強肩へのトレーニング 遠投と筋肉の関連は? 【野球】byスポーツ医

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歌島 大輔
歌島 大輔
スポーツ整形外科医師(非常勤)景翠会 金沢病院
スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

強肩・・・
野球などボールを投げるスポーツにおいては非常に憧れる1つの能力ですよね。

しかし、謎の多い能力でもあります。
なんであんなにひょろっとしたヤツが強肩で、こんなに体格いいヤツが弱いんだろう・・・なんてことを感じたことがある人もいるかもしれません。

まずはそこの謎を解き明かさないと憧れの強肩になるためのトレーニング(肩が強くなる方法)としては適切なモノができませんので、それについて解説をした上でトレーニングについても紹介いたします。

 

こんにちは、肩を専門とするスポーツ整形外科医の歌島です。本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

肩の筋肉を鍛えるトレーニングでは強肩にはなれない!

強肩

これは肩が強いと書きますが、必ずしも肩の筋肉が強い、筋力が強いと肩が強くなるという意味ではありません。

そもそも強肩とはなんなのか?

むしろ野球などスポーツにおけるパフォーマンス、つまり、

遠投で遠くまで投げられるとか、ものすごいスピードボールを投げられるとか、
それが肩が強くなる(=強肩)ということ
ですよね。

投げるという動作は肩まわりの筋肉が特別重要というわけではありません。もっと全身の筋力や能力が大事な動作です。

野球あるある:ものすごい筋骨隆々のパワーヒッターの肩が強くない理由

そして、筋骨隆々でベンチプレスが何キロ、スクワットが何キロ・・・と遠投距離が必ずしも比例しないのは野球などをやってきた人なら納得のいくことではないでしょうか?

プロでもありますよね。

 

すごい遠くまで飛ばすホームランバッターが想像以上に肩が強くないこと。

これが全身の筋肉量だけでは強肩になれないことを示していると言えます。

なぜこのように筋骨隆々のパワーヒッターの肩が弱いことがあるのか?ということですが、

野球に限らずですが、ボールを投げるという動作がそれだけ複雑だということです。

ボールを投げるときには一つ一つの筋肉の力よりも物理的な勢い(ステップや助走など)を動きの巧みさで増幅していく能力が肩が強くなる上では重要だと言えます。

これを運動連鎖(キネティックチェーン)と言います。

強肩(肩が強くなる)には「うまさ」と「やわらかさ」が必要

そう考えると、強肩になるには運動連鎖がキーワードと言えそうですが、なんだかよくわからない運動連鎖を噛み砕いていくと、

「うまさ」「やわらかさ」がキーワードであると考えています。

この「うまさ」と「やわらかさ」を向上させていくことが肩が強くなるための近道ですし、
野球の能力アップにおいても大切と言えます。

それぞれ解説していきます。

「うまさ」とは運動連鎖の増幅のうまさ

まず、強肩に大切な要素をおさらいです。
それは、

物理的な勢い(ステップや助走など)を動きの巧みさで増幅していく能力

と言いました。

この中の「動きの巧みさ」というのが「うまさ」を表します。

物理的な勢いというのは、どうしても、限りがあります。

極端な話、ウサイン・ボルトが全力疾走で助走したら最高の助走になりますが、それが強肩に繋がるかと言えば、そんなわけがないですよね。

 

ですので、テップや助走による物理的な勢いを最終的なボールを持った手のスイングスピードに増幅しながら伝えていくための動きの「うまさ」が強肩には特に大切ということになります。

具体的には物理的な勢いはステップした前脚で受け止め、それを股関節、骨盤、体幹に伝え、回旋の動きに変換しながら増幅していきます。

そして、体幹の回旋やしなりを生み出しつつ、肩甲骨もタイミングよく連動して動き、腕がスイングされていく。という流れで、

この流れの中でいかに効率よくエネルギーとスピードを下半身から体幹、上半身に伝えて変換していくかということが「うまさ」になります。

この「うまさ」ある選手はスムーズにエネルギー増幅されて、結果として、肩が強くなる(強肩)わけですね。

こちらの動画も参考にしてみてください。

 

別にフォームが汚くたっていいんです。

「うまさ」はキレイさではありません。

「うまさ」はバランスであり、タイミングであり、力の入れ具合であり・・・

説明すればするほど、この「うまさ」の難しさが伝わってしまう気がしますが、ここでは難しいことは一旦横において、「うまさ」の向上に役立つ可能性があるトレーニングを紹介しておきたいと思います。

 

その前に、「やわらかさ」の解説です。

「やわらかさ」とは股関節や背骨から肩甲骨のやわらかさ

再度、おさらいです。

強肩に必要なのは、物理的な勢い(ステップや助走など)を動きの巧みさで増幅していく能力でした。

正確には物理的な勢い(スピードやエネルギー)を下半身から体幹、上半身へ増幅しながら伝えていく能力なんですが、

ここで「やわらかさ」が足りないと、

下半身から体幹の伝達タイミングで、動きがブロックされてしまい、増幅するどころか減弱します。

 

そして、体幹から上半身への伝達タイミングでも同様に動きがブロックされてしまいますし、さらには、無理矢理、エネルギーを増幅させて上半身に伝えようとして、肩や肘を傷めてしまうということが起こります。

そういう意味で「やわらかさ」は必須と言えます。

強肩の条件 「うまさ」と「やわらかさ」のトレーニング法

では、いよいよ強肩の条件である「うまさ」と「やわらかさ」を向上させるためのトレーニング方法について解説していきます。

「うまさ」のトレーニング法:分析的ノーステップ遠投

「うまさ」のところで解説しましたが、「うまさ」というのは非常に難しい要素です。それゆえ、「才能」で片付けられがちでしたが、僕はその片付け方は大嫌いなので、ここから逃げることはしません。

 

「うまさ」とは下半身から体幹、上半身へスピードとエネルギーを伝えていく技術です。

ここで、もう一度考えたいのは、
下半身で生み出す力についてです。

これは助走スピードが速ければ速いほど、つまり、極端な話、ウサイン・ボルト選手ならすごいボールが投げられるのかと言えば、違うということがカギです。

つまり、下半身で生み出す、助走やステップのエネルギーは肩が強い人とそうでない人ではそう大きく変わらないであろうという考え方です。

 

とすると、小さい助走やステップのエネルギーをいかに体幹・上半身に伝えて、増幅していくかをトレーニングすることが「うまさ」向上のためのトレーニングになると考えています。

そこでオススメなのは

分析的ノーステップ遠投です。

ステップをしないで、お尻の体重移動だけで投げるという遠投を続け、距離を伸ばすように努力していくということです。

ここでのポイントは闇雲に数を投げても「うまくならない」ということです。

それはそうです。

「うまさ」を獲得しようとしているのに、同じ投げ方をしていては、その「うまくない」状態を強化しているだけになります。

100球投げるなら、100通りの投げ方を試し、その都度、フィーリングと遠投距離を記録していきます。そして、その投げ方も動画で記録しておきます。

そして、フィーリングと距離が良かったモノをピックアップして、分析します。

何が良かったのか?

その積み重ねで、自分にとって「うまい」投げ方を獲得していくという方法が分析的ノーステップ遠投です。

 

面倒かもしれませんが、非常に難しい「うまさ」を向上させるためにはこれくらいしないといけません。

「やわらかさ」のトレーニング方法

「やわらかさ」というのは、主に

  • 股関節
  • 胸椎(背骨の上の方)と肩甲骨

が大切です。

それぞれの柔軟性アップのトレーニング方法を紹介いたしますので、参考にしてください。

股関節の柔軟性アップトレーニングの方法

まず股関節周囲の柔軟性ですが、
特に太ももの前後、

つまり大腿四頭筋ハムストリングス
柔軟性が重要です。

 

とくに野球選手は股関節の柔軟性はとても大切です。

投球動作においては、
股関節がかなり幅広く動き、
この股関節の動きにおいて

ふとももの前後の筋肉の柔軟性が足りないと、

かなり無理な動きになり、
骨盤から体幹の動きも制限され、

結果、運動連鎖が非効率的に
スムーズじゃないものになります。

この2つに対しては
2つストレッチ動画をご紹介します。
参考にしてください。

胸椎・肩甲骨の柔軟性アップトレーニング

ストレッチポール
肩甲骨の動きを引き出しながら
リラックスしながら
ストレッチできるのでオススメです。

まとめ

今回は野球をする人では誰でもあこがれる「強肩」になるためのトレーニング法というテーマでお届けいたしました。

強肩になるには何が必要なのか?ということを紐解いたあとに、その遠投能力に必要な「うまさ」と「やわらかさ」を向上させるトレーニングをご紹介いたしました。

もちろん全身の筋力も必要ないことは全然ありません。ですので、そういったトレーニングに加え、今回紹介したようなトレーニングを加えてみるのも考えてみていただくといいと思います。

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おかげさまでたくさんのご相談をいただいております。どうしてもゆっくり時間をかけて1人1人と向き合えないのが悩みですが、それでも、患者さんの希望、理想的にはゴールをできるだけ掴んで、お手伝いできること・ご提供できることを常に探しながら診療しております。

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