インピンジメント症候群の治療を肩専門医が解説

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歌島 大輔
歌島 大輔
スポーツ整形外科医師(非常勤)景翠会 金沢病院
スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

今回は肩の痛みの大きな原因の1つである
インピンジメント症候群の
治療について解説いたします。

 

このインピンジメント症候群は
診断が難しくて、

この診断のための診察テストである
インピンジメントテストは、

インピンジメント症候群以外でも
陽性になってしまい、

下手したら何でも「インピンジメント症候群」
と言われてしまいかねない病態です。

 

そのため、治療のときにも、
しっかり痛みの原因を考えながら治療しています。

 

こんにちは、肩を専門とするスポーツ整形外科医の歌島です。
本日は記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

インピンジメント症候群の基本まとめ

インピンジメント症候群とは?
ということで
こちらの記事で丁寧に解説しております。

インピンジメント症候群とは?肩専門医が解説

2016.12.12

参考にしていただけたらと思います。

簡単におさらいしておきます。

インピンジメントとは?

インピンジメントとは
ある部位とある部位が「衝突」すること言います。

どちらかというと「擦れる」という表現が近いニュアンスです。

肩においては、主に3種類
インピンジメントがあります。

  • 肩峰下インピンジメント症候群(けんぽうかいんぴんじめんとしょうこうぐん)
  • 烏口下インピンジメント症候群
  • インターナルインピンジメント症候群

ここでは、圧倒的多い
肩峰下インピンジメント症候群についてのお話です。

肩峰下インピンジメントの定義

肩峰下インピンジメントの定義ですが、

肩峰、もしくは、その肩峰から連続する烏口肩峰靱帯(うこうけんぽうじんたい)と、
その下に位置する、肩腱板、もしくは大結節が
衝突(擦れる)するような現象です。

主には肩を挙上や外転(外から上げる)のような動きの時に
インピンジメント状態になります。

このインピンジメントという現象の繰り返しによって、
炎症が起こり、肩の痛みが出現してしまいます。

そのように症状が出てしまったときに
肩峰下インピンジメント症候群という名前がつきます。

肩峰インピンジメントがホントに痛みの原因?

しかし、本当にこのインピンジメントが
肩の痛みの原因なのか?

ということについては、
われわれ肩関節外科医は慎重に判断しています。

それは冒頭に解説したとおり、
インピンジメントテストと呼ばれる、
肩峰下インピンジメントを誘発する動きは、

実際は、凍結肩という、
肩関節が炎症を起こして、カタくなってくる病態、

時に四十肩、五十肩と呼ばれるものでも、
かなりの頻度で痛みが出ます。

 

そこで、MRIで炎症部位、
水が溜まっている部位がどこか?

というような所見を調べたり、

肩峰下滑液包という
肩峰下インピンジメントの主な舞台に、
ステロイドと局所麻酔薬を注射して、

効果があるかを判定したり

というような過程を経て、

インピンジメント症候群の診断をしています。

インピンジメント症候群の治療

保存治療:炎症を抑えて、リハビリをする

保存治療としては、
まずさきほどのように
注射をして炎症を抑える。

その他、消炎鎮痛剤の飲み薬、湿布などを使う
ということと、

リハビリを行います。

リハビリはインピンジメントを起こしにくくする
ということです。

例えば、肩を挙上するときも、
肩を内旋
(厳密には違いますが、手のひらを下にして)
して、挙上する方がインピンジメントを起こしやすいので、

基本的には外旋の動作をよく使う

というようなことや、

肩甲骨の可動性を上げて、
うまく肩峰が挙上時に逃げてくれるようにする

ということがポイントです。

手術療法:関節鏡下肩峰下除圧術

これは通称、クリーニング手術
言われるものの1つです。

では、実際にはどういうことを行うのか?

というと、

かなりシンプルです。

まず、関節鏡という内視鏡を用います。
ペンよりも細い筒型のカメラを
関節の中や滑液包の中に挿入しますが、

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂

胃や腸のように、
穴(口やお尻の穴)があるわけではありません。

そこで、小さく
1–1.5cmくらい皮膚を切開して、
関節鏡や手術用の鉗子(はさみやメスなど)を
挿入して手術をします。

そして、インピンジメントの原因となる、

肩峰の下側を
薄くします。

これは骨を削ると言うことです。

特に、肩峰の下側でかつ、前の方は、
骨棘(こつきょく)と呼ばれる、
増殖した骨の棘があります。

これは特に痛みの原因となるので、
しっかりと削ります。

それに加え、
烏口肩峰靱帯を切ってしまいます。

 

靱帯を切ってしまって大丈夫なのか?

という心配は当然あると思います。

すべての人において大丈夫!
とは言いませんが、

多くの人においては大丈夫です。

それはなぜかといえば、

この烏口肩峰靱帯はその名の通り、

烏口突起(うこうとっき)と
肩峰をつなぐ靱帯です。

しかし、この2つ・・・

どちらも肩甲骨の一部なんですね。

つまり、同じ骨の異なる部位を繋ぐ靱帯なんです。

靱帯の役割は、
骨と骨を繋いで、
その骨と骨が関節において不安定にならないように、
脱臼しないように張って支えることです。

しかし、この烏口肩峰靱帯は
同じ骨を繋いでいるので、
不安定も何もありません。

そういう意味で大丈夫と言えます。

 

 

このように衝突する片方を
削る、なくしてしまう

ということで根本的にインピンジメントを
おこさなくしてしまおう

という手術になります。

 

 

今回は肩峰下インピンジメント症候群の
基本をおさらいしながら、

その治療方法について解説いたしました。

少しでも参考になりましたら幸いです。

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