肩甲骨周りの筋肉トレーニング 必須5つ+α 図と名称入り

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歌島 大輔
歌島 大輔
スポーツ整形外科医師(非常勤)景翠会 金沢病院
スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

今回は肩甲骨の筋トレ、つまり筋力トレーニングとしてまず押さえるべき必須の5種目+αを図と名称入りで解説いたします。

その五種目は

  • 肩甲骨周囲筋の総合トレーニング:CAT
  • 僧帽筋上部の鍛え方・トレーニング
  • 僧帽筋下部の鍛え方・トレーニング
  • 前鋸筋の鍛え方・トレーニング
  • 菱形筋の鍛え方・トレーニング

になります。

さらに肩甲骨周りではなく肩周りの筋肉として三角筋インナーマッスル(腱板筋群)の鍛え方についても紹介しております。

肩甲骨の可動性アップ、安定性アップは肩や肘の障害予防においても、また、上肢を使うスポーツのパフォーマンスアップにも非常に重要です。

さらに日常生活レベルでも多くの人が悩まされる「肩こり」に対する解決策としても、この肩甲骨のトレーニングは優秀です。

肩甲骨を動かす筋肉について理解した上でしっかりとトレーニングを継続すれば安定した、いい肩甲骨の動きが獲得できるはずです。

こんにちは、肩を専門とするスポーツ整形外科医の歌島です。
本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

 

肩甲骨周囲の動きと筋肉の基本をおさらい

 

肩甲骨の動きは6方向

まず肩甲骨の動きということを掘り下げていきましょう。肩甲骨は意外と多方向に動きます。

それは主に6方向と捉えるのがいいでしょう。

それぞれ名前が付いています。

  • 挙上:肩甲骨全体が頭方向(頭側)に平行移動
  • 下制:肩甲骨全体足方向(尾側)に平行移動

画像引用元:プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器 第一版 医学書院

  • 内転:肩甲骨全体が内側に平行移動(実際は胸郭に沿って動く)
  • 外転:肩甲骨全体が外側に平行移動(実際は胸郭に沿って動く)

画像引用元:プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器 第一版 医学書院

  • 上方回旋:肩甲骨の外側が頭方向(頭側)に回旋する
  • 下方回旋:肩甲骨の外側が足方向(尾側)に回旋する

画像引用元:プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器 第一版 医学書院

の6方向です。

肩甲骨の動く範囲と安定性、強さは障害予防・パフォーマンス両面に影響する

この肩甲骨が大きく動けば動くほど、腕を動かすときに末端(肩関節や肘関節など)の動く量が減るので、つまり、負担が減ります。つまり、障害予防に貢献し、また、大きな動きも達成できるので、パフォーマンスアップにも繋がります。

また、動く範囲の大きさだけでなく、腕のまさに付け根としては土台として強く安定してくれることも非常に重要な要素です。

肩甲骨が腕の動きに伴って、ふらふら振り回されるようなら、土台として心許ないと言わざるを得ません。そうすると、結局、末端(肩関節、肘関節)の負担が増えるので障害が起こりやすく、不要な末端の筋肉負担はパフォーマンスの低下にも繋がります。

肩甲骨周りの筋肉の役割

肩甲骨の動く範囲、強さ、安定性の重要性をご理解いただけたかと思いますが、そのために最も重要なのは肩甲骨周りの筋肉の強さと言えます。

その主役と言える3つの筋肉について解説してまいります。

僧帽筋(そうぼうきん)

画像引用元:プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器 第一版 医学書院

まず肩甲骨にくっつく筋肉としては最大の筋肉である僧帽筋です。肩甲骨を動かす筋肉の中でも表層にあり、アウターマッスルという分類に入ります。それゆえ、大きな力を発揮する筋肉になります。

大雑把に言えば、背骨と肩甲骨を広範囲につなぐ筋肉と言えます。

僧帽筋はこれ単体で考えるより、3つにわけて考えことが多いです。それは、

  • 上部線維
  • 中部線維
  • 下部線維

です。

上中下ですね。

それはそのまま筋線維の走っている位置を表しているわけですが、位置、走り方が筋肉の機能(はたらき)を決めますから、働き自体が違うということです。

まず上部線維ですが、これが僧帽筋の一番一般的なイメージと言えます。首から肩にかけての盛り上がった筋肉です。

これは肩すくめ、つまり肩甲骨を上方回旋+挙上する筋肉の中心です。

次に中部線維ですが、これは肩甲骨を内転、つまり、背骨に引きつける働きがあります。

そして、下部線維ですが、これは肩甲骨を下制+内転+上方回旋という役割です。

この3つの線維がいっぺんに働くと、肩甲骨を下内側へ移動させ、20°くらい上方回旋すると言われていて、これは重いものを持ち上げる時などに大切な安定化の動きと言われています。

菱形筋(りょうけいきん)

画像引用元:プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器 第一版 医学書院

菱形筋僧帽筋の中部線維のより深いところを走るインナーマッスルです。肩甲骨を背骨側、つまり内側に引き寄せる筋肉として安定化にこれも貢献してくれています。

前鋸筋(ぜんきょきん)

画像引用元:プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器 第一版 医学書院

前鋸筋は肩甲骨と肋骨をつなぐ筋肉でインナーマッスルの最たるものと言ってもいいです。

役割はシンプルに言えば、肩甲骨を肋骨に引きつけておくということで、非常に安定化に貢献している筋肉です。

特に僧帽筋や菱形筋が、肩甲骨を内側に、背骨側に引き寄せる働きがあるのに対して、その逆で肋骨に沿って外側に肩甲骨を移動させつつ、安定させるという働きは前鋸筋特有です。肩甲骨の可動性、安定性ともに非常に大切な役割を果たしていると言えます。

前鋸筋が働かないと前方の壁を力を入れて押したときに肩甲骨が安定できないので浮き上がってきてしまう、翼状肩甲という現象が起こります。

画像引用元:肩関節外科の要点と盲点 (整形外科Knack & Pitfalls)第1版 文光堂

 

肩甲骨周りの筋肉トレーニング 必須の5種目

それでは肩甲骨の筋トレとして必須の5種目をご紹介いたします。肩甲骨の筋肉はアウターマッスルである僧帽筋も含めて、安定化と大きく動かせることの2点が重要で、ものすごく重いバーベルのような強い負荷は必要ありません。

大きくゆっくり安定的に動かすということを意識してやりましょう。そして、解剖学的に鍛えている自分の筋肉がどこにあるのかを把握した上で、トレーニングにおいてその筋肉が徐々に「熱く」なるのを感じましょう。

CAT:菱形筋&前鋸筋など

まずいろんな記事で紹介していますが、CATというトレーニングです。ネコみたいに背中を丸めたり、逆に反らしたりするというトレーニングですが、

これは肩甲骨の内転・外転をできるだけ大きく動かすということを目的にしています。

これは総合的なトレーニングですが、特に菱形筋と前鋸筋が鍛えられます。

注意点は背骨、腰を反らして丸めてということではないということです。
肩甲骨を思いっきり引き寄せて(内転)、思いっきり外側、前方に拡げて(外転)という動きの結果として、背中が沿って、丸まってという繰り返し動作になります。

肩すくめトレーニング:僧帽筋上部線維

これはシンプルに肩をすくめるトレーニングです。シュラッグという名前でウエイトリフターにはなじみの深いトレーニングですね。僧帽筋の上部線維を鍛えるトレーニングです。

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僧帽筋はアウターマッスルですから、負荷をどんどん上げていけば、筋肥大、筋力向上はどんどん進みます。ボディービルダーの首から肩にかけての盛り上がりはスゴいですよね。

ただ、多くのスポーツや日常生活において、そのレベルの筋肥大は必要ありません。それどころか、肩の動きの妨げになりかねませんので、一般的には特に大きな負荷はかけず、大きくゆっくり動かすということだけ意識してやってもらうのがいいかと思います。

僧帽筋下部線維の鍛え方・トレーニング

僧帽筋下部線維のトレーニングとしては、うつぶせに寝て、肩を挙上した状態で肩甲骨を内側に引き寄せるという動きです。肩甲骨を引き寄せることによって肘が上がるような動きをゆっくり大きくやるということです。

前鋸筋の鍛え方・トレーニング

前鋸筋のトレーニングとしては、このように仰向けに寝て、ダンベルを持って肘伸ばして、真上に腕を持っていき、そのまま肩甲骨だけを動かして、ダンベルを真上に持ち上げるというトレーニングです。

菱形筋の鍛え方・トレーニング

菱形筋のトレーニングはうつぶせになって、肩甲骨だけを内側に引き寄せるようにゆっくり、できるだけ大きく動かすということをやります。

しっかりと肩甲骨の内側深くにある菱形筋をイメージしながらていねいにトレーニングしていきます。

肩周りの筋肉トレーニング:三角筋の鍛え方

では、肩甲骨周りの筋肉に続いて、肩周りの筋肉について図と名称入りで解説しながら、鍛え方までお伝えしていきます。

三角筋は肩周りの代表的な筋肉

三角筋(さんかくきん)というのは肩のアウターマッスルの代表格です。

肩の出っ張りである肩甲骨の肩峰(けんぽう)という骨の出っ張りや鎖骨の先端のから上腕骨(腕の骨)に向かって走り、肩の前、外側、後ろ側と幅広く走っています。

画像引用元:プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器 第一版 医学書院

そのため、肩の前の方(前部線維)、外側(中部線維)、後ろ側(後部線維)では少しずつ働きが異なってきます。最終的には腕を上げる方向に動くわけですが、前から上げる(前方挙上)のか、外から上げる(外転)のか、後へ持っていく(伸展)なのかという違いが出てきます。

三角筋の鍛え方・トレーニングはそれぞれの線維に沿って

このように三角筋は線維・部分によって肩の動きが違いますから、トレーニングも違ってきます。

主に3種類

  • フロントレイズ(前部線維)
  • サイドレイズ(中部線維)
  • ベントオーバーレイズ(後部線維)

という、まぁ、そのまんまですがシンプルな3種類のトレーニングが基本です。

まずこちらがフロントレイズ

そのままです。ダンベルを持って、肘を伸ばしたまま、前方から腕を上げていくということになります。サイドレイズでもそうですが、このときに肩を内旋(掌を下に持っていく)してしまうと、インピンジメントを起こして、腱板を傷めやすいので、掌は横向き、親指を上に向けてやりましょう。

次にサイドレイズです。フロントレイズを外側から上げていくだけといえば、それだけです。この動画よりもう少し親指を上に向けた方が、肩には優しい(インピンジメントを起こしにくい)サイドレイズになりますが、このように手の甲を上に向けると、より後方線維が稼動されます。鍛えたい部位によって調整するのがいいでしょう。

3つめはベントオーバーレイズです。

このように前屈みになって腕を下ろした状態から背中側に上げていく動きです。
このように背中側に持ち上げることで三角筋の後部線維を鍛えることができます

肩周りの筋肉トレーニング:インナーマッスルの鍛え方

もう一つが三角筋の奥深くにあるインナーマッスルである腱板筋群(けんばんきんぐん)です。

詳しくはこちらでも解説しております。

肩のインナーマッスルの鍛え方 トレーニング動画で by専門医

2017.03.11

肩におけるインナーマッスルの働きと負担

特に肩関節は不安定な関節ですから、
インナーマッスルの担う役割は大きいです。

野球などオーバーヘッドスポーツなどでは、
高速で強いストレスがかかりながら
動く肩を安定的にスムースに動かすために

肩のインナーマッスルは常に頑張ってくれています。

その頑張りが長年積み重なると
やはり、インナーマッスルの損傷や疲労、炎症に繋がります。

そこで、インナーマッスルを鍛える、
もしくはインナーマッスルをより効果的に使える
という状況を目指すために
インナーマッスルトレーニングが
推奨されています。

インナーマッスルの基本チューブトレーニング

この肩のインナーマッスルトレーニング(腱板トレーニング)の
基本3つを動画でご紹介します。

棘上筋を鍛えるトレーニング

これは棘上筋という筋肉のトレーニングです。

棘下筋を鍛えるトレーニング

これは棘下筋という筋肉のトレーニングです。

肩甲下筋を鍛えるトレーニング

これは肩甲下筋という筋肉のトレーニングです。

まとめ

今回は肩甲骨周囲の筋肉を鍛えるトレーニングとして基本的な以下の5つを解説いたしました。

  • 肩甲骨周囲筋の総合トレーニング:CAT
  • 僧帽筋上部の鍛え方・トレーニング
  • 僧帽筋下部の鍛え方・トレーニング
  • 前鋸筋の鍛え方・トレーニング
  • 菱形筋の鍛え方・トレーニング

何度も言っていますが、肩甲骨は安定して大きく動くということが大切ですので、その意識でトレーニングしていきましょう。

さらに肩周りの筋肉として三角筋とインナーマッスルである腱板筋群のトレーニングについて紹介いたしました。

 

少しでも参考になりましたら幸いです。

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当サイト管理人の歌島は関東の複数の病院で診療を行っております。

おかげさまでたくさんのご相談をいただいております。どうしてもゆっくり時間をかけて1人1人と向き合えないのが悩みですが、それでも、患者さんの希望、理想的にはゴールをできるだけ掴んで、お手伝いできること・ご提供できることを常に探しながら診療しております。

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