肩の骨折後のリハビリのポイントを専門医解説

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歌島 大輔
歌島 大輔
スポーツ整形外科医師(非常勤)景翠会 金沢病院
スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

今回は肩の骨折後のリハビリというテーマでお届けします。

肩の骨折後にリハビリテーションで取り戻したい機能は当然「肩関節の働き」です。
この肩関節は複雑かつすぐれた関節なので
幅広く、様々な方向に動きつつ、
時には身体を支えることすらできるわけです。

その優れた肩関節の働きを取り戻すために、
しっかりとしたリハビリテーションが必要です。
肩の骨折と言っても肩には肩甲骨も鎖骨も上腕骨も有り、それぞれ骨折部位で治療法もリハビリポイントも変わりますが、肩関節という特徴から共通するリハビリテーションのポイントも存在します。

こんにちは、肩を専門とするスポーツ整形外科医の歌島です。
本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

肩の骨折後のリハビリでまず押さえたい基本

肩周囲の骨折のリハビリでまず押さえておきたい基本中の基本をお伝えしたいと思います。

肩はカタくなりやすい

一番は肩の関節はカタくなりやすいということです。拘縮(こうしゅく)と言います。

この拘縮予防が肩関節骨折においてまず考えたいものです。

それにはできるだけ早くから肩をどんどん動かせばいいわけですが、それをすれば、骨折がズレてしまう可能性があります。

そのため、ある程度、骨折がズレないと言えるくらいにくっつくまで、もしくは手術で骨折部を固定するまでは動かせません

骨折がズレず、しかし、拘縮しないようにできるだけ早く動かす

という、絶妙なバランスが必要になります。

肩は完全な固定が難しい

他の関節と違って、肩はギプスのようなものでのしっかりした固定ができません。巻こうと思えば巻けなくはないですが、身体ごと巻かないと固定できないので現実的ではありません。

そのため、三角巾などで固定というか、安静というか・・・という状態が基本です。

それにバストバンドという胸用コルセットみたいなものを腕ごと巻いたり、ストッキネット・ベルポー固定と呼ばれるような方法が、もう少し固定性を高めた方法としてあります。

ストッキネットによるベルポー固定
画像引用元:肩関節外科の要点と盲点 (整形外科Knack & Pitfalls)第1版 文光堂

肩の骨折後のリハビリは積極的に動かしていく

骨折がズレず、しかし、拘縮しないようにできるだけ早く動かす

という絶妙なバランスでリハビリをしていかなくてはいけないということを解説しましたが、そういう意味では、大丈夫と判断すれば肩は積極的に動かしていくことが必要になります。

その基本ポイントを2つほど解説いたします。

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振子運動訓練

1つめは振子運動訓練と呼ばれるリハビリです。当サイトでも何度も紹介していますが、重力や慣性力を使って、力を抜くことができるのが一番のメリットです。

また、上腕骨の長軸方向に牽引力、つまり引っ張る力が加わるので骨折がズレにくいという作用も期待できます。

自動可動域訓練と他動可動域訓練の使い分け

肩の周囲の骨は肩甲骨、鎖骨、上腕骨大結節、小結節と筋肉の重要な付着部が目白押しです。

そのため、自分の筋力を使って肩を動かそうとすると、その筋肉の付着部を引っ張ることになり、場合によっては、骨折がズレてしまう原因になります。

そういう意味で、肩の場合はまず他動可動域訓練からはじめることが多いです。

可動域訓練(かどういきくんれん)とはそのままの意味で、動かせる(可動)範囲(域)を広げるように訓練するということで、

「他動」可動域訓練とは「他動」つまり、他の人、もしくは他の手(自分の逆の手)などで動かしてあげる・・・つまり、関節が「動かされる」状態での可動域訓練です。

その逆が「自動」可動域訓練です。自分の力、筋力で関節を「動かす」可動域訓練ですね。最終的には自分で動かせないと困りますから、この自動可動域訓練も重要です。

肩関節の動きは上げるだけではなく、幅広く動く

肩関節は最初はやはり上がるかどうかがリハビリテーションの進み具合のわかりやすいポイントですが、なかなか上がりが悪いということは良くあります。

それは肩という関節が単に上げて、下ろして、というシンプルな関節ではないということも関係しています。

 

どういうことかと言うと、

肩関節の動きには

  • 挙上(屈曲):前から上げる
  • 伸展:後に上げる
  • 外転:外から上げる
  • 内転:内に閉じる
  • 外旋:「小さく前ならえ」から手を外に持っていく
  • 内旋:「小さく前ならえ」から手を内に持っていく、背中を触る

 

と基本的な動きだけでも6種類あります。

 

他動挙上訓練ということでいうと、このように誰かに上げてもらうということが楽ですが、

自宅で1人でやる場合は逆に手で持って上げていくことになります。

外旋は小さく前ならえから手を外に開いていく動きと述べましたが、この動画のように少し脇を開いた状態から開くと腱板(インナーマッスル)が少し緩むので動かしやすくなります。

 

内旋はこのように棒を使うとやりやすいです。

これは下の手(右手)のストレッチなんですね。手を背骨に沿って上に上げていくときに肩は内旋していっています。この内旋がカタいと背中に手が回せなくて困ってしまうわけです。

肩の骨折記事を部位毎にご紹介

肩を構成する骨は3つある

それぞれの部位の骨折については、
詳しく解説している記事がございます。

上腕骨

上腕骨というのは肘から肩までの細長い骨で、肩の近くは上腕骨近位端(じょうわんこつきんいたん)と言います。
この部分の骨折は非常に多く、骨折の部位や折れ方によって治療が様々です。

また、上腕骨骨折のリハビリポイントについてはこちらをご参照ください。

上腕骨近位端骨折のリハビリポイントを解説 by専門医

2017.04.10

上腕骨近位端骨折の中でも特に特徴的な大結節骨折ついてはこちらで詳しく解説しておりますのでご参照ください。

上腕骨大結節骨折とは? 少しのズレも注意が必要な理由

2017.04.08

肩甲骨

肩甲骨骨折は一部を除くと、手術ではなく保存的に治療をすることが多い骨折です。ただ、油断すると肩がカタくなってしまうこともありますし、また、部位によっては手術が必要なことがあります。

肩甲骨骨折についてはこちらで詳しく解説しておりますのでご参照ください。

肩甲骨骨折のリハビリポイントを解説

2017.04.11

鎖骨

鎖骨骨折は肩に近い部分は鎖骨遠位端骨折と言いますが、骨がくっつきにくい厄介な骨折と言えます。

鎖骨遠位端骨折についてはこちらで解説しております。

鎖骨遠位端骨折とは? リハビリを専門医が解説 治療全般も

2017.04.12

 

まとめ

今回は肩の骨折後のリハビリテーションのポイントと言うことで、共通する基本ポイントをお伝えしました。

骨折の治癒と拘縮を防ぐという二つを同時に達成することの難しさが肩の骨折にはありますが、基本を押さえて、さらにそれぞれの骨折の詳しい記事もご参照いただき、しっかりリハビリをしていただければと思います。

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