四十肩とは?なぜこの年齢で? 専門医が解説します

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歌島 大輔
歌島 大輔
スポーツ整形外科医師(非常勤)景翠会 金沢病院
スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

四十肩・・・聞いたことがないという人は少ないであろう、聞き慣れた言葉です。もちろん、四十というのは年齢を表しているわけですが、四十肩とは何なのか?ということに対してどれだけの人が明確に答えられるかというと、かなり限られるのではないかと思います。

今回は四十肩とは?ということで解説したいのですが、肩とはなんぞや?という部分から個人的な見解まで、ちょっとクセのある解説をしてみたいと思います。

教科書的な内容としては、同じ言葉といってもいい五十肩についてのこちらの記事で解説しておりますので、そちらも合わせてご覧いただけますと幸いです。

五十肩とは? 実際には何が中で起こってる?

2017.04.03

こんにちは、肩を専門とするスポーツ医整形外科医の歌島です。
本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

肩とはなんぞや?

まずは肩とは?というところから入りたいと思います。

肩とは何でしょうか?

腕の付け根・・・ですよね。

哺乳類の進化前でいえば、前脚の付け根でもあります。

進化の過程で二足歩行になって、この前脚は腕となり、体重を支える役割からモノを扱う役割に変化しました。

そのなかで付け根、つまりベースである肩の役割も大きく変わりました。

シンプルに言えば、強さより柔らかさが必要になったということですね。

下のモノや上のモノなどに手を伸ばして、掴んだり、モノを投げたり、何かを叩いたり、引っ張ったり、多様な腕の動きを肩を中心に行うことが必要になっていったんですね。

肩は最も大きく動くゆえに不安定

そして、肩はすべての関節の中で最も幅広く、多方向に動く関節となりました。それを達成するために形をどんどん変えていき、肩の受け皿側の骨、軟骨の形は非常に浅いお皿になりました。
それが肩甲骨関節窩という部分です。

画像引用元: Philipp N et al:Anterior Glenohumeral Instability: A Pathology-based Surgical Treatment Strategy. AAOS 2014

浅いお皿(肩甲骨関節窩)に丸いボール(上腕骨頭)が乗っているような形状なので、非常に幅広く動かせる代わりに、非常に不安定で、ボールがお皿から落ちれば、要は脱臼です。

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂

つまり、大きく動かせる代わりに脱臼しやすい関節になってしまったわけです。

大きな動きを損なわず安定させる役割を担うのが?

そんな中で、他の関節に比べれば遥かに脱臼しやすい関節なのは事実ですが、それでもほとんどの人は脱臼しませんよね。

それは、外れないように頑張ってくれている軟部組織(柔らかい組織)があるからなんですね。

それが腱板(けんばん)というインナーマッスルと関節包(かんせつほう)という膜になります。

腱板(インナーマッスル)

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂

腱板というのは肩の深いところにあるインナーマッスルの総称です。この筋肉がしっかり働くことで、肩関節のボールを受け皿に引きつけるようにして安定化しています。

関節包(かんせつほう)

関節包というのは関節を包む膜で、所々分厚くなって関節包靱帯(かんせつほうじんたい)という名前で関節が外れないように支えてくれています。

この腱板と関節包(関節包靱帯)が骨のような硬い組織じゃなくて、軟部組織だからこそ、柔軟な幅広い動きを損なわずに脱臼しないようになっているんですね。

でも、それゆえ、その腱板や関節包は生まれてからずっと涙ぐましい苦労をしていると言えます。

どんな関節にも寿命がある

人に寿命があるように、関節にも寿命があります。

膝は軟骨が先に限界になる

例えば、膝であれば日々の体重を支える負荷に対して限界がくると軟骨がすり減ってきます。そして最終的には人工関節の手術が必要になることがあります。

肩の場合はそれが腱板であることが多い

肩の場合はその限界の1つが腱板であることが多いんですね。限界というと言い過ぎですが、腱板が耐えられずに切れてしまうという腱板断裂は想像以上に多くの人に起こっています。

軟骨は物言わぬ、腱板は物言う 血流の違い

軟骨は血の巡りの悪い蒼白の組織です。
それに対して腱板は白いスジですが、周囲は血流豊富な滑膜に覆われていて、軟骨に比べれば血の巡りがいいと言えるでしょう。

その違いは、危険サインの出し方に出ます。

軟骨は血の巡りが悪いので、傷んできていても、危険サインの典型である炎症や痛みが出るのが遅れます。膝がいたくなった頃にはすでに軟骨はだいぶすり減っていたということはよくあります。

それに対して、腱板は切れてしまうだいぶ前の変性(ちょっと脆くなったり、みずみずしさを失った状態)で炎症を起こして、痛みを引き起こします。腱板炎という状態です。

そういう意味で
「軟骨は物言わぬ、腱板は物言う」
ということです。

四十肩・五十肩の意味は?(個人的見解)

ここからは僕の見解ですが、物言う腱板(もしくは関節包)が、物言うのが大抵40-50歳代なんじゃないかなということです。

つまり、これ以上無理させると腱板断裂を起こしちゃいますよ!っていうサインを早めに出しているんじゃないかなということです。

実際、腱板断裂はそれより遅れて70,80歳代に多いです。随分と先の心配をしている気もしますが、四十肩、五十肩の反応で関節包を少しずつカタくして(それが重症になったのが凍結肩という状態ですが)、肩の動きを意図的に減らして、将来的な腱板断裂を防ごうとしているのかなと勝手に推測しています。

まとめ

今回は肩とはなんぞや?ということでイキナリ進化の話から入って、個人的な見解をお話しいたしました。

なんとなく肩という関節に親近感を感じてもらえたらと思って書いてみました。お読みいただきありがとうございました。

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