五十肩の治し方ランキング 専門医のオススメ順

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歌島 大輔
歌島 大輔
スポーツ整形外科医師(非常勤)景翠会 金沢病院
スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

今回の記事は治し方のランキングなんて、本来、つけちゃいけないものに順位をつけています。でも、ランキングってなんか、興味そそられますよね(笑)

このランキングは私の個人的な意見が全てと言ってもいいものですし、患者さん個人個人の状態によって、そんなもんいくらでも変わるモノですから、順位と言うよりはそれぞれの治し方の解説を重視して読んでいただければと思います。

あれ?自分の治療は順位が低い・・・なんて不安にならないでくださいね。順位はあくまでも参考程度に。

ある人にとっては4位の治療が1位でおかしくないですし、1位の治療は絶対に選択しないほうがいい人だっているわけですから。

こんにちは、肩を専門とするスポーツ整形外科医の歌島です。
本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

五十肩の基本をおさらい

五十肩とは?

まず五十肩とは、なぜ五十肩というのでしょうか?

これはほとんどの人がご存じですが、五十歳くらいの人に多いからですね。正式な病名ではなくて俗称です。

肩関節周囲炎という状態

この五十肩・・・

実際に肩では何が起こっているのか?

なんで痛いのか?

というと、大雑把に2つの現象が起こっていると考えています。

そのうちの1つが肩関節周囲炎(かたかんせつしゅういえん)です。
その名の通り、肩関節の周りに炎症が起こるという状態です。

周りという、またアバウトな表現になりますが、それには複数の病態が含まれます。

肩峰下インピンジメント症候群

多いのは肩峰下インピンジメント症候群と言って、肩峰という肩甲骨の骨とその下の腱板というインナーマッスルの間のスペースに摩擦による炎症が起こる状態です。

こちらで詳しく解説しております。

インピンジメント症候群とは?肩専門医が解説

2016.12.12

腱板炎

先ほどの肩峰下インピンジメント症候群の結果としても起こりますが、単純にオーバーユースや加齢による変化などを原因として、肩のインナーマッスルである腱板に炎症が起こり、痛みが出現します。

これが重症化すると腱板断裂という腱板が切れてしまう状態にもなり得ます。それはもう五十肩の範疇を超えているといってもいいでしょう。(しかし、精密検査をせずに五十肩で片付けられている腱板断裂の患者さんは非常に多いです。

腱板疎部損傷

ちょっとマニアックですが、肩の前方の腱板と腱板の間に腱板疎部というやや薄い場所があります。この腱板疎部の損傷や炎症も痛みの原因になります。

こちらで詳しく解説しております。

腱板疎部損傷とは?治療法は? 肩専門医解説

2016.12.14

上腕二頭筋長頭腱炎

また、肩の前方の痛みの原因として、多いのが上腕二頭筋長頭腱炎です。これは力こぶの筋肉が肩の関節の中に入るところで炎症が起こります。

こちらで詳しく解説しております。

上腕二頭筋長頭腱炎とは? 専門医がわかりやすく

2017.03.30

これら様々なメカニズムで肩関節の周りに炎症が起こり、肩の痛みが出現する。これが五十肩のスタートと言っていいかと思います。

凍結肩という状態

五十肩には大雑把に2つの現象が起こっているといいました。

1つめが肩関節周囲炎でしたが、その肩関節周囲炎が長引いてくると、だんだん、凍結肩(とうけつかた)という2つめの現象に移行していきます。

英語ではfrozen shoulder(フローズンショルダー)といいます。

肩関節包肥厚

この凍結肩というのは、主に肩の関節包(かたかんせつほう)という関節を包む膜が分厚くなって(肥厚)、カタくなっているため、肩が上がらない、肩が回らないという、可動域制限がメインの症状になってきます。

五十肩の治し方の効果とリスクの関係

ランキングの前に治し方、つまり治療法の効果とリスクの関係の一般論を説明しておきます。

シンプルに言えば、

効果が高いものはリスクも高い

ということです。

それは治療に限らずあらゆる原則と言っていいかもしれませんね。

ハイリスクハイリターンは当然

ローリスクハイリターンなんて甘い話はなかなかない

ということですね。

一般的な傾向として、治療においてもこの原則は当てはまるということは頭に入れておく必要があると思います。

五十肩(凍結肩)の治療効果順ランキング

さて、それでは、治療効果ランキングですが、シンプルにリスクは考えず治療効果が高いと思われる順番でランキングしています。

今回のお話は五十肩の中でも凍結肩といって、関節がカタくなってしまった状態に対する治療効果という視点で解説してまいります。

1.手術(鏡視下授動術)

ハイリスクハイリターンという意味で言えば、最たるモノは手術ですね。五十肩で手術なんてするのか?と思う人もいらっしゃると思いますが、もちろん、手術まで至る人は多くはありません。

どういう人が手術に至るかと言えば、五十肩でも可動域制限、つまりカタくなってしまい、リハビリなどでも改善がイマイチという人です。

その場合に分厚く癒着してしまっている関節包を関節鏡手術で切開、剥がすという処置をした上で、肩をマニピュレーション(授動術)といって、ある程度、無理矢理にでも動かしてあげると、肩が全然挙がらなかった状態からバンザイの状態まで、速やかにもっていくことができます。

arthroscope surgery

これを鏡視下授動術と言います。
関節鏡で動きを授ける手術・・・ということですね。

しかし、それは麻酔がかかっている状態での話で、それ以降、リハビリを集中的に続けない限りは、またカタくなっちゃいますので、手術+リハビリのセット治療と考える必要があります。

 

逆に手術以外での授動術のメリット・デメリットを考えてみる

これと似た治療で、2番目、3番目も授動術です。

 

しかし、それらは徒手授動術といって、手術はせずに、我々医師の手である程度無理矢理肩を動かして柔らかくしようとすることです。

手術ではないということで入院、全身麻酔が不要、かつ、傷もできないというメリットがある反面、

関節鏡で直接カタいところを処置できるわけではないので、逆の意味で、無理矢理感、大雑把な感じはあります。
その結果、最悪の場合は肩を無理矢理動かす時に骨が折れてしまうということが時に報告されています。

画像引用元:肩関節外科の要点と盲点 (整形外科Knack & Pitfalls)第1版 文光堂

僕の先輩医師の中にも、
「授動術をやったら折れてしまったことはあるよ」

と言っていた人がいます。

 

そういう意味ではこの鏡視下授動術は、手術そのもののリスクはあるものの、無理矢理動くようにするのではなく、ある程度、繊細な処置を加えながらやる授動術として、骨折のリスクは減らして、かつ高い可動域改善効果が期待できるという意味で一番に持ってきています。

2.神経ブロック下授動術

次に同じ授動術でも、手術をしない授動術です。神経ブロック注射をして痛みを抑えた状態である程度無理矢理、カタくなった肩関節を動かして癒着を剥がしていきます。

先ほども述べたとおり、骨折のリスクがあるということと、そのリスクを知っている医師は、あまり無理をしないので、逆に可動域改善の効果が不十分になることがあるというデメリットがあります。

しかし、当然、手術をしなくていいというメリットもありますので、十分選択肢に入るモノです。

3.関節注射+授動術

2番の神経ブロック注射は首の近くの肩にいく神経に麻酔薬を注射することで痛みを抑えるわけですが、

この3番目の関節注射をしての授動術というのは、ちょっと意味が違います。

これは神経ブロックのような鎮痛効果は少ないので、授動術中がかなり痛いです。どちらかというと、癒着を剥がすために多めの生理食塩水を関節の中に注入した上で、肩を動かしていくということが目的の注射になります。

これは1番での関節鏡手術の場合は、関節鏡を挿入する時点で大量の水を注入していることになるので、当然、関節鏡手術の方が、さらに処置を追加できる点でメリットがあります。

しかし、手術をしなくていいというメリットは2番同様ありますし、2番の神経ブロックのみの場合より癒着は剥がれやすくなります。

そういう意味では神経ブロックをした上で、関節内に注射をして授動するという組み合わせをすることもあります。

4.リハビリを地道に継続

結局、1–3番目はある程度、無理矢理動かす「授動術」の話でした。そりゃ、効果が高いのは当然ですよね。

でも、やはり痛みを伴いますし、リスクもありますから、怖い気持ちも十分理解できます。

そんな中で、時間的にも急ぐわけではなければ、地道にリハビリを続けることは常に大前提の治療です。

「五十肩のせいで一生、肩が挙がりません」

という人はほとんどいません。

つまり、地道にリハビリをすればいつか肩は挙がるようになると考えていいと思います。(もちろん、五十肩以外に要因があれば、そう言いきれません)

まとめ

治療効果の高い順ランキングとすれば、こうなりましたが、

前提として地道にリハビリをやるということがあって、それでもなかなか改善しないというときに早めに肩を動かせるようにするために授動術という方法があること。

そして、授動術の中でも関節鏡手術や神経ブロック、関節内注射など、いくつかの方法があって、それぞれメリット、デメリットがあるということを解説いたしました。

僕自身は鏡視下授動術で多くの患者さんの可動域が改善してくれているのを拝見しているので、特に1番目に持ってきています。

少しでも参考になりましたら幸いです。

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おかげさまでたくさんのご相談をいただいております。どうしてもゆっくり時間をかけて1人1人と向き合えないのが悩みですが、それでも、患者さんの希望、理想的にはゴールをできるだけ掴んで、お手伝いできること・ご提供できることを常に探しながら診療しております。

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