上腕骨骨折のリハビリポイントを解説 by専門医

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歌島 大輔
歌島 大輔
スポーツ整形外科医師(非常勤)景翠会 金沢病院
スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

今回は上腕骨骨折(じょうわんこつこっせつ)のリハビリテーションのポイントを解説いたします。

上腕骨は肩から肘にわたる長い骨で、肘と肩、両方の関節に関係する大切な骨であるわけですが、それゆえにリハビリが非常に重要です。

リハビリを医師から自宅でセルフでやってくださいというケースもあれば、病院で定期的にリハビリをやりましょうというケースもありますが、どちらにおいても関節がカタくならないようにするためにも、骨折を悪くしてしまわないためにもリハビリのポイントを理解してやるこは大切です。

こんにちは、肩を専門とするスポーツ整形外科医の歌島です。
本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

上腕骨骨折の大分類

まずは基本的なことですが、上腕骨骨折の大きな分類を解説します。長い骨ですから、折れる部位によっても治療やリハビリポイントが違います。

上腕骨近位端骨折=肩ちかくの骨折

まず肩に近いところですね。これを上腕骨近位端と言います。近位というのは身体の中枢に「近い位置」ということですね。

この部位には上腕骨骨頭(こっとう)、解剖頚(かいぼうけい)、外科頚(げかけい)、大結節(だいけっせつ)、小結節(しょうけっせつ)など複雑な形状をしているのが特徴です。

画像引用元:肩関節外科の要点と盲点 (整形外科Knack & Pitfalls)第1版 文光堂

特に特徴的な大結節骨折についてはこちらで解説しております。

上腕骨大結節骨折とは? リハビリは?少しのズレも注意が必要な理由

2017.04.08

上腕骨骨幹部骨折=上腕の真ん中辺りの骨折

次に真ん中あたりの骨折ですが、これは骨の幹(みき)ということで骨幹部(こっかんぶ)という名前が付いています。

画像引用元:上肢の骨折・脱臼 手技のコツ&トラブルシューティング (OS NOW Instruction)第一版 メジカルビュー社

この骨幹部は特に複雑な肩ではなく、棒状、円筒状です。シンプルでいいんですが、近位端、遠位端に比べれば細いので、ズレやすい、不安定になりやすいというデメリットがあります。

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上腕骨遠位端骨折=肘ちかくの骨折

肘近くは、上腕骨の中で中枢から「遠い位置」ですので、上腕骨遠位端と言います。

こちらは肘関節を構成するので、肩関節を構成する近位端同様、複雑な形をしています。

上腕骨骨折のリハビリポイント

上腕骨骨折が3つのパートに分かれるという解説いたしましたので、それぞれのパート毎の基本を解説したいと思います。

その前に基本中の基本として、手術をした場合としない場合でのリハビリの考え方の違いを解説します。

手術をしない場合:非常に不安定な骨折のため慎重に

手術をしない場合は上腕骨を動かさないこと(固定 or 安静)によって骨をくっつけます。骨がある程度くっついたことを確認してからリハビリとして関節を動かすことを開始しないと、骨折部位がズレてしまい、変形が強まったり、骨がくっつかないという結果になりかねません。

手術をする場合:積極的に動かして大丈夫なことが多い

手術をした場合は骨折部を何かしらの金属で固定していることとがほとんどですので、関節を動かしても大丈夫なことが多いです。

むしろ、手術の一つの大きな目標が早くから動かせる、リハビリできる状態を作ることにありますので、その目的が達せられていれば早期から肩や肘がカタくならないように動かしていくことになります。

上腕骨骨折 近位端骨折のリハビリポイント

上腕骨の近位端骨折の場合は肩関節をいかにカタくしないかがポイントです。それは肩周囲の骨折だから、肩のダメージが骨以外にも及んでいて、肩まわりの筋肉が固まったり、関節包や滑液包などと呼ばれる膜が癒着したりして、拘縮が起こります。

そうならないために積極的に肩を動かしたいんですが、それには骨折部位の固定性がポイントになります。手術をして十分に固定できていれば積極的にいろんな方向のリハビリをやっていきますが、そうでなければ、しばらくは安静にせざるを得ません。

その中でも早くから、比較的安全にできるのが振子運動リハビリとなります。
当サイトでも何度も紹介していますが、重力や慣性力を使って、力を抜くことができるのが一番のメリットです。

また、上腕骨の長軸方向に牽引力、つまり引っ張る力が加わるので骨折がズレにくいという作用も期待できます。

上腕骨骨折 骨幹部骨折のリハビリポイント

上腕骨骨折の中でも骨幹部骨折は肩も肘も関節からは離れた位置の骨折であるため、関節がカタくなる可能性は他二つのパートに比べれば少ないです。

逆に骨が細いので、ズレやすいのと、ズレ方によっては骨のくっつきが悪くなります。

画像引用元:上肢の骨折・脱臼 手技のコツ&トラブルシューティング (OS NOW Instruction)第一版 メジカルビュー社

 

そこで手術をしない場合はしっかりと固定をします。ギプスか装具を使うことが多く、骨がくっつくまでには6週間以上かかることが多いです。(子どもの場合はもう少し早いです。)

手術をすれば大抵はいい固定になりますので、積極的に動かすこともできます。

画像引用元:上肢の骨折・脱臼 手技のコツ&トラブルシューティング (OS NOW Instruction)第一版 メジカルビュー社

上腕骨骨折 遠位端骨折のリハビリポイント

上腕骨骨折の遠位端骨折は肘がカタくなるのを防がないといけません。肩は非常に拘縮を起こしやすく、凍結肩なんていう病名もあるくらいなんですが、外傷後は肘はさらにカタくなりやすいです。

外傷後は関節の周りに出血が起こっていて、その結果、関節周りが癒着したり、靱帯がカタくなったりして、すごくカタくなります。

そのため、肘の場合は手術しない場合も骨が完全にくっつくまで6週間固定するなんてことは滅多にありません。そうすると大抵は肘はすごくカタくなります。

そんな長期間固定が必要そうな骨折であれば、手術をして早めに動かすことが勧められますし、手術は必要ないレベルであれば最低限の2–3週の固定期間の後に、慎重に肘を動かしていくことになります。

まとめ

上腕骨骨折のリハビリポイントを解説いたしました。

上腕骨は3つの部位にわかれ、それぞれでリハビリのポイントが全然違いますので、ご自身の骨折がどの部位なのか?というのをまず照らし合わせてみてください。

少しでも参考になりましたら幸いです。

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おかげさまでたくさんのご相談をいただいております。どうしてもゆっくり時間をかけて1人1人と向き合えないのが悩みですが、それでも、患者さんの希望、理想的にはゴールをできるだけ掴んで、お手伝いできること・ご提供できることを常に探しながら診療しております。

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2 件のコメント

  • スキーで転倒し両上腕を骨折しました。両腕にそれぞれチタンのプレートに10本ずつボルトで固定する手術を行いました。術後病院にて数か月のリハビリを行いましたが、右腕だけどうしても上に上がらず痛みもあったので1年後に右腕だけボルトを外しました。それでも変化はなく壊死が始まっているからとのことです。現在近くの接骨院でリハビリを行っています。そこでは結構痛みも伴う施術ですが固くなった筋肉や筋を柔らかくすることを言われています。手術してくださった医師からいずれは人口骨董の手術が必要だということですが、このまま続けてもよいのでしょうか。

    • 杉浦さん
      ご相談いただきありがとうございました。個人的なご相談ですのでメールを送らせていただきました。ご確認ください。

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    歌島 大輔

    スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。