります。

それが靭帯だったり、関節唇という軟骨だったりするわけですが、
これらの靭帯や関節唇などが大きく、分厚く、カタくなれば、
安定はしますが、肩はカタくなり、上がらない、回らない肩になってしまいます。

それでは困るので、
安定化の仕組みにこの腱板筋群である
「筋肉」が深く関わるようになったわけです。

筋肉が安定化に関わるメリットは、
必要なときに必要なだけ安定化させてくれるということです。

それは筋肉が伸び縮みし、かつ、自らの意志で縮ませることができるモノ

という性質から考えれば当然ですね。

靭帯や軟骨ではそうはいきません。

 

また、改善運動というのは主に内旋と外旋という運動を指します。

この内旋と外旋の中でも特に内旋は今回の肩甲下筋に深く関わりますので、
そこからお話がはじまります。

肩甲下筋は肩の内旋するために生まれた筋肉

肩甲下筋という筋肉は肩関節の内旋という動きを担当します。

この動きですね。

この肩の内旋運動をしっかりと定義すると、肩甲骨に対して上腕骨が内向きに回旋するということになります。

 

肩甲下筋は肩甲骨から始まり、小結節(しょうけっせつ)という腕の骨(上腕骨)の中でも一番前方に張り出している部分にくっつく唯一の筋肉ですので、内旋させるために生まれた筋肉と言えます。

肩甲下筋以外にも肩を内旋させる筋肉はあるにはあるのですが、他の機能のついでに内旋もちょっと手伝うよ・・・という程度ですから、極端な話、肩甲下筋が完全に切れちゃうと内旋はほとんどできません。

ということで、非常に重要な筋肉であるわけですが、この肩甲下筋のトレーニングは当然、肩関節の内旋運動に負荷をかけるということになります。

それでは、3段階の肩甲下筋のトレーニングを紹介いたします。

肩甲下筋のトレーニング レベル1:チューブトレーニング

まず基本のトレーニングになります。

いままで肩甲下筋のトレーニングをしたことない人は必ずここからスタートしましょう。

肩甲下筋に限らずインナーマッスルのトレーニングをする場合にはアウターマッスルは働かせないようにしないといけません。

そうしないと、インナーマッスルは結局さぼってしまい、トレーニングにはなりません。

 

また、動きの中で安定化作用のあるインナーマッスルが先にはたらくというのを「フィードフォワードと呼んでいますが、このフィードフォワードの働きが落ちると、アウターマッスルに頼った動きになり、肩を傷めやすくなります。

そうならないように、アウターよりインナーを働かせる。そういう「教育」的な意味合いがこのチューブトレーニングにはあります。

そのため、このチューブトレーニングで使うチューブは非常に張力の弱いチューブを使ってください。

そして、30回くらいゆっくり動かしてじんわり肩の前方深くが熱くなる感じが得られたらトレーニングできていると言えます。

肩甲下筋のトレーニング レベル2:ダンベルトレーニング

肩甲下筋のレベル1のチューブトレーニングで肩甲下筋を働かせるコツや感覚を掴んだら、次にダンベルを使ったトレーニングを行います。

チューブとダンベルの違いは、

チューブというのは引っ張れば引っ張るほど、元に戻ろうとする張力が高まります。つまり、トレーニング動作の最初より最後の方が負荷が強いんですね。トレーニング動作の最初の動き始めの負荷の弱さは効果としてはイマイチになりやすいですし、それが嫌で負荷を強めると、最後の段階での負荷が強すぎる・・・というジレンマに陥ります。

 

それに対して、ダンベルは動かす方向にもよりますが、ほぼ一定の重力が負荷になります。

そのため、このダンベルのトレーニングを次の段階として負荷を上げていくのに用います。

これも30回くらいの回数設定で、熱くなってキツくなるくらいの重量がいいでしょう。

ただし、ダンベルの弱点は重力が負荷ですから上下方向にしか負荷がかかりません。内旋のような回旋運動は直線ではないので、全可動域に負荷をかけるのが難しくなります。

つまり、チューブとダンベルは一長一短なので、どちらもやるというのがオススメです。

肩甲下筋のトレーニング レベル3:ナポレオントレーニング

そして、最後の段階としてナポレオントレーニングというのをご紹介します。

ナポレオンテストという診断テスト

ナポレオンテストという、肩甲下筋腱断裂を判別するための診断テストがありますが、

これは肩甲下筋腱が少し切れているだけでも陽性になることが多いテストとして、僕もよく使っています。

それだけ肩甲下筋がしっかり働かないとできない動き

と言えると思います。

ナポレオンテストの応用トレーニング

このナポレオンテストの動きに負荷をかけます。

さきほどのナポレオンテストの画像を参考にしながらお読みください。

 

これは肘にチューブを引っかけても、肘の上にダンベルを置いてもどちらでもいいと思います。

 

そして、手をお腹の上に乗せて固定し、肘だけを身体の前面に動かしていきます。この肘の動きに負荷をかけるトレーニングです。

このときに肩が前に動かないよう、肘だけ前に動かすということを意識してください。

 

棘上筋・棘下筋のトレーニング

ここまでは肩甲下筋に絞ってお話ししましたが、

腱板筋群(インナーマッスル)の働きからすると、どれか1つだけストレッチやトレーニングで強くすればいいというものではなく、バランスよく前(肩甲下筋)も後ろ(棘下筋)も上(棘上筋)も鍛えるということが大切になります。

そのため、棘上筋と棘下筋の筋トレについても解説を加えます。

こちらの記事でも詳しく解説しておりますのでご参照ください。

肩のインナーマッスルの鍛え方 トレーニング動画で by専門医

2017.03.11

棘上筋の鍛え方・トレーニング

これは棘上筋(きょくじょうきん)という筋肉のトレーニングで、
肩の外転という上に上げていく動きの特に初期ではたらくので、このような動きとなります。
トレーニング中に肩甲骨の上の方が熱い感じにジワッとなる感じを目指します。

棘下筋の鍛え方・トレーニング

これは棘下筋(きょっかきん)という筋肉のトレーニングです。
肩甲下筋の逆、外旋運動を司る筋肉です。

まとめ

今回は肩甲下筋のトレーニングについて3種類、3段階のトレーニングをお伝えいたしました。

さらにバランスよく腱板(インナーマッスル)を鍛えるという意味で重要な棘上筋、棘下筋のトレーニング、鍛え方についても解説いたしました。

力任せにならないように、時々肩まわりのアウターマッスルを触れながら、これらが力まずに動かせていることを確認してみてください。

これがインナーマッスルである肩甲下筋を働かせるコツです。

 

 

少しでも参考になりましたら幸いです。

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おかげさまでたくさんのご相談をいただいております。どうしてもゆっくり時間をかけて1人1人と向き合えないのが悩みですが、それでも、患者さんの希望、理想的にはゴールをできるだけ掴んで、お手伝いできること・ご提供できることを常に探しながら診療しております。

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