四十肩の治し方の流れ丸わかり 専門医解説

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歌島 大輔
歌島 大輔
スポーツ整形外科医師(非常勤)景翠会 金沢病院
スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

今回は四十肩の治し方の流れをイメージしやすいように解説したいと思います。

四十肩と言えば、

「放っておけば治る」

と言われたり、

「ちゃんと診察を受けないと長引く」

と言われたり、

「これ、本当に四十肩!?」

と思えるような痛みに襲われたり

いろいろと困惑する場面があるかもしれません。

そんなときに、まず一般的な「しっかりと四十肩を治療したときの流れ」のようなものを頭に入れておくと、かなりの安心材料になるのではないでしょうか。

こんにちは、肩を専門とするスポーツ整形外科医の歌島です。
本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

四十肩の基本をおさらい

四十肩とは?

まず四十肩とは、なぜ四十肩というのでしょうか?

これはほとんどの人がご存じですが、四十歳くらいの人に多いからですね。正式な病名ではなくて俗称です。

肩関節周囲炎という状態

この四十肩・・・

実際に肩では何が起こっているのか?

なんで痛いのか?

というと、大雑把に2つの現象が起こっていると考えています。

そのうちの1つが肩関節周囲炎(かたかんせつしゅういえん)です。
その名の通り、肩関節の周りに炎症が起こるという状態です。

周りという、またアバウトな表現になりますが、それには複数の病態が含まれます。

肩峰下インピンジメント症候群

多いのは肩峰下インピンジメント症候群と言って、肩峰という肩甲骨の骨とその下の腱板というインナーマッスルの間のスペースに摩擦による炎症が起こる状態です。

こちらで詳しく解説しております。

インピンジメント症候群とは?肩専門医が解説

2016.12.12

腱板炎

先ほどの肩峰下インピンジメント症候群の結果としても起こりますが、単純にオーバーユースや加齢による変化などを原因として、肩のインナーマッスルである腱板に炎症が起こり、痛みが出現します。

これが重症化すると腱板断裂という腱板が切れてしまう状態にもなり得ます。それはもう四十肩の範疇を超えているといってもいいでしょう。(しかし、精密検査をせずに四十肩で片付けられている腱板断裂の患者さんは非常に多いです。

腱板疎部損傷

ちょっとマニアックですが、肩の前方の腱板と腱板の間に腱板疎部というやや薄い場所があります。この腱板疎部の損傷や炎症も痛みの原因になります。

こちらで詳しく解説しております。

腱板疎部損傷とは?治療法は? 肩専門医解説

2016.12.14

上腕二頭筋長頭腱炎

また、肩の前方の痛みの原因として、多いのが上腕二頭筋長頭腱炎です。これは力こぶの筋肉が肩の関節の中に入るところで炎症が起こります。

こちらで詳しく解説しております。

上腕二頭筋長頭腱炎とは? 専門医がわかりやすく

2017.03.30

これら様々なメカニズムで肩関節の周りに炎症が起こり、肩の痛みが出現する。これが四十肩のスタートと言っていいかと思います。

凍結肩という状態

四十肩には大雑把に2つの現象が起こっているといいました。

1つめが肩関節周囲炎でしたが、その肩関節周囲炎が長引いてくると、だんだん、凍結肩(とうけつかた)という2つめの現象に移行していきます。

英語ではfrozen shoulder(フローズンショルダー)といいます。

肩関節包肥厚

この凍結肩というのは、主に肩の関節包(かたかんせつほう)という関節を包む膜が分厚くなって(肥厚)、カタくなっているため、肩が上がらない、肩が回らないという、可動域制限がメインの症状になってきます。

四十肩の治し方の流れ

四十肩の治し方の流れを解説していきたいと思います。

ザッと言えば、

  • 原因をはっきりさせる
  • 炎症を抑える・コントロールする
  • リハビリテーション

その中で時に手術をやることもあるという感じです。

それぞれについて説明していきます。

1.原因をはっきりさせる

まず何よりはじめに原因をハッキリさせる必要があります。本当に四十肩でいいのか?他の病態(腱板損傷や神経障害など)は隠れていないか?

また、四十肩でも特にどこに炎症が起こっているのか?

というようなことを探っていきます。

これは実際に診察で肩を触診し、動かしたり、診察テストをしたりして推測していきつつ、以下のような画像検査を適宜追加していきます。

レントゲン

まず基本中の基本はレントゲンです。ほとんどのクリニックですぐに撮像可能ですから、「まずレントゲン」というのは多い流れだと思います。

レントゲンでは主に肩の骨の形状を見ます。

四十肩では特に異常がないことも多いんですが、このレントゲンで腱板に沈着した石灰が見えたり(石灰沈着性腱板炎)骨や軟骨に負荷がかかっていることを示す骨棘(こつきょく)形成が見えたりします。

画像引用元:肩関節外科の要点と盲点 (整形外科Knack & Pitfalls)第1版 文光堂

超音波

よくお腹の臓器や甲状腺、産婦人科での赤ちゃんの健診などでも使われる超音波(エコー)ですが、最近は整形外科領域でも使われるようになってきています。

特に肩に関しては、四十肩と鑑別すべき腱板断裂がエコーでもわかるということで良く行われるようになってきています。

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MRI

そうはいっても、腱板という筋肉や靱帯などあらゆる軟部組織や軟骨などを詳細に幅広く見れるのはMRIです。骨ですらレントゲンでわからない骨折もMRIでは一目瞭然という優れものです。

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂

放射線を使う検査ではないので被曝がないのもメリットですが、費用がレントゲンなどに比べ高額なのと、大抵はすぐ撮れず、予約が必要なことがデメリットらしいデメリットでしょうか。

エコー、MRIをするのは四十肩以外のものを疑ったときや炎症部位を詳細に確認したい経過のときなどになります。

2.炎症を抑える・コントロールする

次に治療ですが、まずは肩関節の周囲に起こる炎症を抑える・コントロールするということに主眼がおかれます。

安静・負荷のコントロール

そのためには安静ということが基本ですが、もう少し正確に言うと「肩に対する負荷のコントロール」ということです。

シンプルに「痛い動作を把握し、それを減らす」ということを説明しています。

それと絡めてサポーターについて解説した記事がこちらです。ご参照ください。

肩のスポーツサポーター 痛みに効く使い方を専門医が解説

2017.04.05

消炎鎮痛剤内服・外用

次に飲み薬や外用剤(湿布や塗り薬)を使って炎症を抑えていくことをやります。

こういった炎症が主体でかつ、慢性化することもある四十肩の場合、単なる対症療法以上の意味があると考えています。

薬や次の注射についてはこちらもご参照ください。

四十肩に効果のある薬とは? 飲み薬と注射を解説

2017.04.07

注射

飲み薬や外用剤ではコントロール不十分な痛みや、炎症部位がはっきりしない場合に注射をすることも多いです。

注射も単なる痛み止めの注射というよりは、

ピンポイントに炎症を鎮める薬を届ける治療

と考えていただく方がいいと思います。

3.リハビリテーション

炎症がある程度落ち着いてくると、肩を動かせるようになってくると思いますが、代わりに、カタくなっていることも少なくありません。

そういう状況ではリハビリが重要になってきます。

筋肉のリラクセーション

まず炎症が強い初期からやるべきこととして、筋肉のリラクセーションです。

どうしても痛みがあったり、長らく動かせていないと筋肉はカタく、緊張します。その結果、肩こりの強いような痛みまで出てきたりしますし、肩の動きも一向によくなりません。

そのため、まずは肩甲骨を良く動かすということからはじめましょう。
肩すくめ運動やCATなどが基本の体操です。


可動域訓練(カタくならないように)

そして、リハビリを本格的にやるときには肩関節自体の可動域を拡げていきます。
これはある程度、炎症が抑えられていることが前提です。そうでないと、無理したリハビリは炎症を強めることになり、結果的に長引いてしまいます。

こちらで可動域訓練のリハビリポイントを解説しておりますのでご参照ください。

四十肩に有効な体操は? カタくなるメカニズムからシンプルに

2017.04.05

手術が必要になるとき

四十肩の場合はこのような保存治療の一連の流れで改善することが多いのですが、その期間は個人差が大きいです。数ヶ月から半年で良くなっちゃう人もいれば、1年も2年もかかる人もいます。

そんな中で炎症がなかなかとれないときに、関節鏡視下にクリーニング手術(滑膜切除術)をしたり、リハビリがなかなか頭打ちで進まないときに関節鏡視下に癒着、分厚くなった関節包に切開を入れて柔らかくしたりというような手術が、改善を早めることは十分に期待できます。

arthroscope surgery

そのため長く悩んでいる人や、早く改善したい人は肩を専門とする整形外科医に相談してみることをオススメします。

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当サイト管理人 歌島の診察希望


当サイト管理人の歌島は関東の複数の病院で診療を行っております。

おかげさまでたくさんのご相談をいただいております。どうしてもゆっくり時間をかけて1人1人と向き合えないのが悩みですが、それでも、患者さんの希望、理想的にはゴールをできるだけ掴んで、お手伝いできること・ご提供できることを常に探しながら診療しております。

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