テニスが原因の肩の痛みはここがやられている by専門医

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歌島 大輔
歌島 大輔
スポーツ整形外科医師(非常勤)景翠会 金沢病院
スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

今回はテニスが原因で肩が痛いというときにどういうことが考えられるのか?ということを解説したいと思います。

実際、肩専門の整形外科の外来をしているときには、テニスをしていて肩が痛いとおっしゃるひとは思いの外多いです。

テニスはかなり幅広い年齢層の人々に楽しまれるいいスポーツだと思います。

若くてバリバリやっている人であれば、肩への負荷が強くて痛みが出て、上手くなりたいのに練習ができないという悩み・・・
ご高齢になってきて、ゆったりできればいいと思いながらも、サーブくらい上から打ちたいと思ってやってみると痛くて打てないという悩み・・・

など様々な人々がテニスにおける肩の痛みで悩んでおられます。

まずはテニスにおいてなぜ肩を傷めやすいのか?というような基本的なことを押さえられるような内容をこころがけました。
参考になりましたら幸いです。

こんにちは、肩を専門とするスポーツ整形外科医の歌島です。
本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

オーバーヘッドスポーツは肩の痛みのリスクになる

テニスのサービス、野球の投球動作、水泳のクロールなどなど、腕を肩より(頭より)挙げた状態で動かすスポーツをオーバーヘッドスポーツと言ったりしますが、

この動作は肩にとってはなかなか難易度が高い動作です。

普段は腕は下におろしています。ましてや、進化の過程で前脚ですらなくなった腕は肩より上(前)に挙げる必要性がかなり少なくなっている中でのオーバーヘッドスポーツですから致し方ありません。

フォアハンドやバックハンドストロークは肘や手関節に負荷

テニスの場合は肩より下でラケットを振るようなフォアハンドやバックイハンドストロークがありますが、これらももちろん肩に負担はかかります。

ただ、相対的には、このフォアハンド、バックハンドの場合はより末端の肘や手関節(手首)に負担がかかり、痛みが出ることが多いです。

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テニスのサーブがかける肩に負担は尋常ではない

ということで、テニスの肩の痛みの場合には多くはサーブが影響しているわけですが、

テニスのサーブはできるだけ高い打点で打ち下ろそうとするため、肩はかなり挙上位をとります。

しかし、本当の肩の最大挙上位であるバンザイでは、肩の構造上、パワフルかつスピーディーな腕の振り、すなわちラケットスイングができません。

そのため、体幹を傾けることで打点を高くしながら、肩から腕のスイングは最高速度のパワフルスイングをしようとします。要は身体にとって無理な体勢で高速スイングをするわけです。プロレベルでは時速200km/hを越える初速が得られるわけですから、ものすごいスイングスピードです。

それを決して軽くないテニスラケットを持って成しえるわけですから、肩への負担は尋常ではありません。

肩は人体で最も多方向に大きく動く関節

肩という関節の大きな特徴ですね。

手足、股関節、膝・・・

あらゆる関節の中で
圧倒的に幅広く、多方向に動くのが

肩関節です。

ですよね、前にも後ろにも、横にも、
回旋運動も

これだけ動くのは
肩だけです。

それゆえ肩は不安定

これだけ動くということは、
不安定なんです。

不安定性がいきすぎれず、
脱臼ということになります。

肩の脱臼は
他の関節の脱臼に比べて、
明らかに多いですね。

そして、クセになってしまうことも多いです。

それだけ不安定な関節なわけですが、

脱臼しないまでも、
常に動いているときに、

多少グラグラしながら動いている

そう考えていいです。

そこで、少しでも安定的に動くように
関節唇(かんせつしん)や
腱板(けんばん)筋群というインナーマッスルが
頑張って支えてくれている

それが肩です。

肩には自前で生み出せる何倍もの力がかかって投げる

テニスのサーブという動作において
この肩にかかる力は

自分の力で出せる力の何倍にも及びます。

それは、運動連鎖という
連鎖的に増幅する動き、エネルギーの中で
行われるからなんですね。

下半身・体幹で生まれた大きな力が
肩を大きく高速に動かすわけですから、

肩周りの筋力だけでは
とてもできないスピードで動きます。

そういう意味では、
肩は「動かされる」と言ってもいいでしょう。

かかる力、動きのメインは回旋

その肩にかかる力、動きは

回旋運動です。

このテニスの動作における、回旋運動の時に特に負荷がかかるのが、

関節唇(かんせつしん)
だったり、
腱板筋群だったり、
腱板疎部(けんばんそぶ)だったり、

という部分です。

そういった負荷がかかった結果、
肩の痛みの原因となっている病態をいくつかご紹介します。

インターナルインピンジメント

病態、メカニズムとして、
インターナルインピンジメント

というものがあります。

これはテニスもそうですが、
野球のピッチャーに多い病態です。

これは主に、
肩を挙げて、過剰に外旋した状態

つまり、

腕がしなっている瞬間に起こるものです。

Tennis player serving

実際には関節の中で
後上方を走る棘下筋と、
後上方にある関節唇が、
衝突、こすれてしまう状態です。

画像引用元:OSnow_instruction_11_肩・肘のスポーツ障害 メジカルビュー社

それを繰り返せば、
その擦れたどちらかが損傷する。
もしくはどちらもが損傷する

ということが起こります。

インピンジメントについてはこちらでも解説しております。

インピンジメント症候群とは?肩専門医が解説

2016.12.12

SLAP病変

上方関節唇が損傷してしまった状態を
SLAP病変言います。

これは

Superior Labrum Anterior Posterior 病変

の略で、

直訳すると「上方関節唇前後病変」

ちょっと意味不明ですが、

要は上方を中心に前や後ろまで
関節唇が傷んでしまった状態

と言えます。

 

この原因がインターナルインピンジメント
と言うわけです。

これは痛みの部位という点では
少し把握が難しいです。

かなり関節の深いところの痛みになります。

痛い瞬間はやはり
腕が最大にしなった辺り(=ラケットが下を向いているあたり)が多いと思います。

棘下筋損傷(腱板損傷)

もう一つの擦れる相手、

棘下筋腱が損傷してしまう。
特に関節面の部分損傷が多いのは

そのメカニズムからも当然のことと言えます。

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂

痛みの部位は後ろ側か、外側に感じ、

腕が最大にしなった辺りか、その直後くらいの痛みが
多いだろうと思います。

腱板損傷については
こちらの記事もご参照ください。

肩腱板損傷に特徴的な症状はあるのか? 肩専門医解説

2016.12.11

肩峰下インピンジメント

インピンジメントには
もう一つ代表的なモノがあります。

それが肩峰下インピンジメントと言います。

これは肩峰という肩の骨の下面、
もしくは烏口肩峰靱帯という靱帯と、

棘上筋腱の擦れと考えられており、

結果、腱板損傷の中でも
棘上筋腱損傷が起こりやすいメカニズムです。

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂(一部改変)

主に外側の痛みとして
訴えがあり、

サーブのバックスイングやフォアハンドのフォロースルー辺りで痛みがあるとすれば、
この可能性も十分あり得ます。

上腕二頭筋長頭腱炎

力こぶの筋肉である
上腕二頭筋ですが、

この「二頭」の1つ、
長頭は肩の前方から上方を通って、
関節の中に入ります。

そのため、サーブやストロークの肩関節運動において、
負荷がかかりやすく、
炎症を起こしやすい部位です。

痛みは肩の前方に感じることが多いでしょう。

こちらでも詳しく解説しております。

上腕二頭筋長頭腱炎とは? 専門医がわかりやすく

2017.03.30

腱板疎部損傷

腱板疎部損傷というのは、
腱板のうち、
前方の肩甲下筋腱と棘上筋腱の間
損傷です。

起こりやすいのはバックハンドのフォロースルーや
フォアハンドのバックスイングです。

これも前方に痛みが走ることが多いでしょう。

腱板疎部損傷については
こちらの記事をご参照ください。

腱板疎部損傷とは?治療法は? 肩専門医解説

2016.12.14

まとめ

テニスによる肩の痛みは主にサービスによるオーバーヘッド動作によって引き起こされることが多く、その病態は多岐に渡ることを解説いたしました。

しっかりと病態を把握(=診断)の上、必要な治療やリハビリを行うことが大切です。それぞれの記事もご参照ください。

少しでも参考になりましたら幸いです。

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