凍結肩とは? 肩が凍結しちゃうってどういうこと?

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歌島 大輔
歌島 大輔
スポーツ整形外科医師(非常勤)景翠会 金沢病院
スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

今回は凍結肩という言葉について、どういう状態を指すのか?どういうメカニズムで凍結肩という状態になってしまうのか?どんな治療が必要なのか?

ということについて解説いたします。

もちろん、凍結といって、本当に肩が凍るわけではありませんが、凍ったかのように肩が動かなせなくなるという状態です。そのイメージだけ先行してしまうよりは、実際に中で何が起こって、どうすればいいのか?ということを理解しておくことが治療において大切だと思います。

こんにちは、肩を専門とするスポーツ整形外科医の歌島です。
本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

凍結肩とは?

先ほども述べたとおり凍結肩とは、肩が凍ってしまったかのように動かせなくなる状態のことを言います。

肩が動かせなくなるというと、2つの状態があって

  • 自分の力で動かせない
  • 他人の力でも動かせない

前者の他人の力で動かしてもらえば、肩は動くということであれば、肩はカタくなっているのではなく、筋肉が働いていない状態ですので、神経の麻痺という重篤なモノか、筋肉の断裂(腱板断裂が多い)か、ということで凍結肩とは違います。

凍結肩の動かないは、自分でも他人でもカタくなって動かせないという状態です。

肩関節周囲炎から始まることがほとんど

この凍結肩も最初は、痛みが中心の肩関節周囲炎という状態から始まることがほとんどです。

これは五十肩のこちらの記事もご参照ください。

肩関節周囲炎という状態

肩関節周囲炎(かたかんせつしゅういえん)とは、
その名の通り、肩関節の周りに炎症が起こるという状態です。

周りという、またアバウトな表現になりますが、それには複数の病態が含まれます。

肩峰下インピンジメント症候群

多いのは肩峰下インピンジメント症候群と言って、肩峰という肩甲骨の骨とその下の腱板というインナーマッスルの間のスペースに摩擦による炎症が起こる状態です。

こちらで詳しく解説しております。

インピンジメント症候群とは?肩専門医が解説

2016.12.12

腱板炎

先ほどの肩峰下インピンジメント症候群の結果としても起こりますが、単純にオーバーユースや加齢による変化などを原因として、肩のインナーマッスルである腱板に炎症が起こり、痛みが出現します。

これが重症化すると腱板断裂という腱板が切れてしまう状態にもなり得ます。それはもう五十肩の範疇を超えているといってもいいでしょう。(しかし、精密検査をせずに五十肩で片付けられている腱板断裂の患者さんは非常に多いです。

腱板疎部損傷

ちょっとマニアックですが、肩の前方の腱板と腱板の間に腱板疎部というやや薄い場所があります。この腱板疎部の損傷や炎症も痛みの原因になります。

こちらで詳しく解説しております。

腱板疎部損傷とは?治療法は? 肩専門医解説

2016.12.14

上腕二頭筋長頭腱炎

また、肩の前方の痛みの原因として、多いのが上腕二頭筋長頭腱炎です。これは力こぶの筋肉が肩の関節の中に入るところで炎症が起こります。

こちらで詳しく解説しております。

上腕二頭筋長頭腱炎とは? 専門医がわかりやすく

2017.03.30

これら様々なメカニズムで肩関節の周りに炎症が起こり、肩の痛みが出現する。これが凍結肩のスタートと言っていいかと思います。

身体は自らを守ろうと頑な(かたくな)になる性質がある

肩関節の周りに炎症が起こり、それが長引いてくると、肩をより守ろうと身体は反応していきます。

肩に限らず、自らを守ろうとした結果はカタくなるのが身体の反応です。例えば、同じ場所を何回も切ったり、擦り傷を負ったりすれば、そこの皮膚は硬くなっちゃいますよね。

肩の関節包がどんどん分厚く、カタくなる

肩の場合に硬くなるというのは、肩をとりまく関節包(かんせつほう)という膜です。この関節包がどんどん分厚くなって、硬く、伸びなくなってしまう結果、肩が凍ったかのように動かなくなっちゃうわけですね。

凍結肩の治療はリハビリ 時に手術も

この凍結肩の治療ですが、痛みが強い場合は炎症を抑えることも大切です。それは消炎鎮痛剤という薬の飲み薬や外用剤(湿布、塗り薬)、時に注射などを行っていきます。これは、カタくなる前に特に重要ですが、カタくなった後も痛みが強ければ積極的に炎症を抑えていく必要があります。

そして、カタくなった肩を改善するにはリハビリテーションが基本中の基本です。地道に肩を動かしていくことで、分厚く、カタく、癒着した組織を緩めていく、剥がしていくという作業になります。

リハビリについてはこちらをご参照ください。

拘縮肩の治療 ストレッチから手術まで 肩専門医が解説

2018.02.22

自宅でリハビリ:セルフストレッチ

リハビリにおいては自宅で自分でストレッチをやることがとても重要になってきます。

肩関節の動きとして、特に使いやすさのポイントになるのは

挙上(屈曲)もしくは外転というバンザイまで腕を上げていく動きです。

この挙上、外転の練習、ストレッチとしての代表的な訓練が、
振り子運動訓練(pendulum exercise)と呼ばれるもので、

頭を下げて腕をだらんと垂らすところから身体を揺らしながら振り子のように腕を前後だったり円を描くように振っていくわけです。

特に頭を腰よりも低く下げるくらいに前屈できれば(転倒や体調崩さないように注意してください。)、より脱力したときの挙上角度が高くなり効果が高まります。

さらにこのような棒を使ったエクササイズも効果的です。

こちらは肩の外転(がいてん)訓練です。棒をつたって左手で右手を外に上に押し出すような動きで右肩を外転(外側から上げていく)させています。

こちらは右肩の外旋(がいせん)のエクササイズです。
ポイントは右肘を脇につけて固定して、手の位置を外側に開いているということです。肘を支点に肩関節で回旋しているということですね。


今度は右肩の内旋(ないせん)のエクササイズです。棒を下で背中側にまわして持っている右手を左手が棒をつたって、持ち上げていきます。
この右手の位置が高く上がれば上がるほど、肩関節は内旋していることになります。

凍結肩の手術

そして、それでもなかなか厳しいというときには手術も選択肢に入ります。分厚く癒着してしまっている関節包を関節鏡手術で切開、剥がすという処置をした上で、肩をマニピュレーション(授動術)といって、ある程度、無理矢理にでも動かしてあげると、肩が全然挙がらなかった状態からバンザイの状態まで、速やかにもっていくことができます。

arthroscope surgery

電気メスで焼きながら切り開いているのが関節包ですが、かなり赤く充血しているように見えると思います。これが炎症した関節包の特徴です。この炎症部分もクリーニングできるというメリットもあります。

これは習熟した肩専門の医師が行えば30分もかからないで行える手術です。しかし、実際は神経(腋窩神経)が近くを走っており、さらに関節内のスペースが拘縮肩の人は狭いので、慣れない医師がやると神経障害のリスクやうまく手術が行えないリスクなども高くなるかと思います。

こちらもご参照ください。

拘縮肩の治療 ストレッチから手術まで 肩専門医が解説

2018.02.22

まとめ

凍結肩とは実際には

  • 肩関節の周りの炎症に対しる自己防衛反応の結果と思われる
  • 肩関節包の肥厚、癒着がおこり
  • 肩が動かせなくなってしまう状態である

ということを解説いたしました。

そこまでに至らないように、炎症をコントロールしていくことが大切ですが、至ってしまっても、リハビリや時に手術によって改善することが可能です。

少しでも参考になりましたら幸いです。

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おかげさまでたくさんのご相談をいただいております。どうしてもゆっくり時間をかけて1人1人と向き合えないのが悩みですが、それでも、患者さんの希望、理想的にはゴールをできるだけ掴んで、お手伝いできること・ご提供できることを常に探しながら診療しております。

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