腕が上がらない病気?すぐに病院にいくべき徴候・原因

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歌島 大輔
歌島 大輔
スポーツ整形外科医師(非常勤)景翠会 金沢病院
スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

今回は腕が上がらない!?というときに、これは病気なのか?加齢なのか?怪我なのか?…
どんな原因が考えられて、すぐに病院に行くべきなのか?何科にいけばいいのか?

という疑問にお答えできるような記事です。

急にでも、段々にでも腕が上がらないというのは驚くとともに、困りますよね。

こんなときにどのように状態を評価して、病院にすぐに行かなきゃいけないのはどんな時なのか?ということを解説いたします。

こんにちは、肩を専門とするスポーツ整形外科医の歌島です。
本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

腕が上がらない状態:肩関節以外の病気の可能性

腕が上がらないというのは肩関節の問題であることがほとんどなんですが、稀にそれ以外の病気が原因になっていることもありますので、その可能性についてまず解説いたします。

ただ、内臓や脳の病気以外は基本、整形外科で診察して診断するものになりますので、まずご相談いただくのは整形外科がいいかと思います。

脳や頚椎からの神経障害の可能性

まずは腕を上げる筋肉に司令を送る神経の問題が起こっている可能性です。

神経は脳から始まり、頚椎(首の骨)の後を走る脊髄神経から末梢神経に至ります。この経路の中でどこかしらが障害を受けて、腕が上がらないという状態が起こることがあります。

 

例えば、脳梗塞や脳出血なんていうのが脳の障害の典型的な病気ですが、脳は身体中の神経の大元ですから、腕が上がらないという状態以外にも手がしびれるとかろれつが回らないとか、様々な症状が出てくるので、鑑別はしやすいかと思います。

しかし、だんだんと神経も肩に近づいていくにつれて、腕が上がらないという症状以外にはあまり目立った症状がないということもあり得ます。

例えば、頚椎椎間板ヘルニアのような頚椎の病気で腕を上げる筋肉を支配する神経1本が障害を受ける状態は起こりえます。

 

首が原因で腕を上げる神経の障害がある場合は首の動かすと肩に痛みが走ったりすることが多いです。

ただ、確定診断には最低でも頚椎(首)のMRIを撮って神経の状態を把握することが必要になります。

内臓の病気の可能性

腕が上がらないという症状が内臓が原因で起こるということは・・・実際は多くありません。

例えば、そこに肩や背中、胸の痛みを伴って上がらないということであれば、少し可能性があがります。

 

心臓の病気(心筋梗塞、心膜炎など)や肺炎、肺癌などの関連痛が肩の周囲に及んで、腕を上げるのも困難になるというケースです。

ただ、関連痛は一般的に痛みの部位を動かそうが、動かすまいが痛みが同じように感じることが多いので、上がらないという悩みになるかというとその可能性は低いでしょう。

さらに稀なケースですが、腕を上げる筋肉やその支配する神経を圧迫するように出現した「腫瘍」が原因になっていることがあります。この腫瘍は悪性の腫瘍であれば「癌」と言ったり「肉腫」と言ったりしますが、良性のものでも出現する部位によっては腕が上がらない、肩が痛いなどの症状を出すことがあります。

「腕が上がらない」を正確に把握する

一口に腕が上がらないと言っても、実際にどの関節運動のことを指しているのかは結構人によって違います。

まず肩が上がらないというのと、肘が曲がらないというのは確実に区別しないといけません。

ここでは肘についての症状ではなく、肩についての症状を解説します。

肩関節挙上 前から上がらない

まず肩関節挙上運動と言って、身体の前からバンザイまで持って行く動きです。

これができないときは肩の挙上困難、もしくは肩の前方挙上困難と言います。

前方挙上の時は三角筋の前側、腱板筋(インナーマッスル)、上腕二頭筋が働きます。

肩関節外転 外から上がらない

次に肩関節外転です。これも挙上同様、バンザイまであげる動きですが、前からでなく外側からです。

この時は三角筋の外側と、腱板筋が働きます。

「腕が上がらない」原因を把握する

次になぜ腕が上がらないのか?を自分なりに分析してみましょう。

痛くて上がらない

まず一番多いのは、痛くて上がらないというケースです。
これは肩関節周囲炎で多く、こちらもご参照いただきたいのですが、

肩関節周囲炎の原因とは?周囲炎ってどこのこと?

2017.04.10

肩の周りに炎症が起こって、肩を上げようと動かしたときに痛みが走って、それ以上あげられないという状況です。

肩関節周囲炎とは?

四十肩や五十肩と呼ばれるものの多くがこの肩関節周囲炎という診断名になります。

その名の通り、肩関節の周りに炎症が起こるということです。

肩関節の周囲にはたくさんのいろんな組織(筋肉、腱、靱帯、骨・・・など)があり、実際、肩関節周囲炎ではさまざまな場所の炎症が痛みの原因となっています。

肩関節周囲炎の原因は?

肩関節周囲炎の原因としては、

加齢性の変化 + オーバーユース(もしくは外傷)

という一言でシンプルには表現できてしまいます。

10代、20代の人がたくさん肩を使っても痛くなりにくいのは、加齢性変化がない、タフな肩だからですね。

逆に高齢の方で肩の痛みがない人は、あんまり肩を使ってないのかもしれません。

40歳、50歳くらいの人はその間で、加齢性変化も始まりながら、肩も相変わらずよく使うというのが大雑把な原因です。

カタくて上がらない

次に痛みは少ないけどカタくて上がらないというケースです。これは凍結肩という、四十肩、五十肩のひとつや、外傷後に拘縮してしまうなどの状況が考えられます。

凍結肩とは? 肩が凍結しちゃうってどういうこと?

2017.04.05

凍結肩とは?

凍結肩とは、肩が凍ってしまったかのように動かせなくなる状態のことを言います。

肩が動かせなくなるというと、2つの状態があって

  • 自分の力で動かせない
  • 他人の力でも動かせない

前者の他人の力で動かしてもらえば、肩は動くということであれば、肩はカタくなっているのではなく、筋肉が働いていない状態ですので、神経の麻痺という重篤なモノか、筋肉の断裂(腱板断裂が多い)か、ということで凍結肩とは違います。

凍結肩の動かないは、自分でも他人でもカタくなって動かせないという状態です。

身体は自らを守ろうと頑な(かたくな)になる性質がある

肩関節の周りに炎症が起こり、それが長引いてくると、肩をより守ろうと身体は反応していきます。

肩に限らず、自らを守ろうとした結果はカタくなるのが身体の反応です。例えば、同じ場所を何回も切ったり、擦り傷を負ったりすれば、そこの皮膚は硬くなっちゃいますよね。

肩の関節包がどんどん分厚く、カタくなる

肩の場合に硬くなるというのは、肩をとりまく関節包(かんせつほう)という膜です。この関節包がどんどん分厚くなって、硬く、伸びなくなってしまう結果、肩が凍ったかのように動かなくなっちゃうわけですね。

力が入らなくて上がらない

最後に力が入らなくて上がらないという状況です。これは、今までの2つに比べて、誰かに上げてもらったり、自分の逆の手でつかんで上げれば、上がるというのが特徴です。(拘縮も合併していれば別ですが)

これは前半で述べたような神経の問題で筋肉に力が入らないケース(麻痺)や腱板断裂など動かすべき筋肉が損傷しているケースなどを考えます。

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すぐに病院にいくべきは「力が入らない」とき

この中ですぐに病院に行くべきなのは、「力が入らない」ときです。

これはまさに麻痺と呼ばれる状態が疑われます。麻痺というのは神経が何らかの状態(頚椎ヘルニアなど)で、障害されて筋肉に動けという信号が伝わらないために、関節が動かせなくなります。

これは原因を速やかに見つけて、時には緊急手術になることもあります。神経を救うには時間との勝負という側面があるからです。

他には腱板断裂でも力が入らずに肩が上がらないということは起こりえます。これは神経の麻痺ではないので、偽性麻痺(ぎせいまひ)と呼ばれていて、肩を上げるには手術が必要になることが多いですが緊急ではありません。ただ、この場合は腱板断裂が進行した重症型であることがほとんどで、急に上がらなくなるというより、今までも肩が痛かったりしていたけど、ある時から悪くなったというような経過のはずです。

腱板断裂(損傷)をわかりやすく基本から治療まで解説

2017.10.30

なんにしろ、急に肩が力が入らずに上がらないという状況は少なくとも当日か翌朝の整形外科受診をお勧めします。

肩腱板断裂で力が入らない、肩が上がらない場合

腱板断裂というのはさきほども関連記事をご紹介しましたが、
非常に多くの方が実は起こしている肩のトラブルです。

この肩の腱板損傷の中でも
初期から中等症くらいでは肩が上がらない場合の原因は「痛み」です。

痛いから上がらないという状態です。

 

しかし、その痛いから上がらない状態を越えると、
次は

痛くないけど上がらない。力が入らないという状態が訪れます。

 

これは、腱板断裂が重症化して、腱板筋群の収縮力が
腕に伝わらないので、力が入らないということです。

 

極端に言えば、

神経麻痺は筋肉に神経が信号を届けることができないわけですが、

重症の腱板断裂は神経が信号を届けても、断裂しているから、
結局力は伝わらない

という状態になります。

だから、「偽性麻痺」と呼ばれるわけですね。

「痛くて」や「カタくて」も近いうちに受診を

それ以外でもやはり、肩・腕が上がらないというのは放置はしないほうがいいです。原因をハッキリさせておく必要がありますので、整形外科を近いうちに受診しましょう。

 

腕が上がらないという症状において考えられる原因について解説しました。少しでも参考になりましたら幸いです。

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当サイト管理人の歌島は関東の複数の病院で診療を行っております。

おかげさまでたくさんのご相談をいただいております。どうしてもゆっくり時間をかけて1人1人と向き合えないのが悩みですが、それでも、患者さんの希望、理想的にはゴールをできるだけ掴んで、お手伝いできること・ご提供できることを常に探しながら診療しております。

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