肩峰下滑液包炎とは? 専門医解説

スポンサード リンク

The following two tabs change content below.
歌島 大輔
歌島 大輔
スポーツ整形外科医師(非常勤)景翠会 金沢病院
スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

肩峰下滑液包炎(けんぽうかかつえきほうえん)とは何なのか?ということをイチから丁寧に解説できればと思います。それには肩峰という言葉、滑液包という言葉、炎症とはどういうことか、何が原因か?などを説明したいと思います。

初めて医師からのこの言葉を聞くと

「はい?」

ってなりますよね。

 

あまり聞き慣れない言葉だと思うのですが、実際はかなりの頻度で肩の痛みの原因になっているのが、肩峰下滑液包炎です。

こんにちは、肩を専門とするスポーツ整形外科医の歌島です。
本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

肩峰という骨についておさらい

肩峰(けんぽう)という骨についてはこちらで解説しております。

肩峰の読み方から部位 意味まで解説 by専門医

2017.03.28

肩峰とは肩甲骨の一部で外側にでっぱった部分

肩の外側に峰のように出っ張った部分だから、
肩峰ということ・・・でしょう。

首から肩まで触っていって、
一番外側にでっぱった骨が肩峰です。

この肩峰は肩甲骨の一部です。

画像引用元:肩関節鏡下手術 (スキル関節鏡下手術アトラス)第1版 文光堂

この肩峰ですが、
あえて、外側に出っ張っている意味があります。

三角筋という腕を上げる筋肉の起点

1つは三角筋(さんかくきん)という筋肉が
肩峰にくっついているということです。

三角筋とは
肩の前、後ろ、外側に走っていて、

前から、外から、後ろから
腕を上げるときに働いてくれる大切な筋肉です。

この筋肉が主に肩峰から始まっているわけです。

 

肩峰の下のスペースに腱板(けんばん)が走行する

さらにもう一つ肩にとって大事な筋肉である腱板筋群(けんばんきんぐん)ですが、これが肩峰の下にあるスペースを走っています。これは肩峰下滑液包炎の病態を理解する上で重要です。

 

滑液包とは?

次に滑液包(かつえきほう)というものについてですが、この言葉はさらに2つにわけます。

滑液と包の2つですが、

まず滑液・・・これは、「滑らせる液体」のことだと思ってください。骨が出っ張っているようなところは、その上に筋肉や脂肪などの軟部組織があっても摩擦が起こってしまいます。

その結果、炎症が起こり痛みが出て、しまいには切れてしまう。なんてことにならないように滑らせる液体を身体は生み出せるようになっています。

そして、その液体を「包む」場所が滑液包だと言うことです。

骨の出っ張りなどにある、摩擦や衝突を和らげるクッションだと思っていただくといいと思います。

肩峰下滑液包とは?

肩峰と滑液包をご説明いたしましたが、それを合わせれば肩峰下滑液包がわかります。

肩峰の下にあるスペース、ここは、腱板という大事な筋肉が走っていると言いました。つまり、この腱板という筋肉と肩峰の摩擦や衝突を和らげるクッションが肩峰下滑液包であると言えます。

画像引用元:肩関節外科の要点と盲点 (整形外科Knack & Pitfalls)第1版 文光堂

滑液包に負担がかかると炎症が起こる

ただ、そんなクッションも、負担がかかりすぎれば炎症が起こります。この炎症自体が身体の防御反応です。

このクッションがなければダイレクトに大事な腱板筋群に炎症が起こり、容易に切れてしまうかもしれません。

具体的には滑膜が増えて水が溜まる

そうならないようにこのクッションが防御しつつ、負荷が強いとなれば、クッションが肥大します。それは滑液という液体が増えたり、滑膜という膜が分厚くなったりすることを表しています。

滑液包に負担がかかる原因:インピンジメント

滑液包に負担がかかる原因の多くは、インピンジメント症候群という状態です。こちらで詳しく解説しておりますが、

インピンジメント症候群とは?肩専門医が解説

2016.12.12

肩峰や、そこに付着している烏口肩峰靱帯(うこうけんぽうじんたい)という靱帯と腱板筋群が肩を挙げたり回したりする動きの中で摩擦や衝突が起こることです。

この中で間にあるクッションである滑液包が板挟みのような状態になるわけですね。

肩峰下滑液包炎の治療

この肩峰下滑液包炎の治療について、簡単に解説いたします。

安静で炎症を落ち着かせる

まずはインピンジメントが原因の炎症と考えれば、肩を安静にして使いすぎないように、痛みが出ない動きを中心に行って炎症を落ち着かせるということが基本です。

リハビリでインピンジメントが起こりにくくする

しかし、完全に安静にして、肩がカタくなってしまうのも避けたいですよね。肩の動きといっても肩甲骨と連動して動きますので、同じ肩を上に挙げるという動きでも、インピンジメントが起こりにくい動きがあります。

それには肩甲骨の可動性を上げることや、肩のインナーマッスルをより使えるようにすることがポイントです。
それらのリハビリについてはこちらをご参照ください。

注射でガツッと炎症を抑える

この肩峰下滑液包にステロイドと局所麻酔薬を注入する注射療法は一般的によく行われる治療です。直接的な治療なので効果が大きいことが特徴ですが、また同じように負担がかかれば元に戻るということは十分に考えられることです。

手術で根本的なインピンジメントが起こりやすい状態を改善する

arthroscope surgery

関節鏡という内視鏡を使って、インピンジメントの原因となる肩峰を薄く削ったり、烏口肩峰靱帯を切り離すという手術を行うことでインピンジメントの根本状態の改善を図ることができます。

まとめ

今回は肩峰下滑液包炎という一般には聞き慣れないと思いますが、実はかなり多い病態について解説いたしました。

肩の痛みは四十肩や五十肩といったくくりでイメージされますが、実際にはどこがどうなって痛みが出ているのか?をしっかりと把握することでそれに応じたオーダーメイドな治療ができます。

そういった意味では肩を専門とする整形外科医の診察を受けていただくことは非常に有効だと思います。

少しでも参考になりましたら幸いです。

スポンサード リンク

当サイト管理人 歌島の診察希望


当サイト管理人の歌島は関東の複数の病院で診療を行っております。

おかげさまでたくさんのご相談をいただいております。どうしてもゆっくり時間をかけて1人1人と向き合えないのが悩みですが、それでも、患者さんの希望、理想的にはゴールをできるだけ掴んで、お手伝いできること・ご提供できることを常に探しながら診療しております。

プロフィールはこちらをご参照ください。
スポーツコーチングドクター歌島のプロフィール

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

ABOUTこの記事をかいた人

歌島 大輔

スポーツ整形外科専門医師(川崎市立井田病院・景翠会 金沢病院・さくら通り整形外科 各非常勤医師)として外来診療・手術を行っている。ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。