肩甲下筋の痛みに対する治療法 肩専門医が解説

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歌島 大輔
歌島 大輔
スポーツ整形外科医師(非常勤)景翠会 金沢病院
スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

今回は肩甲下筋の痛み、肩甲下筋を傷めたというときにどういう治療法があるのか?

ということをテーマに解説したいと思いますが、

 

その前に多くの現場で間違っていると思うのが、安易に、「これ肩甲下筋が痛んでるんだ!」って自己診断や素人診断してしまうケースです。

痛みの原因を安易に決めつけてしまって、それが間違っていれば、治療も間違うに決まっています。ですから、まずはそこに警鐘を鳴らし、診断の重要性をお伝えした上で、治療について解説したいと思います。

 

こんにちは、肩を専門とするスポーツ整形外科医の歌島です。本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

 

肩甲下筋を痛めたらしい・・・それ本当ですか?

ときどき解剖学を学んだ選手や筋トレ愛好家の人が、

「肩甲下筋を痛めたみたいです」

といって受診していただくことがあります。

診察してみると、たいてい痛みの原因は肩甲下筋じゃないんです。

野球などのスポーツやトレーニングで肩甲下筋を痛める?

野球では肩のインナーマッスルの重要性がだいぶ認識されてきています。

ですから、肩の前が痛いとなると、肩甲下筋だと思っているケースが少なくありません。

投球障害において腱板損傷というのは注意すべきモノですが、その多くは棘下筋か棘上筋です。肩の前側の痛みであれば、上腕二頭筋長頭腱炎腱板疎部損傷のほうが多いです。

こちらの記事もご参照ください。

上腕二頭筋長頭腱炎とは? 専門医がわかりやすく

2017.03.30

野球肩の症状から中で何が起こってるか推測! 専門医解説

2016.12.19

腱板疎部損傷とは?治療法は? 肩専門医解説

2016.12.14

 

他には、ウエイトトレーニングで肩の内旋を使う種目(ベンチプレスなど)で肩の前が痛くなって、肩甲下筋の痛みと判断されることがあります。

これもかなり可能性は低いと言わざるを得ません。

たいていのウエイトトレーニングでは肩甲下筋への負荷以上に大胸筋などのアウターマッスルに強い負荷がかかっていますので、肩甲下筋が痛むことは多くはありません。

腱板断裂としての肩甲下筋腱断裂

とはいえ、もちろん肩甲下筋が痛んでしまうことはあります。

肩甲下筋はご存じの通り、肩のインナーマッスルの集合体である回旋腱板(かいせんけんばん)の1つです。

その回旋腱板の損傷である腱板断裂として肩甲下筋腱断裂が起こることはあります。

 

これはある程度大きめの外力が加わることで断裂してしまう外傷と、年齢+オーバーユースという慢性的な要因が二大原因です。

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肩甲下筋がしっかり働いているかチェックする

肩甲下筋腱が切れてしまう、肩甲下筋腱断裂ですが、

これは超音波検査MRI検査などの精密検査で見つけることができます。ただ、微細な断裂は関節鏡という実際の手術のときにはじめてわかることもあります。

 

ただ、最初に確認したいのは

肩甲下筋がしっかり働いているか否か?

そして、肩甲下筋を働かせたときに痛みが出ないか?

ということです。

その判別方法を2つご紹介します。

Lift off test リフトオフテスト

1つはリフトオフテストと呼ばれる診察テストです。

手を背中に回す動きは肩の内旋運動が多分に含まれるわけですが、この肩の内旋運動の主役が肩甲下筋なんですね。

そして、手を背中に回し、さらに背中から離してキープする

これは結構な肩の内旋筋力が必要なんですね。

引用画像:コンパクトガイド整形外科検査法 第一版 協和企画

ですから、肩甲下筋腱断裂ではこのリストオフテストができないという状態がおこります。

ただ、肩の伸展という三角筋後方の働きと可動域が十分あれば、肩甲下筋が多少働かなくてもリフトオフテストができちゃうことがあります。

そのため、もう一つのテストが重要です。

Supine Napoleon test 仰向けでのナポレオンテスト

これはナポレオンテストベリープレステスト(belly press test)と言われています。

仰向けに寝た状態で、お腹に手の平を当てて、そこから肩に手を当てて肩を前に出さないようにしながら、肘だけ前に動かすことができるかというテストです。

肩甲下筋が働かないと肘が前に(仰向けに寝ているので上と言えますが)出てきません。

また、このリフトオフテストやナポレオンテストで力を入れようとしたら、肩の前が痛いというのも肩甲下筋が切れてないまでも少し痛んでいるサインかもしれません。

肩甲下筋を痛めたときの治療法

それでは肩甲下筋を痛めてしまったときの治療法についてお伝えします。

本当に肩甲下筋が痛みの原因かをはっきりさせる

すごく大切なのはここまで述べたように本当に肩甲下筋が肩の痛みの原因なのか?

ということです。

意外と違うことも多いということを解説しましたし、

さらに肩甲下筋のはたらきをみるテストも解説いたしました。

 

これらの知識を元に、やはり肩甲下筋が怪しいと思ったときには整形外科での精密検査に進みます。

超音波やMRIですね。

そこで肩甲下筋の損傷があったり、肩を専門とする整形外科医の診断で肩甲下筋が原因となれば、その治療に移ります。

肩甲下筋腱断裂の場合は手術が原則

肩甲下筋腱断裂があれば、手術を積極的に考えます。

もちろん、肩甲下筋腱断裂があればなんでもかんでも手術というわけではありませんが、肩甲下筋腱断裂に限らず腱板断裂は自然治癒が難しいことや、肩甲下筋腱は肩の前を走る唯一のインナーマッスルとして重要なので可能なかぎり手術で治療したいというのが僕の意見です。

腱板断裂の手術についてこちらの記事もご参照ください。

肩腱板断裂の手術方法について肩専門医が解説

2016.12.12

肩甲下筋腱が切れていなければリハビリが原則

もし精密検査の結果、肩甲下筋腱断裂がなさそうとなれば、まずはリハビリなどで治癒を目指します。

そのときに重要なのは、なぜ肩甲下筋が痛んでしまったのか?ということです。

スポーツ動作の繰り返しであれば、フォームに問題はないか?ということや、肩のインナーマッスルが使えていないのではないか?とか、肩甲骨の動きが足りないのではないか?というようなことをチェックしていき、その結果に従って適切なリハビリを行っていくことになります。

リハビリについてはこちらの記事もご参照ください。

肩のリハビリと筋トレの違いと使い分けを専門医が解説

2017.04.29

野球肩のリハビリポイントを肩専門医が解説

2016.12.20

肩腱板損傷のリハビリ方法とそのポイントを専門医解説

2016.12.15

まとめ

今回は肩のインナーマッスルの1つである肩甲下筋の痛み、損傷について、その判別方法や治療方法を解説いたしました。

まず何より診断が重要であるということ。そのプロである整形外科医の力を借りて欲しいということが、まず第一にお伝えしたいことでした。

少しでも参考になれば幸いです。

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おかげさまでたくさんのご相談をいただいております。どうしてもゆっくり時間をかけて1人1人と向き合えないのが悩みですが、それでも、患者さんの希望、理想的にはゴールをできるだけ掴んで、お手伝いできること・ご提供できることを常に探しながら診療しております。

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