上腕二頭筋長頭腱断裂とは? わかりやすく専門医解説

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歌島 大輔
歌島 大輔
スポーツ整形外科医師(非常勤)景翠会 金沢病院
スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

今回は上腕二頭筋長頭腱断裂とは?ということで解説いたします。

上腕二頭筋というのはいわゆる力こぶの筋肉ですが、この筋肉、それも肩に近いところで切れてしまうことがあります。
なぜ切れてしまうのかという原因や、切れてしまうとどうなるのか?という症状などについて解説し、最後に治療法についても解説いたします。

こんにちは、肩を専門とするスポーツ医整形外科医の歌島です。
本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

 

上腕二頭筋長頭腱をおさらい

こちらの記事で上腕二頭筋長頭腱「炎」について解説しております。今回はその「炎症」ではなく断裂ですが、基本をまずおさらいしておきましょう。

上腕二頭筋長頭腱炎とは? 専門医がわかりやすく

2017.03.30

上腕二頭筋はいわゆる力こぶの筋肉

上腕二頭筋はさきほども言いましたが、いわゆる「力こぶの筋肉」ですね。肘を曲げて力を入れるとコブができますよね。これです。

Close up of man’s arm showing biceps

上腕二頭筋のはたらきは肘の屈曲と前腕回外

この上腕二頭筋のはたらきは「肘を曲げる」ということがまず第一の働きです。そして、補助的には「前腕回外」と言って、手のひらを上に向ける回転運動を上腕二頭筋も担当します。

上腕二頭筋には長頭と短頭がある

この上腕二頭筋は「二頭筋」というくらいですから、2本の頭があります。それが長い「長頭」と短い「短頭」という名前がついています。

今回はそのうち「長頭」のお話ですね。

ちなみに「短頭」は肩甲骨の烏口突起(うこうとっき)という場所にくっついていますが長頭と違って肩の関節の中には入り込んでいません。

上腕二頭筋長頭は肩で急カーブしている

上腕二頭筋長頭ですが、この長頭は細いスジ(=腱)となって肩の前面を通って、肩の関節の中に入ってから急激に内側にカーブして肩甲骨の関節窩(かんせつか)の上にくっつきます。

画像引用元:肩関節外科の要点と盲点 (整形外科Knack & Pitfalls)第1版 文光堂

この急カーブが1つ問題なんですね。

上腕二頭筋長頭腱は結節間溝で炎症を起こしやすい

上腕骨という骨の肩関節近くには結節間溝(けっせつかんこう)という凹みがあって、その凹みを上腕二頭筋長頭腱は通ります。この出口で先ほどの急カーブが来るので、この結節間溝で炎症が起こりやすいです。

それは強い力をいれたり、繰り返す肩や肘の動きで、結節間溝付近で上腕二頭筋長頭腱のスジが擦れるような負担がかかるということですね。

上腕二頭筋長頭腱断裂の原因は?

この断裂の原因として圧倒的に多いのは加齢性にだんだん傷んできてしまうということです。

加齢性の損傷が多いという意味では腱板断裂(けんばんだんれつ)との深く関係しています。腱板断裂がある人ではこの上腕二頭筋長頭腱が切れた腱板の代わりに頑張ってくれていることが多いです。その結果、切れてしまうということもよく起こります。

また、力仕事やスポーツ選手などでオーバーユースで切れてしまうこと、外傷で切れてしまうことももちろんあり得ます。

上腕二頭筋長頭腱断裂、つまり切れてしまうと?

この上腕二頭筋長頭腱断裂が起こってしまうというのはどういうことか?ですが、

要は筋肉の先端のスジである腱が切れてしまうということです。今回はお話は「長頭腱」断裂ですので。上腕二頭筋が枝分かれしている肩付近での断裂と言えます。

蛇足ですが、逆に肘付近で上腕二頭筋断裂が起こることもあります。これは長頭、短頭とも一緒になっているので、シンプルに上腕二頭筋断裂という名称になります。

さて、戻しますと、この上腕二頭筋長頭腱断裂が起こるとどうなるのでしょうか?

意外と肘は曲がる

筋肉が切れれば、関節が動かせなくなるのでは?と考えるのが普通ですね。上腕二頭筋で言えば、肘が曲がらなくなるのでは?ということですが、意外や意外、肘はしっかり曲がります。

日常生活に支障を来すことはほとんどないと言ってもいいでしょう。

それは、上腕二頭筋にはもう一つ、短頭があるというのが要因の1つですし、肘を曲げる筋肉は上腕筋もありますし、前腕を回外する筋肉は回外筋があるということです。

つまり、他の部分が補ってくれて、大丈夫!

というのが大雑把なとらえ方でいいかと思います。

ポパイサイン

しかし、比較的筋肉の発達した男性などに多いのは、ポパイサインと言われる現象です。これはアニメのポパイのように力こぶが盛り上がってしまう現象です。

画像引用元:肩関節外科の要点と盲点 (整形外科Knack & Pitfalls)第1版 文光堂

上腕二頭筋長頭腱が切れて、一部、上腕二頭筋が短くなってしまうので、そう見えるわけですね。

筋力低下 スポーツレベルでは支障あり得る

日常生活に支障はないと言っても、やはり筋肉の一部が断裂して短くなっているということは筋出力、つまりパワーが落ちることはあり得ます。

アスリート、スポーツ選手レベルではそれはパフォーマンスに影響することがあります。

上腕二頭筋長頭腱断裂の治療は放置か手術か

ここまでを踏まえると、治療も迷いますね。

断裂してしまった上腕二頭筋腱は縫合したり、切れ端を骨に固定したりという手術をしないと切れっぱなしです。

しかし、それでも日常生活には支障ないということなら手術しないというのがいいのかなと思いますよね。

 

ただ、手術したほうがいいケースもあります。

1つは、先ほども述べたとおりアスリート、スポーツ選手における断裂でパフォーマンスに影響がでるかもしれないということで、手術をするということ。

もう1つは、原因でお話しした加齢性に傷んできてしまった結果の断裂であれば、一緒に腱板断裂が隠れていることが多いです。そのため、その腱板断裂を手術的に治療した方がいいということもよくあるケースです。

まとめ

上腕二頭筋腱断裂というものについて解説いたしました。

ポイントとしては、意外と肘は曲がるということ、ポパイサインという特徴的なサインがあること。アスリートや腱板断裂を合併しているケースでは手術を検討する。ということになります。

上腕二頭筋腱が切れてしまったと言っても、必ずしも悲観する必要はなく、状態に応じた適切な対応ができれば、そこまで怖いモノではないかもしれません。

少しでも参考になりましたら幸いです。

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