肩の注射 意外と多い注射のバリエーションを解説 by専門医

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歌島 大輔
歌島 大輔
スポーツ整形外科医師(非常勤)景翠会 金沢病院
スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

肩が痛くて病院に受診したら、注射って言われた。注射を肩に打つなんて!?という思いもあって、とりあえず断ったが痛み止めの飲み薬は効かないし…

なんて悩みを持つ方は比較的多いようです。

私の場合は
今の肩の痛みがおそらくここから来ていて、そうだとすれば、ここに注射を打つと効く可能性があるという説明をしますか、

そんな説明すらしない整形外科医もいるようですから、不安に思うのも当然です。

そんな私も説明不足は多々、反省することが多くて、その1つが、これは一時的な単なる痛み止めですか?という質問をされたときに、「あ、まただ」と感じます。やってしまったと。

当然の疑問ですよね。

肩の注射は単なる痛み止めではない!?

Young doctor women give an injection

ということで、肩にはいろんな注射がありますが、全ての注射に言えるのは、薬の効果は永続的なわけがありません。

特に局所麻酔薬や炎症を抑える薬が注射のほとんどですから、なおさらです。

しかし、飲み薬よりも遥かにピンポイントに多くの薬を注入できることは、一時的な薬の効果も、身体の炎症の悪循環を断ち切る可能性があります。

その悪循環とは、身体が何らかの原因(加齢や外傷など)で炎症を起こし、結果として、肩まわりが傷んで、また痛みが強まり、炎症が強まる。

というようなものだったり、

神経障害であれば、神経障害が何らかの原因で起こって痛みが出現して、筋肉が緊張する。その結果、硬く膨隆した筋肉に神経が圧迫されるというような悪循環だったりします。

 

これらの悪循環を注射のような多少の荒療治でガツっと抑えることは、単なる一時的な痛み止め以上のものを期待してしまいます。

もちろん、本当にその薬の作用時間くらい、もしくは注射部位によってはそれすら効かないなんてこともありますが、基本としてはもっと効くことを期待して提案します。

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肩の注射は単なる痛み止めとしても診断的意義がある

ただ、もし単なる痛み止めとしての効果しかなかったとしても、

つまり、一時的な痛み止めの効果しかなかったとしても、一時的でも痛みが治まったなら、そこに痛みの原因、炎症部位があるということがわかります。

これは非常に重要なことで、その場所へのもう何回かの注射が効果的なこともありますし、手術的にその部位の炎症の犯人である滑膜をクリーニングすることの効果により確証が持てます。

 

そう言ったことから、注射は

もしかしたら一時的かもしれない
でも、もっと根本的なメカニズム(悪循環の断ち切り)に効果があることを期待してやるし、

そうでなかったとしても、一時的に効くのかそうでないのかは非常に重要な情報をくれる

ということを説明しております。

肩への注射は大きくわけて2種類

肩関節周囲への注射は大きく

  • 炎症を抑える注射
  • 神経ブロック注射

の2つです。

まず炎症を抑える注射からですが、

関節や滑液包というスペースに抗炎症剤(+麻酔薬)を注射

関節滑液包という炎症の犯人である滑膜がいる場所に炎症を抑える薬としてステロイドヒアルロン酸を注射します。

これで一時的だとしても痛みが引くなら、そこが痛みの原因部位だと言えます。
それがわかるだけでも大きな意味があります。

肩峰下滑液包

一番多いのはここだろうと思います。肩峰下滑液包(けんぽつかかつえきほう)です。

肩峰下滑液包というのは肩峰という肩甲骨の骨の下、腱板というインナーマッスルの上にあるスペースで、そこには骨と筋肉がこすれて、ぶつかって、筋肉が切れてしまわないようにクッションとなる袋があります。それを滑液包と言います。

画像引用元:肩関節外科の要点と盲点 (整形外科Knack & Pitfalls)第1版 文光堂

ここの炎症が肩の痛みの原因になっていることが多いので、まずはここに注射することが多いです。

肩峰下滑液包炎についてはこちらもご参照ください。

肩峰下滑液包炎とは? 専門医解説

2017.03.29

肩関節内(肩甲上腕関節内)

次に関節の中です。一般的に肩に注射となれば、この関節の中に注射していると思いがちですが、そんなに多くありません。

ただ、関節の中に炎症があると疑えば注射することもあります。

肩鎖関節内

肩鎖関節の炎症が疑われば、ここにも注射をします。

画像引用元:肩関節外科の要点と盲点 (整形外科Knack & Pitfalls)第1版 文光堂

肩鎖関節とは肩甲骨と鎖骨の関節ですが、かなり肩に近いので、肩が痛い原因の中には時々肩鎖関節の炎症が隠れています。

その他

そのほかに結節間溝(けっせつかんこう)という、上腕二頭筋長頭腱(じょうわんにとうきんちょうとうけん)が走るスペースや、腱板疎部(けんばんそぶ)という腱板の間の膜に注射をすることもあります。

神経に麻酔薬(+抗炎症剤)を注射

もう1つの代表的な注射が神経ブロックです。肩の痛みの原因に末梢神経(まっしょうしんけい)の問題が隠れていることがありますので、その治療や診断確定のために注射が行われます。

神経ブロックの意味合いは、まず、麻酔薬を神経に届けることで神経が一定時間麻痺します。その間、神経は信号伝達のお仕事がお休みとなります。つまり、神経にも休息を与えてあげようという意味があります。そうなると一時的にも痛みが引いて、神経周りの筋肉も緊張状態から解き放たれますので、神経の周りの環境も良くなります。

もう1つは神経の炎症を抑えるということです。これは主にステロイドが使われます。神経が圧迫などを受けて物理的にダメージを食らう時に、神経は炎症を起こし、腫れてしまいます。そして、その神経の支配領域に痺れや痛みを出すので、それを抑えてあげようということですね。

肩甲上神経ブロック

肩甲上神経肩のインナーマッスルである棘上筋、棘下筋を支配する神経で有名ですが、肩関節や肩鎖関節にも感覚神経の枝を出していると言われていて、この神経の緊張が肩の痛みの原因となっていることもあるため、五十肩を中心に時々行われます。

肩甲上神経ブロックについてはこちらでも詳しく解説しております。

肩甲上神経ブロックとは?その方法と意味を専門医解説

2017.04.11

腋窩神経ブロック(四辺間隙)

もう一つ、肩に関連するブロックとして腋窩神経(えきかしんけい)に対する神経ブロック注射があります。

これは肩の後ろの骨や筋肉に囲まれた四辺間隙(しへんかんげき)と呼ばれるスペースで腋窩神経が圧迫をうけることがあり、四辺間隙症候群とかQuadrilateral space syndromeといった名前がついています。

画像引用元:肩関節外科の要点と盲点 (整形外科Knack & Pitfalls)第1版 文光堂

この特徴は腋窩神経の支配領域のしびれや痛みとなりますが、肩の後ろから外側へ比較的広い範囲で支配しているので、通常の肩痛と区別が付きにくいことが多いです。

そんなときにここに腋窩神経ブロック注射をして効果があるかどうかで原因判定に使うこともできますし、もちろん、純粋として注射することもあります。

まとめ

肩の痛みに対する注射として炎症を抑える注射と神経ブロック注射、それぞれ代表的な注射を解説いたしました。

せっかく学んでいただいたからには自分が受ける注射がどこに注射をしているのか?ということを聞いてみてもいいですよね。

少しでも参考になりましたら幸いです。

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おかげさまでたくさんのご相談をいただいております。どうしてもゆっくり時間をかけて1人1人と向き合えないのが悩みですが、それでも、患者さんの希望、理想的にはゴールをできるだけ掴んで、お手伝いできること・ご提供できることを常に探しながら診療しております。

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