上腕二頭筋長頭腱炎のテーピングをわかりやすく byスポーツドクター

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歌島 大輔
歌島 大輔
スポーツ整形外科医師(非常勤)景翠会 金沢病院
スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

今回は上腕二頭筋長頭腱炎という肩の前側の痛みに対する効果的なテーピングを紹介、解説していきたいと思います。

上腕二頭筋長頭腱炎のテーピングは検索すれば動画もたくさん出てきますが、何がいいテーピングなのか?氾濫した今の情報時代の中では選択する難しさがありますよね。

そこでのポイントはメカニズムの理解だと思います。

なぜ上腕二頭筋腱炎がおこり、どこの何がどうなっているのか?
そして、治療はどのようなコンセプトで行うのか?

ということを理解した上であればテーピングもどれを選択すればいいかシンプルになってきます。

 

そんな解説ができればと思いますので、しばしおつきあいいただければと思います。

こんにちは、肩を専門とするスポーツ整形外科医の歌島です。本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

上腕二頭筋長頭腱炎の基本

上腕二頭筋は長頭短頭の2本あり、
そのうち、長頭は肩関節の中に入り込む構造をしています。

この長頭が肩の中に入り込むときに急にカーブするので摩擦などの物理的負荷を原因とした炎症を起こしやすいと考えられています。この部位近くの骨の溝「結節間溝(けっせつかんこう)」と呼んでいて、
肩の前方にあります。

画像引用元:肩関節外科の要点と盲点 (整形外科Knack & Pitfalls)第1版 文光堂

さらなる上腕二頭筋長頭腱炎の症状やメカニズムなどの
基本的なことはこちらで詳しく解説しております。

上腕二頭筋長頭腱炎とは? 専門医がわかりやすく

2017.03.30

上腕二頭筋長頭腱炎のテーピングを理論から解説

それでは上腕二頭筋長頭腱炎のテーピングについて理論的に解説していきます。

上腕二頭筋長頭腱炎治療の全体像を把握する

まず上腕二頭筋長頭腱炎の治療のコンセプトと全体像を把握していきます。

上腕二頭筋長頭腱炎は筋肉の先端部分の肩の痛みという捉え方でいいのですが、
そうすると、この筋肉と肩関節を安静にするというのがまずスタートになります。

安静は自然治癒力の中で炎症がおさまってくれるのを待つということです。

 

さらに積極的に炎症を直接抑えていこうとすると、
注射や飲み薬の内服を検討することになります。

飲み薬はNSAIDs(非ステロイド系消炎鎮痛剤)と呼ばれる内服薬が基本で、
このタイプは貼り薬や塗り薬などもあります。

注射はより直接的に限定的に投与できるので、
炎症を抑える効果が強いステロイドを投与することが多いです。

※この写真は外側から注射していますが、結節間溝に注射する場合は前から注射します。

これらで炎症のコントロールがつかないというときには、
最終手段として手術を行うことがあります。

手術としては、上腕二頭筋長頭腱が肩の関節の中に入る急カーブ部分を
どうにか解決しようと考えて行います。

その方法は腱を切ってしまう(切腱術)か、腱を関節の外で固定(縫い直す、腱固定術)するか、
ということになります。

どちらも関節鏡と呼ばれる内視鏡手術で行うことが多くなっています。

 

上腕二頭筋長頭腱の働きをテープの張力でサポートする

そんな治療の全体像の中でテーピングの役割はどういうものになるのか?というと、

テープを使って治療のコンセプトである「結節間溝部での負担を減らしていく」ということを考えるわけですが、

そのためには上腕二頭筋が頑張らなくて済む状態を作る

というのが1つですよね。

上腕二頭筋が頑張る、すなわち強く収縮すると、結節間溝で上腕二頭筋長頭腱が強く引っ張られるわけですね。

それをテープを上腕二頭筋に沿って貼ることで、テープの張力(すなわち縮もうとする力)が筋力をサポートしてくれます。

具体的な方法はこちらの動画をご参照ください。

肩の前方を圧迫する

もう一つ、結節間溝での負担を減らすためにやるのは、肩の前方を圧迫するということです。

結節間溝で上腕二頭筋長頭腱が通っているわけですが、まっすぐ直線的に力の方向に走っているわけではなく、肩の前方で急激にカーブしているわけです。


画像引用元:肩関節外科の要点と盲点 (整形外科Knack & Pitfalls)第1版 文光堂

 

そのため、上腕二頭筋長頭腱が引っ張られるたびに、このカーブをショートカットしようという力が働きます。それは物理的には当然の力です。

この繰り返しの中で、上腕二頭筋腱がショートカットしないように押さえている周りの膜などが炎症を起こしてしまい、徐々に上腕二頭筋長頭腱の動きが安定しなくなってきてしまうので、

この上腕二頭筋長頭腱の走行を安定させるように肩の前方を圧迫してあげるというテーピングも効果が期待できます。

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具体的にはこちらをご参照ください。(さきほどの動画の途中から再生されます。) こちらはさきほどの上腕二頭筋に沿ったテープとクロスするテープを多少伸ばしながら貼って圧迫効果も出しています。

まとめ

今回は上腕二頭筋長頭腱炎に対する有効なテーピングについて、理屈も含めて解説いたしました。

よく理解できていないまま、言われたとおり、本に書かれてあるとおりにテーピングするのと、
理屈を理解してテーピングするのは効果が全然違いますし、状況に応じた応用が利きます。

ぜひ、ご参考にしていただければと思います。

もう一つ大切な、上腕二頭筋腱炎に対するストレッチについてはこちらの記事をご参照ください。

上腕二頭筋長頭腱炎に有効なストレッチ 結節間溝の痛みを改善!

2017.03.29

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