肩関節周囲炎は除外診断 最初にそう言い切るのは無理

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歌島 大輔
歌島 大輔
スポーツ整形外科医師(非常勤)景翠会 金沢病院
スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

肩関節周囲炎、これはもしかすると肩の痛みの診断名で日本で一番多いモノかもしれません。しかし原則として、除外診断で診断すべきモノと考えた方がいいということを解説いたします。

この肩関節周囲炎は非常に広い範囲の病態を含むものであり、確かに、40–50歳代くらいの人の肩の痛みの多くは範疇に入るんですね。

しかし、何でもかんでもレントゲンに異常がない肩の痛みは肩関節周囲炎で片付けられがちなので、他にも考えるべきモノはたくさんあるということでご自身の痛みに思い当たる節がないか、一度チェックしてもらえたらいいかと思います。

こんにちは、肩を専門とするスポーツ整形外科医の歌島です。
本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

除外診断とは?

まず除外診断とは何か?ということですが、様々な原因がはっきりしたものや、より重症なものが、いろいろと検査をしても見つからない(=除外)ということで最終的に残るのが除外診断ということです。

だから、いきなり「肩関節周囲炎で間違いありません」と言い切ってしまうのは無理があるんですね。肩関節周囲炎と言い切る前に、本当はいろんなものが隠れてないか調べるべき・・・

なんですけど、全ての肩が痛い人にあらゆる検査をするというのは、患者さんもそこまで望んでませんし、もちろん日本の経済が崩壊します。

ですから、ポイントとしては「本当は」除外するべきものを把握しておいて、念頭に入れながら診察、経過観察をするということ。経過によっては、それらの除外すべきモノが本当にないことを検査してみる。

ということが大切です。

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肩関節周囲炎の前に除外すべきモノたち

それでは肩関節周囲炎と言い切る前に除外すべきモノたちを挙げていきます。

腱板損傷/腱板断裂

まず代表的なモノは腱板損傷(けんばんそんしょう)です。腱板損傷についてはこちらでも詳しく解説しておりますし、

肩腱板損傷に特徴的な症状はあるのか? 肩専門医解説

2016.12.11

また、いわゆる肩関節周囲炎と腱板損傷の症状の違いはこちらの記事もわかりやすいと思います。

腱板損傷と肩関節周囲炎の症状はかなり似ています。症状だけでどちらと完全に判別するのは無理なので、痛みが続くときや肩の小さい動きや回旋運動での痛みなど腱板損傷を疑う症状が強いときにMRIをチェックします。

変形性肩関節症

変形性肩関節症というのは肩の軟骨のすり減りです。この場合はレントゲンを撮ればわかります。

肩の関節裂隙と呼ばれる、骨と骨の間の軟骨があるスペースが狭くなったり、骨棘という骨の出っ張りが新たに形成されてしまったりということがレントゲンでみられます。

画像引用元:肩関節外科 手術テクニック 第一版 メディカ出版

肩の外傷をしたことがある(骨折、脱臼など)場合や、高齢の場合に多い状態です。

石灰沈着性腱板炎

これは肩の腱板に石灰が沈着して、その周囲に炎症が起こるものです。年齢的には四十肩、五十肩と同じくらい、つまり40–50歳くらいの方に多いです。

症状としては四十肩、五十肩よりも痛みが激痛であることが多いです。あまりの激痛で救急外来にいらっしゃるケースもあります。
また、石灰が沈着している部位を押すと激痛という症状も典型的です。

これもレントゲンでほとんどは見えます。

画像引用元:肩関節外科の要点と盲点 (整形外科Knack & Pitfalls)第1版 文光堂

肩鎖関節炎・肩鎖関節症

肩鎖関節という肩甲骨と鎖骨の間の関節に炎症が起こっていることも意外と多いです。この場合は、まさに肩鎖関節部位を押すと痛い、つまり圧痛点が特徴的です。

また、肩の水平内転と言って、逆側の肩を触るような動きで痛みがでるというのも典型的な症状です。

肩鎖関節の軟骨がすり減る、変形性肩鎖関節症ではレントゲンですり減った結果の変形が見えますが、軟骨のスリ減りが軽度の場合は、MRIで炎症を起こしているかチェックすることがあります。

画像引用元:肩関節外科の要点と盲点 (整形外科Knack & Pitfalls)第1版 文光堂

神経障害(頚椎ヘルニア・肩甲上神経・腋窩神経)

肩の痛みの原因として、神経が刺激されて痛みを出しているというケースがあります。

その場合は、中枢神経に近い首の問題(頚椎椎間板ヘルニアなど)と、肩まわりの末梢神経(肩甲上神経・腋窩神経など)の場合があります。

この場合の特徴として、痛みだけでなく、しびれを伴うことがあったり、重症の場合は筋力低下などが起こりえます。

直接、肩、その周囲に炎症があるわけではなく、神経障害が中心なので、

炎症に特徴的な

  • 押しての痛み = 圧痛
  • 関節を動かしての痛み = 動作時痛
  • 関節周囲の腫れ = 関節腫脹

などはみられないことが多いと思います。

それに対して、

神経が常時刺激されている状態なら、何もしなくても肩を動かさなくても痛い(=安静時痛)という症状があるかもしれません。

これらは首のMRIで神経をみたり、筋電図(きんでんず)などで神経の機能をみていく必要があります。

まとめ

今回は肩関節周囲炎といっても、他にも隠れている可能性がある他の病態が代表的なモノでもこれだけ挙げられるということを解説いたしました。

特徴的な症状もお伝えしておりますので、自分はこれかも?と思うモノがあれば、整形外科医に相談してみましょう。

少しでも参考になりましたら幸いです。

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